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渡辺志保の新譜キュレーション 第2回

グッチ・メイン、レミー・マー……USヒップホップ・シーンを賑わす“ムショ帰り”ラッパーたち

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シンガー
渡辺志保
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 こんにちは。今回は、アメリカのヒップホップ・シーンを色々と騒がせている刑務所帰りのラッパーたちの話題をお届けしたいと思います。

 アメリカでは、日本とは違って刑務所が民営化されており、その稼働率が高いこと、犯罪の検挙率(特にアフリカン・アメリカンやヒスパニックの男性における割合)が高いこともあってか、「ムショ帰り」の感覚が日本とは少し異なります。特にヒップホップ・シーンでは、プロモーションかのごとく、刑期を終えたラッパーのお祝いを盛大にすることも珍しくありません。無論、殺人や婦女暴行などの罰で監獄にいた方は論外ですが……。

 そんなわけで、ここのところおツトメを終えて帰還してきたラッパーたちのホットな新曲を紹介させて頂きます。

 まずはジョージア州アトランタのラップ・シーンを支えてきたグッチ・メイン。アメリカ南部=サウス・エリアは独特の文化と相まって、非常にヒップホップ文化が栄えてきたエリア。その中でもアトランタは90年代初期よりシーンを牽引してきた地域です。グッチは2005年にヒット・シングル「Icy」を放ち(それが原因で地元のスターラッパー、ヤング・ジージーともめたことも)、その後、「Wasted」の爆発的ヒットをきっかけにマライア・キャリーやアッシャー、ジェイミー・フォックスやニッキー・ミナージュらとコラボを果たし、一気に人気MCへの階段を駆け上りました。おびただしいほどのミックステープを量産し、その多作っぷりも評価されて地元アトランタではスターとして崇められていたほどの存在。

 そんなグッチですが、2013年9月に銃を所持したとの疑いで逮捕されてしまうことに。地元で彼の不在を嘆く者も多かったのですが、模範囚として評価されたのか、2016年5月に予定よりも4カ月早く刑期を終え、めでたくシャバに戻って来たのでした。

 さらに驚くべきは、不在期間を一気に払拭するかのように、釈放から24時間たたぬうちに新曲「First Day Out Tha Feds」(釈放初日、の意)をリリースしたこと(ちなみにMVは後日、6月5日に発表されたもの。ちなみにグッチはおツトメ期間中に20kgを超える減量に成功したことも話題に)。

グッチ・メイン「First Day Out Tha Feds」

 「First Day Out Tha Feds」は瞬く間にネット上でバイラル・ヒットとなり、発表から24時間で110万回再生を記録したほど! どれだけの人々がグッチの帰還を喜んだのかが分かります。シャバへの帰還と同時にアルバム制作をスタートしたグッチが作り上げたのが、この『Everybody Looking』。ドレイクやカニエ・ウエストら、極上のゲスト陣と(超特急で)作り上げた秀作! グッチ・メインの右腕とも言えるプロデューサー、ゼイトーヴェンとのコンビネーションもたまりません。個人的には、グッチ不在の期間に一気にアトランタから全米へと名を上げた注目株、ヤング・サグが歓喜の意を表した「Guwop Home」(※Guwopはグッチの愛称で、「おかえり、グッチ」という意)を推したいと思います。

グッチ・メイン「 Guwop Home feat. Young Thug」

 ちなみにこのアルバム、アメリカ本国ではビルボード・総合チャートで初登場2位をマーク。全米のリスナーがグッチのカムバックを祝っているかと思うとちょっと感動しちゃいます。

 次に紹介したいのは、ハーレムのラッパーであるマックス・B。2000年代半ばよりザ・ディプロマッツと呼ばれる地元の人気クルーとツルみながらラップのキャリアをスタートし、その後、サウス・ブロンクスを拠点に活動していたラッパーのフレンチ・モンタナとともに楽曲を発表するようになります。

 マックス、そしてフレンチのキャリアも軌道に乗り始めたころ、マックスの身に悲劇が。2006年に起きた強盗殺人事件に関する第一級殺人罪など合計9つの罪状を突きつけられ、監獄入りに。なんと75年の刑期を言い渡されてしまいます。ほぼ終身刑と変わらぬほどの重刑ですが、ここで尽力し続けたのがマックスの弟的存在でもあるフレンチ・モンタナ。つい最近、幾度にわたる司法取引の末、早ければ2年以内にマックスを釈放することが決まったのです! 最悪のケースでも2022年には釈放が叶うそうで、これはマックス側にとっては一生に一度の好機。フレンチとマックスといえば、今年の2月に二人のコラボ・ミックステープ『Wave Gods』がリリースされ、同じく2月に発表されたカニエ・ウエストのアルバム『The Life Of Pablo』では、フレンチ自身が監獄にいるマックスの肉声を電話を介して録音し、その音源がインタールードとして使用されるなど、にわかにマックスに関わる動きが活発になっていたところでした。

 そして、10月にリリースされる予定のフレンチ・モンタナの最新アルバム『MC4』にも、マックス・Bをフィーチャーした楽曲が。さらにはマックス・Bの母親によるメッセージ音声も収録されており、マックスの帰還を祝う準備は万端のようです。

フレンチ・モンタナ『Wave Gods』(Hosted By マックス・B)

     
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