『21世紀ラジオ読本』発売記念
なぜ今、ラジオが面白い? P・バラカン「番組後、僕より音楽に詳しい人からメールがくる」
福田良平「まわりから怒られないギリギリを狙ったトークを心がけています」
僕が入社した当時のラジオ日本には、いわゆるアイドル番組がぜんぜんなくて、こう言うと語弊がありますけど、自分が聴きたくなるような番組がない局だったんですよ(笑)。ほとんどが年配の方に向けたコンテンツばかりでしたから。そこで、僕と同世代の30代の人たちや、もっと若い10代、20代の人たちにもラジオ日本を聴いてもらいたいという想いから、女性アイドルの番組を作ろうということになったんです。ここ数年は年間2、3本のペースで新しいアイドル番組を立ち上げていって、結果的に今のような状況になりました。
さらに詳しい実情を言ってしまうと、ラジオ日本にはスポンサードされていない放送枠が少なくないので、同じ制作費をかけるんだったら、固定のファンがついていて、話題性もある女の子のアイドルを起用すれば、局の知名度アップにもつながるのではないか、という狙いもあります。また、今後数年でパーソナリティの世代交代が進むだろうから、将来に向けて後進を育成していこうと。そんな考えの下、大儲けはできないけど多少黒字が出るくらいの範囲で(笑)、アイドル番組を増やしていったわけです。
その先がけとなったのが、09年10月にスタートした『菊地亜美の1ami9』。その前年、菊地さんに『ラジカントロプス2・0』というインタビュー番組に出てもらったんですが、そのときに「この子はトークがどんどんうまくなるはずだ」という予感があったんですね。それに、このときの放送が、若いリスナーからの反響が大きかったので、レギュラーでやってみようということになりました。番組当初は、ほとんど無名な存在でしたけど、今なら菊地亜美といえばだいたいの人が認知してますよね。『1ami9』が彼女の知名度アップにどのくらい貢献しているのかはわかりませんが、トーク力の向上には貢献したのかなと思います。彼女はなんせ、トークの勘がいいんです。勘というのは、アドバイスしたところでどうにもならないので、僕からはなにも言いません。菊地さんは、自分の番組をポッドキャストで聴きなおしたり、いろいろ自分で勉強もしたんだと思います。所属事務所(レプロエンタテインメント)がしっかりしたところなので、言っちゃいけないこともたくさんあるのかもしれないけど(笑)、我々としては、まわりから怒られないギリギリを狙ったトークを心がけています。僕らスタッフが菊地さんを焚きつけている部分も多少はありますけどね(笑)。ただ、僕はやっぱり、「こんなこと言ったら怒られちゃうんじゃないか」というくらい生々しいトークが聴けるのが、ラジオの面白さだと思うんです。『1ami9』は、そこらへんのさじ加減がうまくいっている番組ですね。
もっとラジオを楽しみたい方に
同書にはほかにも、ラジオ番組制作者ならではの裏話や、ラジオ特有の楽しみ方がたっぷりと記されている。これまでラジオをあまり聴いてこなかった方にとってはもちろん、より深くラジオを楽しみたいという方にとっても興味深い読み物といえるだろう。
(制作協力=洋泉社)