山崎まさよしが改めて示した歌唱力 弦楽四重奏ライブの豊かさに迫る

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 今年デビュー20周年を迎えた山崎まさよしが4月から5月にかけて全国ツアー「Yamazaki Masayoshi String Quartet“HARVEST”」を開催。音楽家の服部隆之氏がアレンジを担当し、山崎のアコースティックギター、ピアノの弾き語りと弦楽四重奏の共演によるこのコンサートは、昨年から始まった彼の新しいスタイルだ。会場はカラヤン、小澤征爾などの名演でも知られる東京文化会館。このホールで山崎は、“HARVEST(収穫)”という題名にふさわしい豊かなステージを繰り広げた。

 最初の曲は、ヴィオラ、チェロによるイントロから始まる「月明かりに照らされて」。1995年のデビュー曲を、ブルージーなアコギ、クラシカルなストリングスとともにゆったりと大らかに歌い上げる山崎。エッジの効いたブルースハープも良いアクセントになっている。さらに代表曲のひとつであるバラードナンバー「僕はここにいる」。指弾きによるアルペジオ、ノスタルジックな旋律を奏でるヴァイオリンが気持ちよく溶け合い、このコンサートのコンセプトが生き生きと体現されていく。伝統あるクラシックホールだけあって、音響も抜群。ひとつひとつの弦の響き、ボーカルのニュアンスまでが伝わってきて、楽曲の魅力、アレンジの質の高さをつぶさに堪能できるのだ。

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 いつになく丁寧な雰囲気のボーカルも印象的だった。中村キタロー(ベース)、江川ゲンタ(ドラム)を交えた3ピーススタイルで、プレイヤー同士の個性とエゴがぶつかり合うようなライブを行ってきた山崎だが、クラシカルなカルテットを交えた編成ではおそらく、主旋律であるボーカルのメロディをより正確に歌う必要性が高まるのではないだろうか。その当然の結果として今回のツアーでは、シンガーとしての山崎まさよしのポテンシャルが改めて示されることになった。簡単に言うと、この人はとんでもなく歌が上手い、ということだ。

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