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中西俊夫という突出した才能を失ったーー荏開津広がキャリアと功績を振り返る

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 中西俊夫は、日本での1950年代終わりのロカビリーの始まり以来、ポップ音楽の歴史において、最も重要なアーティスト/ミュージシャンの1人である。

 中西俊夫は1956年1月に東京、広尾で生まれた。1970年代の半ば以降、彼はそのキャリアをイラストレーターとして始め、すぐに5人編成のバンド、PLASTICSを結成し、ミュージシャンとしても名声を獲得した。その後もMELON、日本で最初期のダンス・ミュージック・レーベル<MAJOR FORCE>の設立メンバーとして、同名のサウンド・プロダクション・チームとしても旺盛に活動していった。

 1980年にファースト・アルバム『WELCOME PLASTICS』をリリースしたPLASTICSは、誰の助けを借りることなく、日本から現れたバンドのなかで特筆すべき達成を手にしたバンドだ。彼らは“テクノポップ”の傘に入られデビュー・アルバムを10万枚以上売ったとされる。同年に来日したB-52’sの公演の前座をつとめたが、そのライブ・パフォーマンスをB-52’sのマネージメントに気に入られ、アメリカでのツアーを行った。初めての合衆国でのライブは3カ所だけだったが、その後、計3回、全米ツアー、そしてUKを中心としたヨーロッパ・ツアーを盛況に終わらせている。そのツアーの様子は今でもオンラインで見ることができる。

 当時、ボブ・マーリーを世界に知らしめた<アイランド・レコード>のクリス・ブラックウェルは、ポスト・ボブ・マーリーのアクトとして、黒人女性、それにアジア人のアーティストを探しており、白羽の矢をたてられたのは、グレース・ジョーンズとPLASTICSだった。1981年には、彼らはそれまで日本国内でリリースしていた2枚のアルバムから曲を選び再レコーディングし、『WELCOME BACK』としてワールド・ワイドにリリースした。こうした作品に彼が書く歌詞は英語だったし、メロディの持つタイムレスな魅力ゆえ、32年後にラグジュアリー・ブランドのDiorが彼の曲をCMに使った。同時に、中西は村八分や、実験演劇シーンで結成され同じ“テクノポップ”として持て囃されたヒカシューの歌詞を高く評価していた。その感受性が日本語でのロック/ポップのよき流れと結びついていたことが判る。

 今でこそミュージシャンとして活動し、自身の作品を含めビデオを制作するのは珍しくないが(stillichimiyaからGRIMESまで)、イラストレーション、デザインワークはもちろん、自分たちのビデオのシノプシスも書く中西俊夫はそうしたマルチメディアでの表現の先駆けだった。

 PLASTICSやMELON、MAJOR FORCEなどに作ったもの以外には、PLASTICSとしてデビューする前のファッション雑誌『装苑』での1977年の連載「ストリート・ニュース」、もしくはTalking Headsのシングル『Life During Wartime』、 『Cities』に立花ハジメとPLASTICS名義で提供したアートワークの素晴らしさと審美的可能性を強調しておきたい。

 前述のPLASTICSとしての3枚は、その意匠でも判るように、ニューウェーブなロックン・ロール・バンドからよりコンテンポラリーなダンスへの変化の時期を捉えていたといってもいい。その後PLASTICSのメンバーでもあった佐藤チカと結成したMELONは、サイケデリック/ラウンジなファンクからエレクトロ・ユニットへと移行し、2枚目のアルバム『Deep Cut』は<EPIC/SONY>からのUK/ヨーロッパ・リリースだった。その後、中西俊夫は、90年代を通し2002年までロンドンを拠点に活動を行った。当時の中西の仕事は多岐に渡るが、ハウィーB、工藤昌之らSkylabの2枚のアルバム、そしてE.M.Sなどを多用したアシッドな音響記録としてのプロダクション『Major Force West 93-97』が挙げられる。

 中西俊夫は、そのキャリアにおいて当初からグローバルだった。都市の中心で育った人間特有の、彼の分け隔てない、ユーモアたっぷりの人柄とは別に、音楽的にはそれは彼がその頃世界中にいたThe Velvet Undergroundの子供たちに含まれるということだ。また、そもそも音楽的記憶としてThe Venturesのようなダンスのためのギター・インストゥルメンタルから出発したが、Kraftwerkの重要性に気がつき、結成当初パンク・バンドだったPLASTICSの方向を変えたことは彼の音楽とキャリアの離陸を促した。

     
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