ピコ太郎「PPAP」の“共通ネタ”としての強さ アルバムは音楽的切り口も楽しめる作品に

 「どこが面白いかわからない」という揶揄を受けながらも多くの人にとっての共通のネタとしてすっかり浸透したピコ太郎と「PPAP」。最近では歌番組でもその姿を見かけるが、11月の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)、12月の『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)のいずれにおいても歌詞の表示方法が通常とは異なるものになっており(歌唱と同時に手元に歌詞が表示されるというYouTubeの動画を模したスタイル)、番組の作り手側の「このネタをいじくりまわしたい」という欲求が刺激されているさまが窺える。「踊ってみた」動画や様々な形のカバーがネット上に溢れていることも含めて、「真似したい、一緒にやりたい、アレンジしたい」というモチベーションを今年世界で一番引き出したコンテンツが「PPAP」なのだろう。

 ちなみに今作には「PPAP」のオリジナル・カラオケバージョンも収録されており、忘年会での披露に向けてその音源目当てで購入した層もそれなりの数がいると思われる。そういった人たちが、「『PPAP』さえあればいい」と思わずに他の楽曲も聴いてくれていることを願わずにはいられない。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。

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