前田敦子、中川翔子、壇蜜……アイドル女優が「特撮ヒロイン映画」に出演するワケ
また、アイドルや女優自身が戦う描写が増えていることについては、「映画業界全体の流行とも関わっているのでは」と同氏。
「80年代から90年代前半に増加した、セーラームーンなどに代表される『戦闘美少女もの』は、日本のアニメや漫画に顕著な表現でした。しかし、最近では海外の映画を見ていても、ヒロインが積極的に戦う作品が増えています。たとえば2012年に公開された『白雪姫と鏡の女王』では、リリー・コリンズ演じる白雪姫が、小人たちとともに戦闘の訓練をして、自ら剣を振るって女王と戦うという、これまでの白雪姫像を塗り替えるような作品でした。同じく2012年に発表されたディズニー映画『メリダとおそろしの森』も、プリンセスが弓矢で戦う作品です。ヒロインが戦う映画は過去にもありましたが、ここにきてひとつの大きな潮流となっているように感じます。アイドルや女優が戦う作品が目立つのは、そのような映画業界全体の流れも影響しているのかもしれません。加えて、日本の『戦闘美少女もの』というジャンルが成熟し、そういった作品が幅広い層に受け入れられているから、という側面もあるかと思います。『ヌイグルマーZ』はサブカル色の強い作品ですが、ヒロインが変身して悪と戦うというストーリーは、現在20代後半~30代となっているセーラームーン世代にとってはもちろん、いまの子どもたちにとっても馴染みやすいのではないでしょうか」
さらに、アイドルや女優にとっても「特撮ヒーロー・ヒロインもの」に出演するメリットはあるという。
「アイドルや女優のファンと『特撮ヒーロー・ヒロインもの』の映画のファンは、決してイコールではありません。そのため、アイドルや女優にとってそのような作品に出演することは、ファン層を拡大するきっかけになります。前田敦子の場合は積極的に戦う主人公ではありませんが、関ジャニ∞との共演によって、これまでのファンとは異なる層に存在感をアピールできる可能性が高いでしょう」
幅広い層のユーザーが楽しめ、なおかつアイドル・女優の新たな魅力を照らし出す「特撮ヒーロー・ヒロインもの」映画。これらの作品への出演をきっかけに、活動の幅を広がるアイドル・女優は今後も増えそうだ。
(文=編集部)