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ポップスの12thシングル『太陽ノック』レビュー

乃木坂46の最新シングルを深掘り分析 “主人公”生駒里奈と“ヒロイン”堀未央奈の現在地とは?

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 乃木坂46の12thシングル『太陽ノック』が7月22日に発売された。3月に発売された11thシングル「命は美しい」以来となる今回のシングルは、白石麻衣センターの6thシングル『ガールズルール』、西野七瀬センターの9thシングル『夏のFree&Easy』に続く、乃木坂46にとっての“夏曲”にあたる。先の2つからもわかるように、この時期の曲は乃木坂46“らしくない”、より元気で夏っぽい雰囲気が重視されている。

 そしてこの曲のセンターを務めるのが、およそ2年ぶりのセンター復帰となる生駒里奈である。1thシングル『ぐるぐるカーテン』から5thシングル『君の名は希望』まで、グループのセンターを務めた彼女の復帰は古くからのファンが待望してきたことであると同時に、それ以降のシングルからのファンにとっては新鮮でもあるだろう。

「兼任以降」に挑む生駒里奈のセンター復帰作

 「ガールズルール」は女の子の淡い夏の思い出を歌った楽曲で、「夏のFree&Easy」は夏こそ大胆に挑戦してみようという気概応援ソングだった。今回の「太陽ノック」もどちらかというと「夏のFree&Easy」に近いテーマが取り上げられているが、楽曲全体の印象はより爽やかだ。また、ただ夏がテーマというわけではなく、<やがて夏は過ぎ去っていく><秋風が吹いても>とあるように、より去り行く夏も意識しているような歌詞がみられる。

 生駒里奈のセンター復帰作として話題のこの曲を手掛けたのは、1stシングル表題曲「ぐるぐるカーテン」を作曲した黒須克彦氏。全体的に美しく涼しげなピアノがメインに据えられたこの曲のポイントとなるのは、グリッサンド奏法(鍵盤上で隙間なく手を滑らせる音高を上げ下げする演奏技術)だ。楽曲全体に散りばめられたこの流れるような清らかな音が乃木坂46らしさを楽曲全体に与えている。また、歌詞のテーマは「夏のFree&Easy」よりだと前述したが、ダンスは「ガールズルール」により近く、元気に可愛らしく音に乗せて振り付けがパキパキと変わり、ライブでも映えるナンバーになりそうだ。

今回の生駒里奈のセンター復帰はAKB48での兼任を終えた直後というタイミングとなった。彼女が2年間センターを離れた間での成長に加え、AKB48との兼任で得た成果を発揮する場が今回のポジションだったわけだが、結果として堂々とセンターとしての役割を果たしている。彼女が2列目にいた際に「生駒里奈のセンター復帰はあるのか」という議論はたびたびなされており、センターに相応しくないという声が全くなかったかといえば嘘になる。しかし、彼女の凄さは今や誰も文句を言えないほどに、その重い責務を果たしているところにあるだろう。音楽番組での「太陽ノック」のパフォーマンスを見ていても、表現力が増し可愛らしいパフォーマンスが兼任以前に比べて格段に伸びている。このまま近いうちに次の選抜発表がなければ、今回の夏の全国ツアー中のセンターを務めるのも彼女だが、それによってグループ全体がパフォーマンスの面で大きくレベルアップすることが期待できるだろう。

 今回の歌詞の内容は前述の通り“夏の応援ソング”なのだが、「太陽」という言葉に注目するとより深い解釈をすることができる。AKB48と乃木坂46が「太陽と月」というイメージで語られることがよくある。そこで、この曲に出てくる「太陽」というワードをAKB48として捉えてみると、生駒里奈の兼任のストーリーへと繋がってくる。詞のなかでは<未来とは今が入口>と語られ、太陽=AKB48がグループの外の世界へ彼女を誘っている。この1年の兼任で成長を遂げた生駒里奈が<何か始める良いきっかけだ>と新たな挑戦を後押しする曲と捉えることもできそうだ。そして詞の結びで<秋風が吹いても Grab A Chance>と、季節の移ろいで彼女の兼任後の次なる挑戦を表現している。この「太陽ノック」は「兼任以降」という新たなステージへ向かう生駒里奈から、私たちへの熱い思いが込められているのだ。

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