ターボ向後がセクシー女優の音楽活動に迫る

並木優がDTMとDJにのめり込んだワケ「いつも音楽のおかげで頑張れる」

「アジア諸国ではセクシー女優のライブやイベントに対する需要が増えている」

タンテに針を落とす並木優。機材は名機と名高いスタントンのもの。

ーーその後、自ら作曲した『トキメキ☆インストール』をリリースや、セクシー女優による本格音楽レーベル『Milky Pop Generation』での活動に繋がっていくわけですね。さらにおもしろいのは、並木さんは最近DJとしての活動も活発です。

並木:そうですね。実はDJを開始したのには理由があって、去年ぐらいから台湾とかを含めてアジア各国から、色々なオファーがくるようになったんですよ。今、とにかくアジア諸国では日本のセクシー女優への関心が高くて、音楽イベントなどの需要も増えているみたいなんです。

ーーCOOL&SEXY JAPANの女神がやってきたー!的な?

並木:実際に現地のファンの皆さんに会いに行くと、熱量がすごいんですね。で、そういう方々が口々におっしゃるのは、セクシー女優としてだけではなく、並木優としての活動をもっといろいろやって欲しい、ということなんです。それはCDなどのリリースも含めてのことだと思うんですけど、パッケージされたコンテンツ以外にも、ライブやイベントを行ってほしいということみたいです。

ーーなるほど。今、日本のアイドルグループがさかんにアジア各国でイベントやライブをやっていますけど、その流れですかね。

並木:それで、とにかく「自分の好きなことをやっていい」と言われているので、それなら大好きな音楽でいろいろやってみようと。

ーー並木さんのクリエイター魂に火が!

並木:ビデオのお仕事ももちろん楽しいし、そこを洗練させていくのもやりがいがあるけれど、やっぱり求められる事の幅は限られてくるじゃないですか。自由度が低いというか。

ーー今のアダルト業界は、営業&制作含めて大勢の企画会議で内容を決めて、そこからいかにはみださないようにするか、という作り方になっている面はありますね。

並木:でも、アジア系のオファーだと自分で一から考えて活動できる。それがめんどくさいっていう人もいるかもしれませんが、わたしはすごく楽しいですね。今はDJで大好きなアニソンをかけまくっているんですけど、今後は自分の曲をフロアー向けにリミックスしてかけたいと思っています。

ーーああ、中田ヤスタカ氏みたいなトラックメイカーDJ的に?

並木:「クラブでの鳴り方」を意識して音作りをするのに、今はハマっている感じですね。

クラブに行くと「ずっとスピーカーの前にいる」という彼女。

ーーどうりで最近、並木さんのTweetにクラブミュージック制作に関するつぶやきが多いと思いました。セクシー女優さんのTweetで「サイドチェインコンプ」っていうフレーズ、初めて見ましたよ(笑)。クラブを意識するようになって制作のスタイルは変わりましたか?

並木:今までは唄メロから作曲することが多かったんですけど、DJをやるようになってからトラックから作る事が増えました。自分なりにミキシングとかも追求しています。

ーーそんなセクシー女優さん、世界中見渡しても並木さんだけですよ! でも並木さんが作ったそういうフロアー向けのトラックって、アジアのクラブでしか聴けないわけですよね。Sound Cloudとかでアップしないんですか?

並木:あっそうか! 実は、VOCALOIDを使ったボカロ曲もいっぱい作っているんですよ。

ーー完全にボカロP状態じゃないですか! それサンクラも含めてニコ動とかになんでアップしないんですか

並木:(マネージャーを見て)やってもいいですかね?

マネージャー:おまかせします(笑)。

ーー是非やってください! それ聴きたい人いっぱいいると思います。では最後に、今後の音楽活動についてはどんな方向性を目指していますか。

並木:実はわたし、音楽に関しては裏方的な立ち位置が一番楽しいんです。歌うことに関してはコンプレックスがあって。

ーーえ!?  ボーカリストとしての並木さんも最高じゃないですか?

並木:もともと地声が低いので高音がなかなか出ないんですよね。中高校生の頃は浜崎あゆみさんが全盛期だったんですが、キーが高すぎて歌えなかった。だからこそというか、自分が作る曲は音域をあえて広くして、ファルセットで歌うようなハイトーンを含んだメロディを作ってしまうんです。ファルセットで頑張って高いキーを使うというか。高音が出る人がうらやましくて。ほしのあすかサンに提供させてもらった「カシオペア」でも自分の曲でもその理想に近づこうとすると自然にそういうメロディーになるんですよね、コンプレックスの裏返しで。

ーーリベンジ的な意味合いでのあのメロディーだと(笑)。

並木:あぁ……確かに! 今でも初音ミクちゃんみたいな声になりたいって、日々思っています(笑)。でも、そうはなれないので、ボカロとかで曲を作るのが楽しいんですよね。音楽に関しては自分の理想があって、そこへたどり着くにはどうすれば良いのかを考えるのが好きだし、その作業をしてるのは楽しいんです。いつも音楽のおかげで頑張れるっていう感覚がありますね。

 

 昨年DAFT PUNKが Random Access Memoriesでオマージュを捧げた70〜80年代のヴィンテージディスコ期の名曲に「Last Night a D.J. Saved My Life」という楽曲がある。音楽はもちろん一瞬の享楽を与えてくれて自分自身を忘れさせてくれる「娯楽」でもあるが、同時にその音と言葉で聴く者を「救って」くれるものでもある。

 ビデオ作品上での「セクシーでイケてるお姉様」といったキャラクターとは全く異なり、慎重に言葉を選びながら、音楽に対しての深い愛情を語ってくれた彼女。その姿はミューズとエロスがクロスオーバーした、新しいセクシー女優のあり方を体現しているように思えてならない。
(取材・写真・文=ターボ向後)

並木優Twitter
KORGホームページ

関連記事