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宇野維正の『ワイルド・スピード SKY MISSION』映画&サントラ評

日本でもついに大ヒット! 『ワイルド・スピード』現象の鍵はマイルドヤンキー層へのリーチ?

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ワイルド・スピード SKY MISSION
宇野維正
映画
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『ワイルド・スピード SKY MISSION』

 『ワイルド・スピード SKY MISSION』が映画、サントラCDともに大ヒットである。本国公開の2週後、4月17日に日本で公開された同作は公開週に『ドラゴンボールZ 復活の「F」』、『名探偵コナン 業火の向日葵』といった同週公開の人気アニメ作品に次ぐ興行成績3位(実写1位/洋画1位)。と、ここまでは本作の世界中での異常な盛り上がりを考えたら当然のスマッシュヒットではあったが、公開から約1ヶ月経った先週も前週の6位から4位とランクを再び上げ、完全にロングヒットのゾーンに突入。これまで日本では興行収入20億をギリギリ超えた前作『ワイルド・スピード EURO MISSION』がシリーズ最大のヒットであったが、早々とその20億を超えて、シリーズ大化けの30億超えを射程に収めつつある。さらに、ある意味それ以上に目を見張るのがサントラCDのチャートアクション。4月8日にリリースされて初週18位だった同作のサントラは、その後、9位→8位→3位と右肩上がりに上昇し続け、今週のオリコンのアルバムチャートでは2位にまで上り詰めている。低予算B級作品でありながら世界各国でその年の最大のサプライズヒットとなった2001年公開のシリーズ1作目から15年、遂にというか、ようやくというか、日本でも完全に『ワイルド・スピード』熱に火がついた状況だ。

 もちろんその背景として、シリーズ7作目となる本作『ワイルド・スピード SKY MISSION』が現在進行形で世界各国においてとんでもない記録を打ち立てていることに触れる必要があるだろう。本国アメリカでは4週連続1位、もっとすごいのは中国で、公開から8日間で約2億5,000万ドル(約300億円)を稼ぎ出す爆発的ヒットを記録(あっという間に中国の歴代興収1位を塗り替えた)。現在、世界興収は14億ドル(約1700億円、Box office mojo調べ)を突破して世界興収歴代4位。3位の『アベンジャーズ』1作目を抜くも時間の問題で、その上にいるのは『アバター』と『タイタニック』のみという、まさに歴史的大ヒットとなっている。サントラCDも当然のように全米チャート1位、中でも本作の撮影中に亡くなったポール・ウォーカーに捧げられ、本編の感動的なフィナーレを飾っているウィズ・カリファ「See You Again ft. Charlie Puth」は現在5週連続でビルボードのシングルチャート1位を記録中。映画だけでなく、音楽界でも本年度最大のヒットソングの栄冠を確実なものとしている。

 さて、ここまでケタ外れのヒットを世界中で記録していれば日本でも大ヒットするのも当然と思う人もいるかもしれないが、そうはならないのが21世紀に入ってからの映画界(特に実写映画)だった。『トランスフォーマー』シリーズも、『アベンジャーズ』及びマーベル・ユニバース各作品も、どんな世界的なメガヒット作品も日本ではぼちぼちというのが常態化。そのせいか、『トランスフォーマー』シリーズは完全に中国資本に取り込まれ、ソウルで大々的にロケ撮影が行われた(羨ましい!)『アベンジャーズ』2作目は世界中で日本が最も公開日が遅いという由々しき事態に。そんな中、『ワイルド・スピード』シリーズが遅ればせながら日本で大ブレイクを果たした意義は大きいのだ。

     
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