デビューアルバム『Black Cranberry』インタビュー
JAZEE MINORが語る、ラップにおける日本語の強み「シンプルな音のとり方をするとハマる」
「40代と10代が一緒にフリースタイルできるのが、今のシーンの面白いところ」
――今の日本のヒップホップシーンでは、どんな曲が求められていますか?
JM:日本のヒップホップでは、普遍的なものが受け入れられる傾向があると思います。逆に流行を追っているリスナーって、たぶん全体の1割、2割なんじゃないかと。売れている曲って別に流行を追っている曲ではないし、そう考えると、日本人は変わらず好きなものが一個あるのかなって思う。それこそ内面的な部分だったり、ブルースとか哀愁を感じさせるところとか。演歌とかもそうだけど、わびさびや哀愁を感じさせるような曲が耳に入りやすいというか、心に響きやすいんじゃないかと思います。
――最近、フロウの面などで日本語ラップはかなり進化したと思います。その辺りはどう感じている?
JM:たしかにフロウはアメリカ寄りにはなったと思いますけど、でも2000年代辺りから根本的な部分では変わっていないんじゃないかと思いますね。たとえばSteady&Co.なんかを今聴くと、すでに完成されていることに気付くんですよ。それはファッションにおいても、セールスや話題性なんかにおいてもそうで、一度すでに極まったものだということがわかります。最近、四つ打ちに合わせてラップするのとかも流行っていますけど、それもすでにやっているんですよね。もちろん、ヒップホップに限界はあると思わないし、きっと色んな可能性はあると思いますけど、その答えがどこにあるのかは自分もまだわからないです。ただ、自分たちの世代で、さらに日本のヒップホップを次のレベルに押し上げていきたいとは思いますね。
――最近のシーンでは、ベテランのラッパーだと40代とかも普通にいて、逆に若い子だと、それこそ小学生とかもいます。層は確実に厚くなりましたよね。
JM:Zeebraさんが若いのをフックアップしたりしているけど、ああいうのは一世を風靡した人にしかできないし、何よりずっとスターで居続けるっていうのはすごいことですよね。あの人たちの世代はまだまだ現役なんだなって思います。若い世代に関しては、やはりすごく育ってきているなというのを感じますね。自分らが高校生の時とかは「上の世代の人たちより俺らの方がラップ巧いだろ」って思ってましたけど、今の高校生なんかもきっとそう思っているんじゃないかと(笑)。でも、それぐらいの気概がなきゃシーンが循環しないので、それで良いと思うし、むしろ年齢に囚われないでガンガン当たってきてほしいですね。40代と10代が一緒にフリースタイルしたりできるようになったのが、今の日本のヒップホップシーンの面白いところだと思うし、希望があるところだとも思います。かっこいい曲を作るのに、歳は関係ないし、自分もそれには囚われずにやっていきたいですね。
――最後に今後の展望を聴かせてください。
JM:自分の場合は名前の売れ方もほかの人と違って、客演からだったので、これからもみんなとちょっと違う感じでやっていきたいですね。「この雰囲気が出せるのはJAZEE MINORだけだよね」とか、「JAZEE MINOR掘っておけば、とりあえずかっこいい曲出してるよ」とか、そういう風に言われるような、期待を裏切らないアーティストになりたいです。
(取材・文=松田広宣)
■リリース情報
『Black Cranberry』
発売:8月6日
価格:¥2,700
〈収録曲〉
01. 100 feat. AKLO(Produced by JIGG)
02. BURN(Produced by NAO THE LAIZA)
03. Uptown Girl(Produced by A-KAY)
04. Ride wiz me(Produced by A-KAY)
05. August 31(Produced by JAZEE MINOR)
06. Be Right feat. Y'S, YOUNG FREEZ(Produced by A-KAY)
07. Feelin' Myself(Produced by A-KAY)
08. Magic in me(Produced by MONBEE)
09. ゆらゆら(Produced by MONBEE)
10. KAGAMI feat. Aico(Produced by JAZEE MINOR)