スフィアが思い出の地・代々木で起こした、ちょっとした“奇跡” 「充電期間」の重要性も考察
「今までガーッと全力ダッシュしてきたスフィアが、少しスピードを緩めて競歩みたいになるのかな」(豊崎愛生・アンコールMCより)
スフィアが3月4日と5日に代々木第一体育館で行なった約1年ぶりのワンマンライブ『LAWSON presents スフィアスーパーライブ2017 ミラクルスフィア in 代々木第一体育館』は、彼女たちの「ちょっとした奇跡」を改めて提示した公演だった。
筆者は2日目の3月5日公演のみを見たが、その前日である3月4日の公演では、スフィアが10周年(2019年)に向け、2017年6月からスタートするツアーの終了をもってユニットとしての音楽活動を休止する「充電期間」に入ることを発表した。このニュースは多くの声優ファンに衝撃を与えるとともに、その翌日である5日に、寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生の4人が、どんな言葉やパフォーマンスでその思いを伝えるのかに注目が集まっていた。
だがしかし、スフィアはそんなシリアスな場を用意するユニットではない。ライブが代表曲「Ding! Dong! Ding! Dong!」で幕を開けたと思いきや、それぞれの身体と中身、そして歌割りまでもが“入れ替わっている”という某大ヒットアニメ映画をオマージュした「ミラクルスフィア劇場『君たちの名は。』」がスタートしたことで、開演前まで緊張感を含んでいた客席が一気に笑顔に包まれた。
ちなみにこの演出は4人が発案したもので、前日の公演では違うメンバー同士が入れ替わっていたようなのだが、この日は寿が高垣を、高垣が豊崎を、戸松が寿を、豊崎が戸松を演じ(というよりはデフォルメされたモノマネに近い)、それぞれが入り込んだメンバーに対するイメージを体現しているようで微笑ましかったこと、なぜか充電期間発表のニュースが寿のソロショットだったことなどを堂々とイジり、観客を安心させたことも伝えておきたい。
この日は「感謝を込めたセットリスト」とメンバーが語るように、前半は最新作からの楽曲は最小限で、「GO AHEAD!!」、「GENESIS ARIA」、「Planet Freedom」とハイテンションな楽曲が続き、グループの名前を冠した代表曲「A.T.M.O.S.P.H.E.R.E」、さらに一段階ギアを上げた「HIGH POWERED」と、グループ初期から作詞家として寄り添った畑亜貴の関連曲を連続で置くフルスロットルな選曲。これまでの代々木体育館ライブよりも多くトロッコを使い、一瞬でも観客全員の近くへ向かって歌を届けたいーーそんな強い思いも伝わってくるようだった。
中盤は各メンバーのソロ曲として、「walk on Beliver♪」(豊崎)「Live & Try」(高垣)「カラフルダイアリー」(寿)「Q&A リサイタル! 」(戸松)を披露し、それぞれのキャラクターを改めてプレゼンテーションすると、MCを挟んで最新アルバム『ISM』から、彼女たちの大人な一面を全力で引き出した「SPHERE-ISM」、「& SPARKLIFE」で後半がスタート。<Never Ending Promise また逢えるんだ>と前向きに歌う「NEVER ENDING PARTY!!!!」、「クライマックスホイッスル」でラストスパートに突入した。そして<いつだって Let me do そう自分の意思で 歩いてたい やりたいことに 優先順位はつけずに>とここからの彼女たちを歌っているかのような「LET・ME・DO!!」、ラスト楽曲「Miracle shooter」で本編は終了した。