AKB48岩佐美咲のヒットで演歌ブーム到来? 若手が台頭する最新シーン事情
また、今回の楽曲は「AKB48ファン以外にも届いている」と村田編集長。
「そもそも握手会などのAKB48のスタイルは、お客様を大事にするという演歌のスタイルと通じるものがありますよね。最初の2枚のシングルは岩佐さんのファンが買われていた印象でしたが、ショッピングモール等の営業では、親子連れの方がCDを買われていくという姿も見られました。今回のシングルは前2曲よりも王道の演歌スタイルの楽曲になっていますし、ボイストレーニングを積んだ成果もあり、歌も枚数を重ねるにつれ上達しているので、順当な流れかなと感じます」
さらに「若手演歌歌手がナンバー1を獲得する」というのは特殊な現象とも思われるが、実は、その成功を狙う動きは常にあるという。
「やはり氷川きよしさんが2000年にデビューしたのがエポックメイキングでしたね。当時はビートルズがロック史を塗り替えたような衝撃だったんです。その後デビューして今も人気のある山内惠介などのように、アイドル的な人気を狙う10代20代の歌い手は、毎年デビューしています」
若者に演歌の魅力を知らしめた今回の岩佐美咲のシングルヒット。若者に門戸を開く、というよりも若者が自ら演歌の魅力に目覚めた現象といえる。岩佐美咲は、このまま着実に歌唱力を高め、「女性版氷川きよし」として認知されるか。そして新たな若手演歌歌手が、岩佐美咲を目指してデビューし、業界全体の新陳代謝が加速されるか。今後の演歌業界から目が離せない。
(文=松下博夫)