>  >  > 『A LIFE〜愛しき人〜』第3話レビュー

木村拓哉主演『A LIFE』は男性社会の“呪い”を描く? 社会派ドラマとしての側面を読む

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 1月からスタートした『A LIFE〜愛しき人〜』。ネットで検索したり、自分の周囲の意見を聞いても、「実際の医療現場ではありえないこと」があるという指摘は存在するが、組織とともに生きる人と、組織のしがらみから離れて生きる人の物語という部分を見ると、納得できる部分も多い。

 1話と2話は、壇上記念病院の院長の檀上虎之助(柄本明)の手術をするために、外科医の沖田一光(木村拓哉)がシアトルから戻ってくることから始まる。壇上病院は、虎之助の娘の壇上深冬(竹内結子)の夫・壇上壮大(浅野忠信)が副院長を務めており、院長とは小児科の縮小を巡っての経営方針で対立している。

 壮大は、沖田と親友であったが、妻の深冬はかつて沖田と交際していた過去も持つ。また、病院の経営を守りたい壮大と、組織のしがらみには興味がなく、目の前の患者を守りたいだけという沖田の考えは対立している。

 しかし、虎之助は、沖田を高く評価している。壮大は、本来なら沖田が病院にいることは好ましくないにも関わらず、病魔に侵されている深冬の手術ができるのは沖田しかいないと考えているため沖田を頼らざるを得ないのだ。

 また、病院内には副院長派の派閥があり、新しく壇上病院にきたばかりの若手医師・井川颯太(松山ケンイチ)は、第一外科部長で副院長派の羽村圭吾(及川光博)に何かと病院内の事情をレクチャーされている。しかし井川の内心では、沖田の在り方が徐々に気になっていく、というところまでが描かれていた。

 そして29日放送の3話では、深冬のキャリアについての話と、医学会のしがらみについての話が中心に描かれていた。深冬は子供がいるため当直もしておらず、時短勤務をしていることで、自分の存在を1に足りない0.5(半人前)だと思っている。そんな自分の中途半端な状態をどうにかしようと思い、小児外科の指導員の資格をとるために、論文を書くなど奮闘していた。

 しかし、深冬がある小児患者を受け持つことで、事態は変化する。以前、その小児患者が診断を受けた医師は、小児外科治療学会のトップの蒲生教授だったのだ。深冬と沖田は、蒲生教授とは違った診断を下し、患者に手術をしようと試みるが、それは蒲生院長のメンツをつぶすことになる。

 教授から虎之助のところに連絡があったことで、一度は手術をあきらめる深冬。そこには、小児学会の指導員の資格は、蒲生教授に逆らっては取得できないという理由があった。

 3話では、深冬が時短勤務のために、自分の仕事の上で足りない0.5をどう取り戻すかがテーマのひとつになっている。その0.5を取り戻すのは、資格を取得することではなく、どういう医師でありたいか、ということが重要であると描かれていた。深冬の「指導員の資格が欲しい」という願いすら、しがらみに縛られる行動なのだととらえていいだろう。

 それと同時に、蒲生教授の存在によって、病院の経営を守ろうと躍起になっている壮大と、そんなしがらみは無意味で目の前の患者を救うことが重要と考える沖田の対立がさらに際立っていた。そのほか、小児科を守ろうとしていた虎之助も、沖田の良心と共鳴しているわけではなく、単に壮大との対立に沖田を利用している部分があることも徐々にあきらかになってきた。

 よくある権力や派閥の抗争を描いた男社会の物語は、どちらかが覇権争いに勝って終わることも多い。ただ、沖田は、権力や派閥やしがらみから、一切自由であることが魅力の人物。そんな沖田が権力を手にして終わるという物語にはならないだろうと予想している。

      

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