映画館は“スクリーン張り替え”をエンタメ化できるか? 立川シネマシティ『ガルパン』上映に向けて

立川シネマシティ“スクリーン張り替え”

 ここ最近でリピート鑑賞者が桁違いに多い作品といえば『マッドマックス』か『ガルパン』と相場が決まっています。以前の画質が目に焼き付いている方なら、すぐにわかってもらえるに違いありません。

 このスクリーン張り替えは、もちろん12月9日にいよいよ公開となる『ガールズ&パンツァー 最終章第1話』上映を踏まえての決定なわけです。『最終章』は全国劇場公開されますが「OVA」という位置づけで尺も短く、全6話が予定されています。これまでのキャラも登場しつつ、新キャラも続々登場とのこと。今回はフランス戦車を操るお嬢様学校「BC自由学園」とのバトルが展開されます。

 それにしても全6話。なんと美しい響きでしょう。これは『スター・ウォーズ』が全3部作+スピンアウト2本製作と発表された時を超える安心感ではありませんか。シネマシティは少なくともあと数年はやっていける。きっと大丈夫だ。

 11月21日、『ガルパン劇場版』は公開2周年を迎えます。これを活かさない手はありません。この日に合わせてスクリーンを張り替え、2周年を祝おうという一石二鳥の作戦を思いつき、すでに海外の港を出ていたスクリーンを運んでいる船に「もっと真面目に進め」と連絡、なんとか前日11月20日の夜に新調できることになりました。

 しかし『ガルパン』2周年記念上映は意気込んだのですが、レイトショー時間に1回しか上映を確保できず、しかも終映は23時15分。これはさすがに厳しいことになった、終電に間に合わない方も多いはずだ。380席の劇場の半分も埋まらないかもしれない。やはり前日のマンガ告知で推しまくるしかないか…。

 悩んでいても仕方ないので、とりあえず、まずは最初のエイプ進化告知と『ガルパン』2周年上映の告知を同時に行いました。『ガルパン』側の告知ページにも、こちらしか見ない方のためにスクリーン新調の説明を入れて、さらに「色柄くっきり」のフレーズの代わりに「それは、きらめくような肌の透明感に、少女たちにフォトショ疑惑が生まれるレベル」というネタを仕込んでおきました。

『ガルパン劇場版』2周年記念上映告知ページ

 すると結果、思いも寄らず、想定を遙かに超える大きな話題となりました。この反応を受けて、リリースも出してないのに情報サイト「AVウォッチ」様が記事にしてくださるまでに。

 そして迎えた『ガルパン』2周年記念上映の有料会員先行Web予約受付開始日。21時過ぎ開映という遅い時間にも関わらず、受付開始間もなくびっちり満席に。なんというありがたいことでしょう。この美しき共犯関係。

 この成功は、果たして告知のメソッドが有効である証左なのか、『ガルパン』の人気にただ乗っかっただけなのか、正確なところはわかりません。これからも劇場の改善を進めていきますが、その投資を有効なものにするため、この告知メソッドをより確度の高いものにしていく必要があります。それを探りながら、新しいことにも挑戦していく準備があります。

 その折りは、またこのコラムで紹介させていただきますね。
 You ain't heard nothin' yet !(お楽しみはこれからだ)

(文=遠山武志)

■立川シネマシティ
映画館らしくない遊び心のある空間を目指し、最高のクリエイターが集結し完成させた映画館。音響・音質にこだわっており、「極上音響上映」「極上爆音上映」は多くの映画ファンの支持を得ている。

『シネマ・ワン』
住所:東京都立川市曙町2ー8ー5
JR立川駅より徒歩5分、多摩モノレール立川北駅より徒歩3分
『シネマ・ツー』
住所:東京都立川市曙町2ー42ー26
JR立川駅より徒歩6分、多摩モノレール立川北駅より徒歩2分
公式サイト:https://cinemacity.co.jp/

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