音楽シーンとタトゥー文化はどう関わってきたか 専門家に聞いてみた

タトゥーのデザインと音楽ジャンル

 タトゥーのデザインには現在、アメリカントラディショナル、ジャパニーズトラディショナル、ブラック&グレイ、トライバルなど様々なタイプがあり、一概には言えないが、音楽のジャンルによって好む絵柄が別れる傾向がある。ロカビリー系のミュージシャンはアメリカントラディショナルを好み、50年代スタイルの絵柄が多くみられる。

 メタル系ミュージシャンはトライバルやブラック&グレイなどが多く好まれ、ヒップホップになるとL.Aスタイルと言われるメキシカンギャングなどが入れる絵柄や、文字などのタトゥーを好む傾向があるようだ。

 パンクになるとオリジナルスタイルが多く見られ、バンドのロゴなどの他に、社会や体制に対するメッセージを絵柄や言葉にして入れる事が多い。

 レイヴやクラブなどのカルチャーでは、トライバルなどのほか、最近の若い女の子が入れる模様などの柄も多く、アクセサリーの一部としてのタトゥーも人気だ。

 最近では海外でもジャパニーズトラディショナル、いわゆる和彫が流行していて、アメリカントラディショナルが主流だった日本のタトゥー業界も、今やジャパニーズトラディショナルが主流になりつつあるようだ。

タトゥーという表現方法

 ミュージシャンはステージに立ち、ファッションや髪型、メイクなど身体全体で表現するのは当然のことで、彼らは自分の意志を伝える手段としてタトゥーを用いている。だからこそ、タトゥーに憧れを持つファンも増えたし、ひとつのカルチャーとして一般層にも広まってきたのではないだろうか。

 刺青は、過去には罪人の証となっていたこともある。また、職人や火消し、鉱夫などが死んだ時に身元が判るように入れられていた時代もあったが、明治時代以降に禁止され、その後、ヤクザしか入れなくなった時期も長かった。そのため、イメージが悪くなったのではないかとKATSUTA氏は指摘している。

 タトゥーを入れることに対する社会的な抵抗感は現在も残っており、KATSUTA氏は「ほとんどの温泉やプールには『暴力団・タトゥー・刺青、タトゥーシールお断り』と書かれています。また、生命保険に入れなかったりするほか、最近では海でもタトゥー禁止になっている場所もあります。若者にも浸透してきていて、文化として、ファッションとして定着しているタトゥー文化への理解が、もっと一般にも広がるようにしたいですね」と、その心情を語っている。

 タトゥーに興味がある、または興味を持った方は、今年で9回目を迎える日本最大のタトゥーイベントKING OF TATTOO2014へ足を運んでみてはいかがだろう。10月11、12、13日に代官山THE ROOMにて行われるこのイベントは、世界各国からタトゥーアーティストが集まり様々なパフォーマンスが行われる。タトゥー文化の奥深さを味わえるはずだ。

■ISHIYA
アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。
FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST

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