嵐の「歌割り」を劇的に変えたキーマン 櫻井翔の歌唱法の変化をたどる

櫻井翔の歌唱の魅力は、サクラップだけではないという。

 嵐のシングルをリリースされた時系列で聴いていると、ある時期を境に歌割りがガラリと変化しているのが分かる。2007年にリリースされた『Love so sweet』がその転換点だ。それまではリーダー大野智の歌唱力を全面に打ち出し、残りのメンバーでユニゾンを組むパターンが多かった。多くみられた構成は(Aメロ)大野→(Bメロ)大野・相葉・松本→大野・櫻井・二宮(サビ)5人でユニゾンまたは4人ユニゾン+二宮ハモリというもの。しかし「Love so sweet」以降はユニゾンに代わってハーモニーが多く用いられるようになり、また大野が(ユニゾンパート含め)一曲丸々歌い続けるということが少なくなった。嵐の歌割りが劇的に変わった背景には一体何があるのか。本記事では影のキーマン、櫻井翔にスポットを当てて検証する。

 現在の櫻井の歌唱については過去記事「嵐のボーカルは“おもしろさ”も魅力のうち? メンバーそれぞれの特徴を徹底解説」でも取り上げているが、独特の発声による力強い歌声が特徴的だ。この歌い方、明らかに通常の歌謡曲でみられるそれとは異なる。極めてミュージカル的な歌い方なのだ。嵐のファンであればご存知の方も多いと思うが、櫻井は2004年に「ウエストサイドストーリー」、2005年に「Beautiful Game」とミュージカルで大役を務めており、そのことが現在の歌唱法に繋がっているのは想像に難くない。2つのミュージカルを経験し、歌声に「力強さ」を手に入れた櫻井翔。これが後に嵐の歌割りを変える要因となる。

 櫻井は元々声域も広く、音程も安定した歌い手だった。しかし声質がどちらかというとデジタルな響きで特徴が薄く、主旋律を担うには少々 物足りなさがあったのも事実だ。そんな中でミュージカルを経験、自分らしい「個性」を手にしたことで楽曲の主旋律を支えられるようになった。例えば先述の「Love so sweet」では以下のような歌割りがされている。

(大野・松本)
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(櫻井・相葉+二宮ハモリ)
   ↓
(大野・松本)
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(櫻井・相葉+二宮ハモリ)
   ↓
(4人ユニゾン+二宮ハモリ)
   ↓
(5人ユニゾン・二宮ハモリ)

 このようにリーダー大野のパートと櫻井のパートが全く重ならない。言い換えれば、これまで丸々一曲主旋律を歌ってきた大野の役割を櫻井が担えるようになっている。その結果、楽曲にバラエティが生まれ、二宮や松本のハモリもより活かせるようになった。大野も歌うパートが限られたことで、その表現力により説得力が増すようになったといえるだろう。もちろん、歌い出しやユニゾンで大活躍する相葉も他のメンバー同様だ。

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