でんぱ組.incプロデューサー・もふくちゃんインタビュー(第2回)
「でんぱ組.incはルサンチマンに火を付けて飛んでいる」メンバーを奮起させた“屈辱”とは?
――挫折を味わった分、2012年に初めてメインステージに立ったときのパフォーマンスはすごかったですね。周りを見ると、僕も含めてみんな泣いていました(笑)。
もふく:「今までの屈辱を晴らしてやる!」という気持ちで(笑)。私もあのときのステージは今でも印象に残っていますね。
――今年はテレビ番組のスタッフとしてTIFに関わっているのですが、BiSにもアイドルファンからリアクションがくるようになって「アイドルファンの層が広がったな」と感じました。それはある意味、でんぱ組.incが拓いてくれた道だと言える気がするんです。
もふく:たしかに、初回の2010年、11年のTIFに比べて、だんだんと今は客層が違ってきたと感じます。昔はもっと、いわゆる「アイドルオタク」のものだったのに、世の中的にもアイドルファンのすそ野が広がるのと同時に、変わってきましたね。
アイドルはみんな、このイベントで何人のファンを獲得できるか、という意識をしていると思うんです。でもTIFでは予想が悪いほうに裏切られてしまったんですけど、ロックバンドが出るような普通のライブイベントに出演したら、想像よりずっと反応がよかったんです。これはもう何年か前の話ですが、その当時から「おや!? このリアクションなら……」という確信めいた予感がありました。だから、本人たちのキャラクターや楽曲の方向性は変えないで、狙う場所を変えたんです。
――異種イベントというと、今年は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013』と『SUMMER SONIC 2013』に出ましたよね。RIJFでは、でんぱ組.incへのリアクションがすごく大きかったと聞きました。
もふく:ロックイベントで受け入れられたのは、そもそもロック界隈だったり、音楽業界の方たちが先に注目してくれたのも大きいと思います。今もライブの関係者席はアイドル関係よりも、音楽ライターさんなどが多いですね。そういう状況を見ていて、でんぱ組.incは楽しみ方が普通のアイドルとは違うのかな、と思っています。
第3回目に続く
■福嶋麻衣子(ふくしままいこ/もふくちゃん)
株式会社モエ・ジャパン代表取締役社長。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。でんぱ組.incのプロデュースのほか、秋葉原にあるライブ&バー『ディアステージ』や、アニソンDJバー『MOGRA』の運営なども手がける。TOKYO FM『妄想科学デパートAKIBANOISE』(水25:00)にもレギュラー出演中。
(インタビュー=エドボル/構成・文=編集部)