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蓮佛美沙子、“塩顔”女優の強み 共演者や脚本を引き立てる演技の“隠し味”とは

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 今期も火曜夜10時台は、ドラマの激戦枠となっている。NHKは田中麗奈を主演に岐阜県の山あいの小さな街を舞台とした静かな恋愛劇『愛おしくて』を、TBSは深田恭子とディーン・フジオカのツンデレラブコメディ『ダメな私に恋してください』を、そしてカンテレ制作フジテレビ系では遠藤憲一と渡部篤郎が義理の父と息子になるまでの中年男性の物語『お義父さんと呼ばせて』を、それぞれ放送している。

 初回視聴率は、1週遅れのスタートとなった『お義父さんと呼ばせて』がトップだったものの、右肩下がりですでに半分近く数字を落とした。しかし内容的には決してつまらなくなったというわけではなく、むしろ視聴者の感想も好評である。ホームドラマが時流に合わなかったのか、録画組が増えたのか、はたまた今人気のディーン・フジオカ効果で女性層がTBSに移ってしまったのかは定かではないが、オリジナル脚本の内容や出演者の演技が面白いので、ここは一踏ん張りしてもらいたいところである。同作では、和久井映見や新川優愛など、脇を固める女優陣もいい味を出していて、中でもヒロインである蓮佛美沙子の存在が目立っている。同番組復活の鍵となるのは、おそらく彼女ではないか。

 蓮佛は、遠藤演じる彼氏と28歳差の年の差カップルで、渡部演じる父と対立する娘という難しい役柄を演じている。一見、田中麗奈や深田恭子に比べ存在感は薄いようにも感じるが、その健気な演技はキャラが濃い主役2人の中和剤となり、名バイプレーヤーと呼ぶにふさわしい存在感を発揮している。昨今は、“塩顔”と呼ばれるあっさりした顔立ちの俳優が絶妙なさじ加減の演技とともに注目されており、蓮佛はまさにその代表格として吉田羊と並んで再評価されつつあるが、今回の役柄ではそんな彼女の魅力が存分に活かされているのである。

 実年齢より上に見られがちだが、蓮佛はもうすぐ25歳。顔は知っているという方も少なくないと思うが、2006年のデビューから数多くのドラマや映画に出演し、実は約10年のキャリアがある若き実力派だ。デビュー間もない2007年に出演した映画『転校生-さよなら あなた-』は、男女が入れ替わる大林宣彦の往年の名作『転校生』のリメイク版で、見た目は女性で中身は男、しかもリメイク版では不治の病という設定がプラスされ、相当難しい役柄となっていたのだが、蓮佛は映画初主演にも関わらず違和感なく演じきり、大林監督に「20年に1人の逸材ですよ」と言わしめた。

 時にはボーイッシュ、時には影のある女と、数多くの女子高生役を十人十色に演じてきた蓮佛は、幅の広い役柄を演じることについて「『あの人はこういう役』というイメージを作りたくない」と発言するなど、役者として確固たるビジョンを抱いている。その姿勢は2012年に主演した廣木隆一監督の映画『RIVER』でも活かされ、秋葉原無差別殺傷事件で恋人を失った女性という葛藤のある役柄ながら、ドキュメンタリータッチで自然に演じてみせた。「これまでのことを全て削ぎ落としてお芝居ができた」という演技は、映画『ヴァイブレータ』や『軽蔑』など、女優が人生をかけて体当たりする作品を多く手がけてきた廣木監督さえ「上手すぎる」と唸るほどだった。

     
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