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荻原梓のチャート一刀両断!

Kis-My-Ft2「赤い果実」で打ち出した新たな側面 “演じながら歌う”楽曲スタイルから考察

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参考:2017年12月11日付週間CDシングルランキング(2017年11月27日~2017年12月3日・ORICON NEWS)

 12月11日付のオリコン週間シングルランキングでKis-My-Ft2の『赤い果実』が1位を獲得。デビューから20作連続で1位となった。

 「赤い果実」は作詞をLitz、作曲をHIKARIと原田峻輔、編曲をCHOKKAKUが担当。

 <紅(くれない)>、<闇>、<堕ちてゆく>、<迷宮>といった独特の暗い雰囲気を持ったワードを要所要所で使い、そこから<君を誘(いざな)う><救い出す>、そしてサビのラストで<綺麗な花 咲かせて 今 闇の先へと>と歌う曲である。そのためサウンド面で求められるのは、ダークでミステリアスな世界観のまま終えてしまうのではなく、最終的にどのように「希望」に着地できるのかといった点だろう。

 基本的なサウンドの軸はヘヴィロック調で、歪んだギターによるギュイーンといった音であったり、サビでの重厚なバッキングが曲の印象の大部分を司っており、そこに序盤の低めのストリングスやエレクトロニクス面が厚みを持たせている。和音や長いフレーズを流麗に弾くのではなく短めの単音を時折奏でる程度に抑えたピアノも、謎めいた歌詞の世界観を効果的に表現しているだろう。また、この曲で最も印象的と思われるのが次のフレーズだ。

<赤い果実 滲む過去を 踏み潰す 紅の世界>

 この部分における4ビートで力強く前進する感覚に、筆者は海賊ものの大予算映画などを思い出した(CDジャケットもまさにそんな風である)が、ある意味サビよりもこのフレーズのインパクトが強く記憶に残りやすい。このフレーズが冒頭に1回、1サビ後に1回、計2回登場するが、これが良い具合に場面転換として曲にメリハリを付けているため、曲全体として”暗いだけ”の曲で終わらせないものになっている。正直、ラストにもう一回このフレーズが欲しいくらいだ。

 また、2サビ後の間奏にアイドルソングとしては割りと長めの尺をとって歌詞の無いゾーンを設けている。ミュージカルを思わせるようなムードで、ライブでの演出が期待される箇所だ。ここ最近のジャニーズはNEWSのアルバム『NEVERLAND』や、嵐のアルバム『「untitled」』のラストトラック「Song for you」など、ミュージカル的な方向性に振れているものが散見される(NEWSは年末特番では6分間のオリジナルミュージカル『NEWSICAL』を披露)。ある時期の少年隊のようなそうした路線は、等身大のリアルな彼らの姿を描き出すというより、物語の登場人物としての彼らを打ち出しているかのようだ。何かストーリーの一部を切り取ったような、そして彼らがその登場人物として演じながら歌っているような楽曲の雰囲気に、今後のKis-My-Ft2の新しい魅力の一端があるのではないかと感じた一曲であった。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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