小野島大の「この洋楽を聴け!」 第2回:ザ・キュアー

ラルクからスピッツまで......ザ・キュアーが日本のロックに与えた広くて深い影響

そして意外なところでは、ブランキー・ジェット・シティ、なかでもボーカル/ギターの浅井健一がキュアーに影響を受けているようです。この曲はキュアーの初期の名曲「Boys Don't Cry」に似ているとされています。

Blankey Jet City「John Lennon」(1998)

The Cure「Boys Don't Cry」(1979)

 しかし、むしろこういう曲のほうが、深いところでキュアーとの共鳴が感じ取れるようでもあります。ロカビリーやパンクといったマッチョな不良成分と、キュアーに通じる内省的で文学的な繊細さが同居しているのが彼らの魅力です。

The Blankey Jet City「あてのない世界」(1991)

そしてキュアーで洋楽ロックを聞くようになったと公言しているのがART-SCHOOLの木下理樹。彼らの音楽も、表面的な装飾以上の深いところでキュアーの影響がありますが、なかでもこの曲はわかりやすい。

ART-SCHOOL「カノン」(2005)

The Cure「High」(1992)

そして最後に。あのスピッツもキュアーの影響を受けているらしい、という曲を。

スピッツ「群青」(2007)

The Cure「Friday I'm in Love」(1992)

一見アーティスト・イメージもサウンドスタイルもかけ離れているように見える両者ですが、キュアーのポップな面がスピッツにたまたまアピールしたと考えるよりも、キュアーのダークで内向的な一面がスピッツにも潜んでいる、と考えたほうが面白いかもしれません。

 ではまた次回。

■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。

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