アイドルのストリートスナップが持つリアリティとは? 岡島紳士が『idp magazine』から考察

 アイドルがスマホなどで自分自身を撮影した画像は、Twitter、Instagram、ブログなど、日々様々なネットサービスを通じ、ファンの元へ届けられて行く。それらの画像は仕事の合間や自宅など、プライベートな時間や場所で撮影されたものも数多い。CHEERZやDMM.yellといったアイドルや有名人による写真投稿アプリも浸透し、自撮り、他撮りを問わず、今は全てのアイドルの画像が商品となり、プロモーションへと繋がって行く状況だ。アイドルにとっては、もはや「日常の全てがアイドル活動の一環」といっても差し支えないのかもしれない。

 そんな中、アイドル業界とファッション業界にとって初の試みとなった「アイドルの私服」に特化したストリートスナップ雑誌『idp magazine』(ストリート編集室)が昨年10月に発刊された。

ファッション誌と自撮り画像の中間のようなリアリティー

 『idp magazine』は、原宿・代官山中心のストリートファッション写真誌「FRUiTS」の別冊で、総勢80名以上のアイドルの、私服姿によるストリートスナップが80点以上収録されている。掲載グループは以下の通りだ。

アンドクレイジー/乙女新党/Carnival☆Stars/神宿/椎名ぴかりん/GEM/Stella☆Beats/東京パフォーマンスドール/drop/HoneyBunny/バンドじゃないもん!/BPM15Q/PiiiiiiiN/プティパ-petit pas!-/ベイビーレイズJAPAN/BELLRING少女ハート/妄想キャリブレーション/柚希未結/夢みるアドレセンス/ゆるめるモ!/吉田凜音/愛乙女★DOLL/わーすた/
※一部メンバー全員が撮影できていないグループもある。

 掲載されている全ての写真はストリートスナップ。私服であるため、冒頭に書いたようなスマホの自撮りのような画像と共通した「プライベート感」を感じさせる。ファッション誌のグラビアと、スマホ画像のちょうど中間のようなリアリティーを感じさせてくれる質感だ。

アイドルの非日常と日常を認識させられる

 また、全身を写した写真であるため、バストアップが多い自撮りとは違い、アイドルが普段どんなファッションをしているのかがはっきりと分かるのが面白い。ステージ衣装を着た姿とのギャップを楽しめるのも、同書の魅力だろう。

 さらに古着系、ロリータファッション系、青文字系など、ひとくちに「アイドルの私服」と言っても、様々なタイプがあることに感心させられる。

 そして同時に、私服を着ていれば「可愛いけれど“普通の子”」として違和感なく街に溶け込めてしまうことに、はっとさせられてしまう。こうした普通の女の子が、日々ステージに上がりハードにライブをこなしているのかと思うと、とても不思議な気分にさせられる。非日常でしかない存在が急に日常と地続きの存在であると無理矢理認識させられてしまうような体験を、同書はさせてくれる。

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