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『ワンダーランドへようこそ ~in Shibuya WWW X~』

ORESAMAの“華やかなエンタメ感”はさらに拡張する WWW Xワンマンを観て

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「この2年間、結構長かったな。変わったこと、変わらせなかったことが沢山あって、起こったすべてが今の私たちを作ってきてくれて」

「2018年、どんな年にしたいですか? 今年はもっと楽しい場所にみんなを連れていきます。 よろしくお願いします!!」

 2017年5月の再メジャーデビュー以降、人気アニメとの連続タイアップや初の実写MVなどで、新たな可能性を追究してきたORESAMA。冒頭に引用したぽんのMC通り、2018年初のワンマンライブ『ワンダーランドへようこそ ~in Shibuya WWW X~』は、4月に予定されるメジャー1stアルバム『Hi-Fi POPS』の情報解禁&新曲披露も行なわれるなど、充実の1年を経てより大きな場所へと踏み出していく彼らの今を象徴するようなステージだった。

 この日もMONICO(DJ)と三浦光義(Ba)をサポートに迎えた4人編成。スタンリー・キューブリック監督作『2001年宇宙の旅』のテーマ曲としてお馴染みの「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れると、スクリーンに「2018」「ワンダーランドへようこそ」という文字や宇宙船のようなグラフィックが投影される中でメンバーが登場。「銀河」でライブをスタートさせると、うとまるのイラストを使ったVJも相まってワンダーランドへの招待状とも言える華やかでポップなサウンドが広がっていく。その様子は、たとえるならP-Funkのライブにあった全能感や多幸感を彼ら流に置き換えたような雰囲気だ。2曲目「Listen to my heart」ではチョッパーを駆使する三浦光義とギターを持った小島英也がステージ両端の台に乗って観客を煽り「Trip Trip Trip」に繋ぐと、ぽんもこれまで以上にダイナミックなパフォーマンスで観客を盛り上げる。この編成になってからのライブは演奏の熱量やエンターテインメント性が目に見えて上がっていて、初期には小島英也がラップトップからギターまで担当していたライブの形が、時を経てバンドとしての高い肉体性を獲得したことを伝えるようだ。続く「オオカミハート」ではイントロから大歓声。随所で効果的に会場を覆うレーザーなども含めて、過去以上に華やかなエンタメ感が感じられた。

 そうしてポップに押し切るパワーが上がったことで、一度引いてみたときの魅力が増して感じられたのも印象的だった。中盤、H△Gとのスプリット盤収録曲「綺麗なものばかり」を起点に徐々にグルーブが落ち着いたものに変化すると、「迷子のババロア」や「秘密」ではぽんの歌の感情表現がより豊かに観客を魅了する。もともとORESAMAの楽曲にはセンチメンタルなポップ曲やスムースなR&B/ソウルの影響下にある曲も存在し、特に近年はポップなサウンドと歌詞とのギャップが印象的なものが増えている。たとえば昨年の再メジャーデビューシングルとなった「ワンダードライブ」では、アニメタイアップ曲として『アリスと蔵六』の世界観に寄り添いながらも、<まだこれからたくさん躓き/間違える/でも知らなかった景色/この目で見てみたいから>と、不安や挫折を乗り越えてもう一度新たな場所に飛び込んでいくメンバーの想いがストレートに表現されていた。今のORESAMAには、バラエティ豊かな楽曲とそれを成立させるぽんの多彩な感情表現の引き出しがある。そうした楽曲が観客とともにカラフルなポップミュージックとして共感の輪を広げる姿は、異なる価値観や人々をひとつに繋げるディスコのダンスフロアそのものだ。

 終盤はMONICOによるDJタイムを挟んでバンドがふたたび登場すると、「アイヲシル」「Dreamin’ Pops」を演奏してMCタイムに突入。「この間、『oresama』(2年前、インディーズで発表した初めてのアルバム)を全曲録音したスタジオに、久しぶりに行ったのですよーー」。そう切り出したぽんがメジャー1stアルバム『Hi-Fi POPS』を4月にリリースすることを発表すると会場はこの日一番の歓声に包まれ、そのままリード曲「Hi-Fi TRAIN」を初披露。この曲はタイトル通り、これまでのORESAMA流エレクトロディスコ~ファンクをよりハイファイなシンセに置き換えたスケールの大きなキラーチューンで、グンと一段ギアが上がるように伸びるサビのポップなメロディが素晴らしい。筆者を含むこの日初めて曲を聴いた観客からも大きな歓声が生まれ、彼らの今後の代表曲になることが今から想像できるような楽曲だった。

 以降は「ワンダードライブ」など昨年以降のシングル=おそらく『Hi-Fi POPS』に収録されるだろう楽曲を連発。「流星ダンスフロア」ではメンバーが揃ってステップを踏み、過去のぽんの心境を反映した「ねえ、神様?」で本編を終了。バンドの人気やファン層の広がりを受けてライブのキャパも拡大している今の勢いが詰まった楽曲の数々が、フロア全体に巨大な祝祭感を生んでいく。アンコールはディスコ・ブギーを取り入れたインディーズ時代からの人気曲「乙女シック」。<愛は止まらないの/君を繋いでいたいから>という歌詞が、ORESAMAとファン、もしくはORESAMAと音楽との関係性を歌っているようで、ORESAMAの過去と現在とがひとつの線を結ぶような瞬間だった。

 今回のライブを観る限り、4月のメジャー1stアルバム『Hi-Fi POPS』は、ORESAMAの音楽がこれまで以上に多くの人々を巻き込んで外側へと広がっていくような、彼らにとっての重要なブレイクスルー作になりそうな予感がする。4月には過去最大規模となる恵比寿リキッドルームでのワンマンも決定し、充実の2017年を経て一回り大きくなったグループの可能性が、これまで以上のワクワク感で耳に飛び込んでくる姿が何よりも印象的だった。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■リリース情報
ORESAMA  メジャー1stアルバム『Hi-Fi POPS』
発売:2018年4月11日(水)
価格:初回限定盤(Blu-ray付)¥3,600(税抜)
通常盤¥3,000(税抜)

TVアニメ『魔法陣グルグル』2クール目OP主題歌入りシングル『流星ダンスフロア』
発売:2017年10月25日(水)
価格:¥1,200(税抜)

<収録曲>
01.流星ダンスフロア
02.ヨソユキノマチ
03.Waiting for…
04.流星ダンスフロア -Instrumental-
05.ヨソユキノマチ -Instrumental-
06.Waiting for… -Instrumental-

■関連リンク
ORESAMA Official Website

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