青春はアンディ・ラウとともにーー台湾メガヒット映画『私の少女時代』のノスタルジー

台湾メガヒット『私の少女時代-OUR TIMES-』評

 00年代の半ば頃から台湾映画界は驚異の復活を遂げてきた。『海角七号 君想う、国境の南』(08)、『モンガに散る』(10)、『セデック・バレ』(11)、『あの頃、君を追いかけた』(11)、『KANO 1931海の向こうの甲子園』(14)を始め、現地の大ヒット作が日本公開される頻度も増えた今、その最新版ともいうべきメガヒット作品がついに日本上陸。それが『私の少女時代-OUR TIMES-』である。

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 台湾では興収4億台湾ドル(約13億円)という数字を叩き出し、15年におけるNO.1の座を獲得。その勢いは国内にとどまらず、中国、香港、韓国でも社会現象と言われるほどの大ヒットを呼び起こしている。その噂は当然ながら日本にも伝わり、いち早く上映された「第11回大阪アジアン映画祭」ではチケット発売開始から5分で完売、さらに「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016」ではたった3分で完売したというから驚きである。

 本作は高校生の男女が思いを寄せ合う青春映画なので、きっとメインとなるターゲットはそれ相応の年代であるに違いない。そうとは思いながら、私のような齢40に達しようとしているオジサンも参加させていただいてよろしいでしょうか…? と、まあ、そんな卑屈な想いを胸に臨んでみたところ、ここに「少女時代」として描かれているのが思いのほか90年代だったので驚いた。私の青春時代とドンピシャじゃないですか。

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 そこで、これがデビュー作となった女性監督フランキー・チェンのプロフィールを紐解いてみて納得。なるほど、彼女も私とさほど年齢が変わらない。昨今の台湾映画の大ヒット作にはこうやって「時代を超えて歴史を振り返る」あるいは「ノスタルジーを呼び覚ます」といった趣向のものが多いように感じるが、本作もまたこうしてターゲットを限定せず、時代を貫くように青春時代を俯瞰する視座を持っている。

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