ビヨンセ、大いに語る――家族愛から生まれた最新作秘話、そして音楽ビジネス変革への意志

 興味深いのは今作のリリースにおいて、これまでのようなメディア露出やプロモーションがほとんど行われていないことだ。代わりに今回ビヨンセが積極的に行っているのはFacebookを用いたセルフ・プロモーション。彼女の公式ページにはアルバム制作時の出来事や楽曲制作中にインスパイアされた作品、ビデオ撮影について、母親になって変わったこと、プロデューサーやジャスティン・ティンバーレイクとの会話など赤裸々な内容のVTRが投稿されている。なぜマスプロモーションを離れソーシャルメディアを用いた発信を行うのか。そこには現在の音楽を取り巻く環境に対する彼女の疑問がある。インタビューでビヨンセはこう語る。「最近は音楽やアーティストとファンの間に介在するものが入りすぎている。だから自分のアルバムが発売される時には他人のメッセージをそこには一切入れたくないと思ったの。このアルバムは準備ができ次第、私から私のファンに直接届けたかった」。

 最新アルバム「BEYONCÉ」は彼女にとって内容的にもコンセプトにしても、あるいはプロモーション手法にしてみても極めて革命的でエキサイティングな作品だ。ミュージシャンとして成功を手中に収めて以降もその地位に甘んずることなく挑戦を続ける「今のビヨンセ」を知ることのできる本作。ぜひ手にとって彼女の想いを感じてほしい。
(文=北濱信哉)

■リリース情報
『BEYONCÉ』
発売:2月12日
価格:¥3,500(税抜き)
日本盤特典:対訳・解説付き
Uカード仕様
28ページブックレット付き

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