『HEY! HEY! NEO!』プロデューサーが語る、新しい音楽番組への挑戦「歌にもトークにもライブ感を」

『HEY! HEY! NEO!』番組Pインタビュー

 音楽の魅力を広く伝えるメディアとして、大きな機能を果たすテレビの音楽番組。CD全盛期に比べて番組数が減少する中、それぞれ趣向を凝らした番組づくりが行われている。なかでも、2015年秋にスタートした『HEY! HEY! NEO!』は、フェスシーンで人気を誇る若手バンドや、テレビ出演が珍しいアーティストを招き、ライブハウスさながらのパフォーマンスと、司会のダウンタウンと出演者による予測不能なトークを展開している。今回リアルサウンドでは、同番組のプロデューサー・三浦淳氏にインタビューを敢行。これまでの放送を振り返りながら、『HEY! HEY! NEO!』が目指す音楽番組のかたちについて話を訊いた。(編集部)

「ダウンタウンさんと『はじめまして』の人をぶつける場に」

ーー番組の立ち上げ経緯からお伺いできますか。

三浦:『HEY! HEY! HEY!』の頃から、僕はADとして番組に携わっていました。レギュラーが終わったあとの約2年くらいは、年に2〜3回の定期特番として放送していて、そのタイミングで担当プロデューサーになりました。しばらくして、ゴールデンタイムではない時間帯に新しい番組として始めようということでスピンオフ番組『HEY! HEY! NEO!』が生まれました。『HEY! HEY! HEY!』は、ダウンタウンさんとミュージシャンがはじめて出会った瞬間のワクワク感がいちばんの面白さだと思っていて。

ーーそれは、大きなポイントですね。

三浦:はい。僕は音楽が大好きで、ウルフルズやTHE YELLOW MONKEYがどんなバンドでどんなキャラクターかということは、ライブなどで知ることができていたけど、バンドをあまり知らない人からしたら、彼らのキャラクターについて知る機会はほとんどないですよね。それを『HEY! HEY! HEY!』でダウンタウンが引き出したんです。番組としてもそういった化学反応を生み出す機会をつくりたい反面、ゴールデンタイムの時間帯にもマッチして、ダウンタウンさんと「はじめまして」のアーティストを見つけることがなかなか難しくなっていって。そこで、23時台に時間を移し、スピンオフの『HEY! HEY! NEO!』として、ダウンタウンさんに対して新しいアーティストをぶつけていくコンセプトをより強めていきました。

ーーダウンタウンのお二人の反応はいかがでしたか?

三浦:ダウンタウンさんに『HEY! HEY! NEO!』の番組趣旨をお話ししたら、乗ってくださって。そして1回やってみたところ非常に感触がよかったので、もう1回やらせてくださいとお願いに行って。それで2回目も実現したという感じです。

ーー出演アーティストについてのこだわりは。

三浦:1回目は、特にフェスでいちばん熱い人たちを集めました。フェスでヘッドライナーやトリを務める人たちばかりに声をかけたら、みんな集まってくれて。そのときに、アーティストも『HEY! HEY! HEY!』のあの感じを待っていたんだなと感じましたね。2回目はなかなかテレビに出ていなかった人も含めて、ダウンタウンさんに対して「はじめまして」の人をぶつけました。そこでKen Yokoyamaさん、銀杏BOYZの峯田和伸さんにも出てもらうことができました。今後も必ずしもニューカマーばかりというわけではなく、すでに世の中に知られているけれども、ダウンタウンさんと「はじめまして」の人をぶつける場にしていきたいと思っています。そういう意味で、出演してもらうべき人たちがまだたくさんいることが今回改めてわかったのは大きな収穫でしたね。

ーー特に2回目の放送後、「ライブが地上波とは思えない盛り上がりだった」という声を多く聞いたのですが、それは演出として意識されたポイントなのでしょうか。

三浦:『HEY! HEY! HEY!』では、実はダウンタウンさんはアーティストのライブパフォーマンスを見ていなかったんです。基本はトークだけの絡み。お二人はその人たちがどんなパフォーマンスをしているのか、誰がどのパートなのかも分からない環境でトークをしていたんです。「え? キミがギターなの?」「ボーカルなの?」という反応が面白かった部分でもあるんですけど、『HEY! HEY! NEO!』ではどんなパフォーマンスをしているのか、ファンの熱も含めて直に感じてもらった上でトークをするのがいいんじゃないかと思いまして。

ーーなるほど。

三浦:2回目に出演したKen YokoyamaとSiMに関しては、“いつも通りのライブ”に、よりこだわりました。テレビだからいつものパフォーマンスが見られないということは考えられなかった。でないと、僕はあの2組の普段のすごさや魅力が伝わらないと思ったんです。安全面で万全の態勢を整えるという前提ありきで普段のライブパフォーマンスをしてもらい、ファンがいつも通り楽しむ姿をダウンタウンさんに見てもらいたかった。「これはテレビ収録ではなく、ライブだと思ってください。たまたまダウンタウンがステージ横で見てますけど、来ているファンはいつものフェスやイベント、自分たちのライブと一緒なので、“ライブ”をやってください。テレビ的なことは一切しなくていいです」と、全アーティストに対してお願いしました。

ーーパフォーマンスを見たダウンタウンの唖然とした表情は、すごく面白かったです(笑)。

三浦:そうですよね、おそらく見たことないですからね。お客さんの頭上をあんなふうに人が転がっていくところなんて(笑)。

ーー出演したアーティストの反応はいかがでしたか。

三浦:みんなすごく喜んでくれました。本当にいつも通りの感じでできたと。ダウンタウンとのトークにプレッシャーを感じながらも、終わったあとはみんなすごくよかった、ありがとうという感じで。本当に子どものような顔でみんな帰って行きました(笑)。

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