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脚本家・演出家/登米裕一の日常的演技論

Kis-My-Ft2藤ヶ谷太輔、なぜ同性からもモテるのか? 若手演出家が演技面から考察

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(C)タナカケンイチ

 若手の脚本家・演出家として活躍する登米裕一が、気になる俳優やドラマ・映画について日常的な視点から考察する新連載。第一回は、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔をピックアップ。(編集部)


 Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔君の演技を見ていると、同性の私から見ても素直にカッコイイと思えるナチュラルさがあります。一方、日常生活で「何だかカッコつけてて嫌よね」と陰口を叩かれている人にたまに出会います。顔が良かったりオシャレだったりもするのに、周囲に受け入れてもらえない人と藤ヶ谷君とは何が違うのか。

 私は演出家として様々な演者と向き合って来ましたが、その演者が“呼吸”をコントロール出来ているかどうかを重要視しています。演技の上手い人と言うのは呼吸の仕方が上手い人です。平常時、人はお腹で呼吸をしています。心が安定していると呼吸の重心は低いんですね。しかし、「緊張」「恐怖」「怒り」「哀しみ」と言った何かしらの感情が沸き上がると呼吸の重心も上がります。学校の授業中に先生から指名されると、急に上半身に力が入って肩や胸で息をしてしまう人は多いでしょう。苦手な人物やプレッシャーのかかる出来事などに直面した時に人の呼吸は乱れるもので、それが普通なんです。

 でも、藤ヶ谷君が現在出演しているドラマ『MARS~ただ、君を愛してる~』で演じている樫野零は、常に自然な呼吸をしていました。第一話において零がヒロインである麻生キラに出会う場面にしろ、登校時に女子高生に挨拶される場面にしろ、一切呼吸は乱れません。英語教師の吉岡に嫌がらせされる場面でもそうです。板書するように指名されようが、美術室で対峙しようが、脅威を脅威と感じていないかのように安定した呼吸です。ドラマの中で呼吸が乱れる瞬間はほとんどありませんでした。(もちろん走った直後は息が乱れていましたけれど)

 藤ヶ谷君がナチュラルにカッコよく見えるのは、普通なら緊張するような場面でもナチュラルな呼吸が出来ているからです。呼吸が乱れない人物は大物に見えます。逆にドラマで小物を演じようと思ったら、わざわざ小物っぽいセリフを言わなくても呼吸の浅さだけで充分表現は出来ます。

 日常生活においてもカッコ悪い人、あるいはカッコ悪いと言う印象をこちらが抱いてしまう人は、「カッコつけよう」として緊張しているのか、体のどこかに力が入っているため呼吸も不安定になりがちです。そして、呼吸のリズムは周囲の人に感染します。呼吸が乱れている人のそばにいると、連られて呼吸が乱れてしまうんですね。だから「この人とは一緒にいたくない」と、無意識のうちに思ってしまいます。

     
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