a flood of circle佐々木亮介が表明する、“ロックンロール”への危機感「一番ポップな部分から、バンドが置き去りにされてる」

afoc佐々木が表明する、“ロックンロール”への危機感

20151106-afoc8.jpg

 

「トーキングブルースでもラップでもない日本語の歌って、そこにカギがあるかもしれない」

――なるほど。そういう日本語の独特な響きと、ロックンロールという様式美を融合する。それは確かに誰もやったことがないし、確かに最初に言っていた「ジャパニーズ・ロックンロール」を更新できる可能性を持っている。確かにそこはa flood of circleの武器ですね。

佐々木:はい。そこは自覚的じゃないとダメだと思ってるし、勝手に使命感すら感じてます。だから、もっとデカいところでやりたいんですよ。動員力もほしい。フェスの大きなステージに出たときも、俺らはまだ一番手なんですよね。単純にその悔しさみたいなものもあるんだけど、それ以上に、俺たちが「これが格好いいんだ」って思ってるスタイルにまだまだ可能性がある気がするんですよ。もっと面白いことを伝えられそうな気がしている。もっと大きな場所に自分が立った時に、どんな新曲が書けるかが楽しみで。だから今の「浮いてる感」みたいなものは逆にバンドの武器だと思っているので。そこは研ぎ澄ましたいなと思ってますね。

――それを踏まえて、もう一度「花」という曲の話に戻すと、僕が「おっ」と思ったのは2番のAメロだったんですよ。単純にメロディに対して言葉数が多すぎる。それが、トーキングブルースでもないし、ヒップホップのフロウでもないし、独特の歌い方になっている。

佐々木:そう! 実はヒップホップのフロウじゃないことをやるのが、この曲の目標だったりしたんです。そこに高田渡さんの影響もある。高田渡さんって、明治時代の演歌詞も使っていたりするんですよ。で、その時代の演歌って今みんなが思う演歌とは全然違うんですよね。本当に演説なんですよ。

――そうなんですよね。こぶしをきかせて歌う歌謡曲とは全然違う。

佐々木:そもそもは街頭で社会的な、政治的なメッセージを、独特の節をつけて喋るのが「演歌」と言われてたらしくて。俺、それは結構ヒントだと思うんです。トーキングブルースでもラップでもない日本語の歌って、そこにカギがあるかもしれない。つまり日本語の詩を喋っちゃうっていう。で、その喋りにもフロウの流れの気持ちよさがある。俺はそれも前からやってるつもりなんです。「Summertime Blues Ⅱ」とか「I'M FREE」って曲でも、喋ってるともトーキングブルースともラップともいえない何かをやってるつもりなんですけど。

a flood of circle / I'M FREE

――「Black Eye Blues」もそういう曲じゃないですか?

佐々木:まさにそうですね。そこの部分の突き詰め方はまだ誰もやってないチャンスがあると思ってるんですよ。実際「Black Eye Blues」って曲は、『ロッケンロー☆サミット』でもやるし、歌モノ系のバンドとの対バンでもやるし、どこでもちゃんとウケるんですよね。そういう実感もある。

――確かにこれは誰もやってない新しい可能性ですね。つまり、これって言ってしまえば「演歌とロックンロールの融合」なわけですよ。明治時代の演歌にまで遡る日本語のフロウを、ロックンロールバンドが現代的なスタイルで形にする。確かにこれはまだ誰もやってない鉱脈だと思います。

佐々木:それは思いますね。だから必殺技みたいなのを研ぎ澄ましたいし、増やさなきゃいけない。最終的には、そのアップデート感が、自分が感じている日本のシーンと海外との同時代性のジレンマを解消するカギになったらいいなとも思ってるんです。その可能性は感じてるし、「日本は日本のシーンですから」って諦めたり開き直ったりしたくない。俺、毎年自分で手紙を書いてグラストンべリーの新人ステージにCDを送ってるんですよ。

――そうなんだ。

佐々木:通ったことないんですけどね(笑)。でもそれはマジでやってるし、いつか出れると思ってる。巨大資本じゃなくて、ちゃんと評価軸があった上で飛び込んでいけたら格好いいなって思う。もちろん難しいのはわかってるんですけれど、でもその難しいことにチャレンジしないと、諦めとか開き直りばっかりの世界になっていく気がしてるんで。

――なるほど。ここから先、やれることは沢山ありますね。端的に言うと「Black Eye Blues」や「花」にある鉱脈を活かした一枚のアルバムが聴きたいという気持ちもある。

佐々木:なるほど。

――そうしたら、「らしさ」だけではない、いい違和感をもって受け止められると思います。

佐々木:そうですね。違和感を作りたい。10年やってきて、今手にしてるチャンスがあると思っているんですよ。いろんな変化をしてきたバンド人生をやってきて、俺にしかできないバンドの形が今できていると思う。そこにはプライドを持っているし、ここから先もっと表現のレベルを上げていきたいですね。

(取材・文=柴 那典/写真=松木宏祐)

■リリース情報
a flood of circle『花』
発売:11月4日(水)
価格:初回限定盤 ¥2,000+税
   通常盤  ¥1,200+税
<収録曲>
1.花
2.鬼殺し
3.Dreamers Song
4.Trash Blues -Band ver.-

<DVD収録内容>
約50分収録
・『AFOC presents What's Going On Tour 2015 "BRAND-NEW RIDERS"』
0. ~Tour Rehearsal~
1. One Shot Kill
2. スカイウォーカー
3. Buffalo Dance
4. Boy
5. ベストライド
6. GO
・「ベストライド」MV
・「ベストライド」MVオフショット&「ア・フラッド・オブ・サークル賞」ドキュメント映像

■インストアイベント情報
a flood of circle「花」発売記念 生“花"鑑賞会
日時:11月4日(水)19:00スタート(18:30集合)
場所:タワーレコード梅田NU茶屋町店 6Fイベントスペース
内容:ミニライブ(バンド編成)&握手・プレゼントお渡し会

日時:11月6日(金)19:00スタート
場所:タワーレコード渋谷店1F イベントスペース
内容:ミニライブ(バンド編成)&握手・プレゼントお渡し会

■特典情報
タワーレコードオリジナル特典:応募抽選プレゼント付ポストカード
A賞 『AFOC presents VS tour "BATTLE ROYAL 2015"』でのミート&グリート
大阪、名古屋、東京公演にご招待:各公演10名、計30名
B賞 サイン入りカレンダーポスター 50名様
特典ロゴステッカー配布対象店 
http://www.teichiku.co.jp/artist/a-flood-of-circle/

■ライブ情報
『AFOC presents VS tour “BATTLE ROYAL 2015”』
11月20日(金)なんばHatch  open 18:00 / start 19:00  
w/グッドモーニングアメリカ

11月22日(日)名古屋ダイアモンドホール open 17:00 / start 18:00 
w/HEY-SMITH

11月27日(金)ZEPP DIVERCITY TOKYO  open 18:00 / start 19:00
w/9mm Parabellum Bullet

■関連リンク
a flood of circle Official Site
http://www.afloodofcircle.com/
Imperial records label site
http://www.teichiku.co.jp/artist/a-flood-of-circle/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる