レジーが語る、「エヴァーグリーンな日本のロック」論
ミスチル、スピッツ級の逸材か? indigo la End・川谷絵音が担う「歌ものロック」の未来
川谷絵音がJ-POPシーンに発見された2014年
まだまだ裾野の広がりを見せる女性アイドルブームを背景に、2014年も盛んだったロックミュージシャンのアイドルへの曲提供。手法としては乱発されすぎた感も否めず、もはやちょっとやそっとのコラボでは大した話題にもならないが、中には思わぬ化学反応を生む組み合わせももちろんある。2014年のトピックとして外せないのは、オリジナルラブの田島貴男が編曲で参加したNegiccoの「光のシュプール」。洗練されたギターポップアレンジに唸らされただけでなく、田島自身がCDを購入して彼女たちのオリコントップ10入りを後押しする光景は非常に微笑ましかった(CDを小沢健二に手渡したというエピソードも一部で話題になった)。
女性アイドルグループではないが、「ロックミュージシャンとのコラボ」をここ数年うまく活用することで自らのブランドイメージを向上させているのがSMAP。日本一のスターが若手の音楽家を積極起用する構図はなかなか夢があるように映る。2012年の紅白歌合戦でSMAPは山口一郎作の「Moment」を披露したが、山口は翌年の紅白にサカナクションとして出場して日本の音楽の殿堂に「2年連続」でその名を刻んだ。また、2013年には「Joy!!」で赤い公園の津野米咲がフックアップされたことも記憶に新しい。外の空気を吸った津野を中心に、2014年の赤い公園は開放的なムードが強調されたアルバム『猛烈リトミック』を発表してレコード大賞の優秀アルバム賞を獲得した。
2012年の山口一郎、2013年の津野米咲。そして、2014年は川谷絵音のターンだったと言って差し支えないだろう。SMAPの最新アルバム『Mr.S』に提供したのはアッパーな「アマノジャク」とミディアムチューンの「好きよ」。趣の異なる2曲で作風の幅を示し、その縁もあってか「SMAP×SMAP」にもゲスの極み乙女。としてゲスト出演。さらには、終わってしまった恋について山下智久がエモーショナルに歌い上げるバラード「戻れないから」や、少女の切ない妄想をそのまま具現化したかのようなチームしゃちほこの「シャンプーハット」など、様々な形の楽曲提供でJ-POPファンを楽しませてくれた。
どんなタイプの曲でも十分なクオリティを提示できるのは、射程距離の広いメロディを生み出せる川谷のセンスゆえだろう。そして、そんなメロディメイカーとしての側面をバンドフォーマットで展開するのがindigo la Endである。