大友良英『題名のない音楽会』でノイズ語る「当時のスタンダードからするとビートルズはノイズ」

 続いて2曲目に影響を受けた曲として大友が掲げたのは、高柳昌行・阿部薫の「集団投射」。『解体的交感』という1000枚限定のレア盤に収録されている同曲について、大友は「世界に70億人の人がいるなら、そのうち1000人くらいは変わった好みの人がいてもいいじゃないですか」と語り、音源をスタジオで流した。延々と続くノイズ音に対し、二人が怪訝な顔をしているのを見た大友は、「え、これ良くないですか?だめですか?」と問いかけたうえで、「嬉しいなあ。地上波の朝からこれを掛けれる時代が来たんだ」と、笑いながら喜びを噛み締めていた。

 ノイズ・ミュージックの価値観について、本間アナから「ルールはあるものなんですか?」と質問された大友は、「ルールを壊すのがルールなんだと思います」と、独自のノイズ論を語ったうえで、「自分たちの聴いている音楽と違う体験をすると、人は『ノイズ』と言いたがる。ビートルズが出たときも、『こんなの聴いちゃいけない』と言われた。当時の男性のスタンダードである『刈り上げした短い頭髪』の人たちからすると、ビートルズはノイズなんですよ」と、ビートルズもある種ノイズとして捉えられることを語った。

 また、この系譜に近い音楽の中で武満徹の「燃え尽きた地図」を挙げた大友は、佐渡から「武満さんはテレビの砂嵐が大好きなんですよ」と言われた。これに対し、大友が「じゃあ提案なんですけど、僕らにそれぞれその時間を1時間ずつ下さい。日本のノイズミュージシャンを集めて、誰もいない時間帯に砂嵐を演奏し続けます。どうでしょうか?」と、テレビ局にとんでもない提案をする。驚きの発言を連発する大友に対し、佐渡から「『あまちゃん』作るまでは今まで何で飯食ってたんですか?」と笑いながら聞かれた大友。「一応劇伴歴20年もあるんで、こういうの(ノイズ)ばっかりやってたわけではないです」と説明した。

 3曲目に大友が挙げたのはBiS階段の「好き好き大好き」。同曲について大友は「これ、日曜の朝から放送出来ますかね?」とスタッフに確認したうえで放送。曲の中でもポップな部分だけを流し、「これだけ聴くとロックに聴こえるよね。でも凄いのは放送出来ない部分」と、同曲の魅力はさらに深い部分であることを語った。続けてINCAPACITANTS、MERZBOWを流した大友は、「これを大音量で聴いてください。テレビの前の皆さんは、ボリュームを上げてください。近所から怒られると思いますけどね」と、次第にテンションが上がっていった。

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