大友良英『題名のない音楽会』でノイズ語る「当時のスタンダードからするとビートルズはノイズ」

 続いて、佐渡から「こういうノイズ・ミュージックと、『あまちゃん』に共通点はあるんですか?」と聞かれた大友は「自分でもよくわからないですけど、一つの音楽をやってるときに『その音楽だけが良い』って世界にいると、居心地が悪くなっちゃうんですよ。今日はたまたまノイズ・ミュージック特集だからその話をしましたけど、サンバの話ならそれだけで話せると思います。そういう部分に『あまちゃん』のディレクターが興味を持ってくれて。『原作には変な大人がいっぱい出てくるから、変なミュージシャンをいっぱい集めて演奏しよう』っていう発想で音楽を作っていって。実は(『あまちゃん』の演奏隊には)クラシックの人が多いんですよ。普段やってるジャズとかロックの人たちは、アドリブをガンガンできるけど、(クラシックの人は)できなくて。でもその人たちにアドリブさせようと。そうすると、微妙に格好悪かったりする。それがドラマに出てくる人物と重なったりして。そういうある種のノイズを経過したものが出来たといえる」と、ドラマに起用された理由とともに、あらゆる音楽にも精通していることを明かした。

 最後に、佐渡から”音楽”について聞かれた大友は、「こういう音楽に関わりだしたときに、『何が音楽で何が音楽じゃないか、何を持ってノイズと考えるんだろう』っていつも思ってたんですね。だけど、ほんとに身も蓋もないことを言ってしまえば『人それぞれ』なんですけど、その人の社会性とか生き方とすごく関係があると思ってて。音楽ってもしかしたら、自分がこの社会に所属しているっていうアイデンティティーのひとつとして、『この音楽好きだ』って言ってる気がするんです。音楽って『ポピュラーなもの=みんなが聴くもの』という考え方に20世紀以降はなってるじゃないですか。でも色々なものがあって良くて」と、音楽が持つ平等さについて語り、番組は幕を閉じた。
(文=中村拓海)

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