かりゆし58はバンドと人生をどう結びつけてきたか?「必要なのは“欲しいものを取りに行く”姿勢」

140827_kariyushi_a.jpg

 

 かりゆし58がニューアルバム『大金星』を完成させた。“今を生きる”をテーマにした先行シングル「Oh!Today」、BEGINの島袋優をプロデューサーに迎えたバラードナンバー「生きてれば良い事あるみたいよ」を含む本作には、リスナーの人生に寄り添うような楽曲を生み出してきた彼らの本質がさらに強く刻まれている。
 今回はメンバー全員にインタビュー。『大金星』の制作過程、バンドが目指す将来像などについて語ってもらった。

「どんな曲にも必ず良い部分があるし、“それを見つけて、育てる”」(前川)

――新作『大金星』は、人間に対する温かい視線に満ちた、かりゆし58らしいアルバムだと思います。前川さん以外のメンバーも曲作りに参加した『8』(5thアルバム)を経て、さらに音楽性が深まってますよね。

前川真悟(以下、前川):ありがとうございます。アルバムのコンセプトは2月の段階で決まってたんですよ。“自分の近くにいてくれる人の愛しさだったり、大事にしたいという姿勢をそのまま歌にしたい”っていう話をメンバーにして、そのテーマでそれぞれが曲を書いて。ボツ曲がない状態で制作が進んでいったんです。自分たちが組んだスケジュールから遅れることは一度もなかったし、いいペースでしたね、ホントに。

――制作が順調に進んだのは、どうしてだと思いますか?

前川:それぞれのスキルアップもあるんですけど、いちばんデカいのは(楽曲制作の)取り組み方を変えたことだと思います。まず、俺、(宮平)直樹、(新屋)行裕が曲を書いて、それを持ち寄るんですね。デモのクオリティはいろいろですけど、その場で“これはパッとしない”って捨ててしまうんじゃなくて、1曲1曲、丁寧に育ててみようと思って。以前は30曲も40曲もデモを作って、それをふるいにかけてたんですよ。でも、どんな曲にも必ず良い部分があるし、“それを見つけて、育てる”というふうに作り方を変えたんです。

 たとえば“自分の子供をプロ野球選手にしたい”と思ってる親がいるとするじゃないですか。“生まれたときの体重が1800gだったから、フィジカル的に無理”とか、幼稚園くらいで“足が遅いからダメ”って決め付けてしまったら、バットの持ち方も知らないうちに可能性がなくなってしまう。曲作りも同じで、名曲の匂いがしないからって諦めるんじゃなくて、良い部分に目を向けて、育てるほうがいいんじゃないかって。そうすることで、自然とボツ曲がなくなっていったんです。

――実際、ひとつもボツ曲がなかったんですか?

新屋行裕(以下、新屋):そうですね。最初は13曲入る予定だったんですけど…」

前川:これも初めてだったんですけど、(先行シングル)『Oh!Today』のカップリングに入ってた「フリーなり」をアルバムに入れようって洋貴が言い出して。

中村洋貴(以下、中村):ライブで盛り上がりそうな曲だから、アルバムにも入れておけば、聴いてもらえるかなっていう。あと、今回は久しぶりに沖縄でレコーディングしたんですよ。リズム録りが中心で、あとはギターとコーラスを少し録ったくらいなんですけど、それがすごく良くて。

――どうして今回、沖縄で録ることになったんですか?

前川:ずっとやりたいって言ってたんですよ、特に(中村)洋貴が。

中村:(笑)気持ち的な問題もあったんですよね。リラックスして録ってみたいっていう。東京だと、どうしてもガチガチになってしまうんで。

前川:いちばん体力を使うのはドラムですからね。洋貴は単身赴任みたいな感じで東京に来てるんですけど、泊まるところがガガガSPさんと同じだったりすることもあって(笑)。まわりの環境も島(沖縄)とは対極だし、そこはやっぱり違いますよね。

新屋:沖縄のスタジオ、(中村)の家にも近かったしな。

中村:リラックスして、いいテイクが録れました(笑)。レコーディングも早かったし。

宮平直樹(以下、宮平):オンとオフをはっきり分けられるんですよね、沖縄は。レコーディングは7時くらいまっで、その後はごはん食べたり、飲みに行ったりして。

中村:けっこう遊んでたもんな(笑)。

前川:行裕がソファで寝てるところを何度も見ました(笑)。ちょうどワールドカップの時期だったし。

新屋:基本的にはリズム録りだけだから、やることがないんですよ(笑)。毎日スポーツバーに行って、サッカー見て…。

前川:一応、スタジオには来るっていう誠意を見せて(笑)。でも、モノづくりを楽しめる環境はいいですよね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる