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テレ東深夜ドラマ、“攻めた”作風の狙いは? 佐久間宣行P × 阿部真士P『刑事ダンス』インタビュー

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sakkuma-abeth.jpg左、佐久間宣行氏。右、阿部真士氏。

 2005年にスタートした「ドラマ24」で放送された『勇者ヨシヒコ』シリーズや『孤独のグルメ』シリーズなどが熱狂的なファンを獲得し、「尖ってる!」「攻めてる!」という評価が定着したテレビ東京の深夜ドラマ枠。そのテレ東が、2016年4月に設けた新たな深夜ドラマ枠が「土曜ドラマ24」だ。『昼のセント酒』『徳山大五郎を誰が殺したか?』に続き、現在は3作目のコメディ・ドラマ『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』が放送されている。Wプロデューサーを務めるのは、テレ東で『ゴッドタン』や『ウレロ☆未確認少女』シリーズなどのバラエティ番組を作ってきた佐久間宣行と、ドラマ班の阿部真士(『モテキ』『みんな!エスパーだよ!』シリーズ)。班を超えてタッグを組んだ2人の狙いとは?(須永貴子)

佐久間「テレビを見ない視聴者層の掘り起こしをしたかった」

——『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(以下、『刑事ダンス』)の立ち上げについて教えてください。

佐久間宣行(以下、佐久間):僕がコメディ・ドラマの企画を提出したら、ドラマ部の阿部さんが手を挙げてくれたという流れです。

——バラエティ班の佐久間さんがドラマを作った理由とは?

佐久間:2つあります。まず、僕はアイドルが大好きなので、男子のアイドルものをやりたかったんです。うちの局で『おそ松さん』が当たったこともあって、その企画をコメディ寄りのアイドル・ドラマにすれば、いろいろな層の人に面白がってもらえるんじゃないかとぼんやり考えていたのが1年前でした。もうひとつやりたかったのは、テレビ番組のパロディや、業界の“あるある”ネタ。今って、昔あったような、批評性と愛情をもって、芸能界やテレビをパロディにした番組がまったくないんですよね。アイドルもののドラマだったら、テレビや芸能界の「これっておかしくない?」という部分を突けると思ったので、組み合わせました。

——ドラマが作りたかったんですか?

佐久間:というよりも、これまでにない番組を作って、テレビを見ない視聴者層の掘り起こしをしたかったんです。テレ東の深夜番組を見ている“若い”といわれる層は、35〜45歳なので、実は全然若くないんです。『ゴッドタン』を「地上波で一番尖ってる」と言ってもらえるのは嬉しいんですけど、地上波では40前後の人たちが「尖っている」と感じることじゃないと受け入れてもらえなくなりつつある。テレビが相当に高い年齢層のメディアになっているこの状況はちょっとヤバいと思うので、『刑事ダンス』は、それよりも若い層が面白いと思うことを狙って球を投げてる感じです。コントだと「テレビは見ない」で片付けられる恐れがあったので、「イケメンのドラマです」という形にしたかった。

——リアクションはどうですか?

佐久間:イケメン好きで、20代で、普段はバラエティを見ないタイプの人たちが、「チョーおもしろい」とか言ってくれているので、もうちょっとうまく届けていったら、どうにかなりそうだなという気はしてます。今回は敢えて、自分と同世代の人はコアターゲットと考えずに作ってます。

阿部真士(以下、阿部):うちのドラマって、若い人が本当に見ないんですよ。金曜深夜の「ドラマ24」も、M2(男性35〜49歳)やM3(男性50歳以上)がメインターゲットになっているので、若い人に見てもらうのがすごく難しい。今回はアイドルものということで、いかに若い女性に響く、バラエティ豊かな役者を揃えるかという部分を意識しました。

——お二人の役割分担は? 佐久間さんの現場での関わり方は『SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜』とはどう違いますか?

阿部:基本、佐久間さんにお任せしつつ、キャスティングのお手伝いをしたくらいです。

佐久間:『SICKS』はコントやバラエティ番組の作家が書いたものを、ドラマの監督と技術スタッフ、役者を連れてきて、バラエティのルールで撮ったコント番組。今回はほぼ、ドラマのルールで撮ったコメディ・ドラマです。

——一緒にやってみて、どうですか?

阿部:佐久間さんのこだわりがすごいなと思いました。普通のドラマでは、一話ごとにロケ場所を変えるってことはまずないんです。予算やスケジュールの問題もあるので、メインのロケ場所やセットを決めて、そこを軸に撮っていく。今回、AP(アシスタント・プロデューサー)からも「佐久間さんに(そのやり方はドラマではできないって)言ったほうがいいんじゃないですか?」と言われましたが、「そこを封じちゃうと新しいものが生まれないから、今回は佐久間さんに任せたほうがいい」という話をしたら、結果的に一話ごとにまったく違う作り方になりました(苦笑)。役者もスタッフも、相当高いカロリーを使ってます。

佐久間:そうなんですよね。こんなこと、本当はやっちゃいけないんですよね。一話ごとに手探りで、「なんでこんなこと始めたんだろう…」って嘆いてます(笑)。

佐久間「信じられないくらい5人の仲がいい」

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——中村蒼さんを主演にした理由は?

佐久間:「アイドルのセンター顔で、どイケメンって誰だろう?」と考えたら蒼くんが思い浮かんだので。オファーしたら、一瞬悩んで受けてくれました(笑)。

阿部:一瞬悩んでましたね(笑)。

——中村さんを中心に、バランスの良い人をはめていった?

佐久間:はい。今回、信じられないくらい5人の仲がいいんです。5人揃って空き時間にラーメンを食べに行くくらい。蒼くんて、ものすごい人見知りで、現場で心を閉ざすタイプらしいんですけど、今回は初めて初日に心を開いたそうです。

阿部:いい雰囲気なんですよねえ。

——若い女性に訴える“チーム男子”ものを作るうえで、先ほど話題に出た『おそ松さん』を参考にしましたか?

佐久間:毎回必ず5人の会話のシーンをちゃんとつくって、そこを面白いと思ってもらおうという部分では、ちょっと参考にしました。

——若い女性を熱狂させるスイッチってわかりますか?

佐久間:それは謎です。だって僕、昔から星野源さんもSAKEROCKも好きでしたけど、まさか彼がこんな風に女の子からキャーキャー言われる存在になるなんて思いもしなかったですから。なんなら僕たちのものだと思ってました(笑)。

阿部「『みんな!エスパーだよ!』のときは、実はウラでものすごく怒られていた」

——今回のドラマで「攻めている」と言われるポイントが、芸能界や業界のあるあるネタです。他局の番組のパロディや、芸能人ゴシップのOK/NGラインはどう引いていますか?

佐久間:特に考えてないです。とんねるずさんが『田舎に泊まろう』の、坂上忍さんが『フリーター、家を買う』のパロディをやってましたけど、パロディという文化はバラエティの世界ではリスペクトに近いので、されて怒る人はまずいないはず。僕も、自分が好きなものしかネタにしていないので、それで怒られたら謝りますけど、バラエティの人はまず怒らないと思っています。

——佐久間さんが「この芸能人のこのゴシップネタを入れて」と指示することは?

佐久間:脚本家が上げてきたものを読んで、ドラマが面白くなるならやりましょう、という姿勢です。

——阿部さんは、ヒヤヒヤしませんか?

阿部:そうなんですよ。実は、バラエティとドラマは、役者やプロダクション行政の文化がちょっと違うので、予めいくつか「ここはタッチしないでください」というお願いはしました。ただ、パロディに関しては僕も、佐久間さんと同じ意見です。

——テレビ東京の深夜ドラマがブランド化されてきた状況をどう受けとめていますか?

阿部:『モテキ』あたりから「ドラマ24」枠がブランド化できていますが、『アオイホノオ』など20代を描くドラマでも、視聴者の年齢はもっと上という認識です。その結果、『孤独のグルメ』のように少し落ち着いた、手堅い作品をシリーズ化しているあたり、若干、攻め方が足りないかな、保守的になっているかな、という気がします。

佐久間:そうなんですよねー。

阿部:もう一回、ガツンと、「テレ東攻めてるな」っていう作品をやっていきたいなと思っています。

——テレ東の番組は自由度が高いように見えますが、実際はどうですか?

阿部:たまに、いろいろな制作会社や、事務所の方から、「テレ東って本当に自由に新しいものをやってますよね」と言われるんですけど、『みんな!エスパーだよ!』のときは、実はウラでものすごく怒られていたので、「なんでもありというわけではないんだよなー」と(笑)。

佐久間 そうですよね。別に、自由ではないです。

——ちゃんとルールはある。『刑事ダンス』は怒られます?

阿部:いえ、まったく。

佐久間:50歳くらいの制作部の先輩には「よくわかんなかった」って言われました。「まあでもそのうちついていけますよ」って言いましたけど(笑)。

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