>  > 任天堂近藤氏×サカナ岩寺のマリオ音楽談義

『30周年記念盤 スーパーマリオブラザーズ ミュージック』特別対談Part.2

任天堂・近藤浩治氏×サカナクション・岩寺基晴が語る、ゲーム音楽の歴史と未来

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 ファミリーコンピュータ(TM)(通称ファミコン(TM))向けゲームソフト『スーパーマリオブラザーズ』の誕生30周年を記念した、スーパーマリオシリーズのゲーム音楽をコンパイルした2枚組アルバム『30周年記念盤 スーパーマリオブラザーズ ミュージック』が9月13日にリリースされた。リアルサウンドでは先に公開されたKenKen(RIZE)との対談に続いて、任天堂のサウンドスタッフとして『スーパーマリオブラザーズ』をはじめとする数々のゲーム音楽を手がけてきた近藤浩治氏と、ディープなゲームファンであるサカナクションのギタリスト、岩寺基晴との対談を公開する。

 KenKenとの熱いスーパーマリオ&ゲーム音楽トークに続き、今回の対談ではさらにマニアックな音楽談義を展開。自身が音楽家としても尊敬する近藤氏を前にした岩寺は終始緊張気味だったが、彼らしい視点でスーパーマリオシリーズやゲーム音楽に関する質問をぶつけていった。(西廣智一)

「制限の中でいろいろ考えるのはパズルみたいな感じ」(近藤)

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──岩寺さんは近藤さんのことは知ってましたか?

岩寺基晴(以下、岩寺):もちろん! ゲーム好きなミュージシャンからすると神様のような存在なので。今日は緊張してます。

近藤浩治(以下、近藤):いやいや、全然普通のオッサンなんで緊張しないでください(笑)。

岩寺:僕らのことってご存知でしたか?

近藤:はい、もちろん。変な名前だなと前から思っていて(笑)。テレビCMで流れていた曲(「夜の踊り子」)も印象的でしたね。

岩寺:ありがとうございます。今回の取材に際して改めて近藤さんのことを調べたんですけど、これまであまりメディアに出てなかったじゃないですか。だから本当に雲の上の存在という印象で。僕は1981年生まれなので、2歳のときにファミコンが出たんですけど、物心ついたときにはすでにファミコンがあって、最初にやったゲームが『スーパーマリオブラザーズ』っていう世代なので、本当に生まれたときからマリオの音楽を刷り込まれて育ってきたんです。

近藤:変な記憶だったら大変ですけど、大丈夫ですか?(笑)

岩寺:大丈夫ですよ! スーパーマリオは子供として純粋に何も考えずに、説明書も読まずに遊べたし、本当におもちゃと同じ感覚でした。で、小学4年生のときにスーパーファミコンが出て。小学校6年間はずっとファミコン、スーパーファミコンで遊ばせていただいてましたね。

──スーパーマリオシリーズは30年の歴史があるわけですが、一番印象に残ってる作品は?

岩寺:『スーパーマリオブラザーズ3』でゲームのフォーマットがだいぶ変わったじゃないですか。その新しさっていうのは他のゲームでは見たことがなかったし、一番印象的ですね。3はかなり長い時間遊びました。

──ではゲーム音楽を意識したのはいつ頃でしたか?

岩寺:子供心には、当時遊んでたときはあまり意識するものではなかったと思うんですよ。で、僕は中学校ぐらいからゲームをやらなくなって、大人になってからまたファミコンを手に入れて、ソフトをかき集めて再び遊び始めて。その頃には次世代機と呼ばれるハードが増えてたんですけど、ファミコンの音、単純な波形のシンセサイザーの音っていうのが新しくも感じたし、懐かしくも感じたんです。だからメロディの作り方がすごくシンプルなんだけど、考えられていて美しいなという印象を受けたのは大人になってからですね。ファミコンの頃は音数が制限されていて大変だったと聞きましたが?

近藤:そうですね。でも今考えると、そういう制限の中でいろいろ考えるのはパズルみたいな感じで、楽しかったですね。

岩寺:楽しかったんですね。あれって3和音までなんですよね?

近藤:そうです。3和音で、その中でメロディもハーモニーも作らないといけないし、リズムも入れなければいけなくて、それをどういうふうに積み上げていくか、次の音との休符をどれくらい空けたら楽しくなるのか、そういうのを考えるのは完全にパズルですよね。

岩寺:なるほど。僕はギタリストなんですけど、最近はパソコンでシンセサイザーもいじったりもしていて。ファミコンってファミコン本体に音源チップが内蔵されてるんですよね。で、ゲームカセットからプログラムを送って、音を鳴らすと。たぶんみんな、カセットから音が鳴ってる、カセットに音が入ってるようなイメージがきっとあったと思うんです。

近藤:カセットはデータだけですよね。

岩寺:そのファミコンで鳴らせる波形ってどういう波形だったんですか?

近藤:方形波っていう四角い波形が2音と、三角波が1音という感じです。

岩寺:あとはノイズ?

近藤:そうです、ノイズもです。三角波で大体ベースの音を出して、方形波2音でメロディと、オブリガートとか和音とか作ってました。

岩寺:三角波が低いところに行ったときの鳴り方って、すごく独特なものがありますよね。あれは再現しようとしても難しくて、ファミコン独特なもののような気がします。

近藤:そうなんですよ。ちゃんと波形を調べると、微妙にカクカクなっていたりして(笑)。なかなか今のシンセでは作りにくい波形ですよね。

──岩寺さんは、そういうゲーム音楽のサウンド作りを試したことがあるんですか?

岩寺:はい。楽曲をアレンジするときに時代感というか、80年代や90年代の雰囲気を楽曲に取り入れたいときに、試しにファミコンっぽい三角波形の音みたいなのを入れる実験をすることがたまにあります。やっぱりあれは、あのシステムで構成されているからこそ素晴らしいのかなと思いました。ファミコンの音楽って、ずっと限られた波形だけで作られてきたんですか?

近藤:初期のファミコンはそうなんですけど、『スーパーマリオブラザーズ3』になったときに1作目のマリオよりもカセットに入れられる容量が増えたんで、方形波でもちょっといろいろ操作して音色をすごい早いタイミングで変えたりして、ディストーションギターっぽい音にすることができたり。あと、簡単なサンプリングができて、今のサンプラーみたいに音階をキレイに上げたりはできないんですけど、一段階か二段階の音階が作れるくらいのものが、容量が増えたことで使えるようになったんです。そこでティンパレスの音とかパーカッションの音をいっぱい入れて、ちょっと豪華に聞こえるようにしました。

岩寺:ティンパレスの音が入ってたのはすごい記憶に残ってます。

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