MUCCが意図的にギャップを生み出す理由とは? 自由度の高い活動で新たなシーンを開拓

140627_mucc_a.jpg

 

 MUCCほど激しい“ギャップ”を感じさせるバンドは他にいないと思う。

 まずは音楽性について。このバンドは時期によって音楽のスタイルを大きく変えている。90年代後半にダークで陰鬱な雰囲気を持ったビジュアル系バンドとしてシーンに登場。‘00年代はモダンヘビィロックに接近、会場でダイブ&モッシュが頻発するようになり、ライブの様子も一変する。その後はエレクトロ、テクノといったダンスミュージックの要素を大胆に取り入れるなど、ファンが混乱するほどの変貌を繰り返しているのだ。‘12年5月に幕張メッセで行われた15周年記念ライブ『MUCC vs ムック vs MUCC』では、「1997~2002 -密室-」「2002~2007 -死生-」「2007~2012 -鼓動-」という3部構成によって、それまでのキャリアを総括。改めて、その音楽的なギャップの大きさを印象付けた。

 ライブに対するスタンスもきわめて個性的だ。現在彼らは、バンド史上規模となるツアー『SIX NINE WARS ―ぼくらの七ヶ月間戦争―』の真っ最中。毎月異なるコンセプトを掲げ、7カ月連続で行われるツアーなのだが、注目すべきはその内容。たとえば8月に行われる「Episode 6.ARMAGEDON」では公演ごとに異なるアーティストとの2マンツアーで、対バン相手は[Alexandros]、氣志團、GRANRODEO、BUCK-TICK、ゴールデンボンバーなど、まさに異種格闘技状態。ちなみに4月のツアーではthe telephones、THE BACK HORN、SEBASTIAN X、ストレイテナーなどと対バン。このふり幅の広さもまた、MUCCの魅力だろう。

 5月にリリースされたシングル『ENDER ENDER』のミュージックビデオでも、意外性のある仕掛けが施されていた。このビデオのスペシャル・バージョンに“ムック”と“ガチャピン”が参加。ライブに飛び入りしてオーディエンスを煽り、最終的には客席のサークルモッシュに巻き込まれるという映像を公開し、ネット上で大きな注目を集めたのだ。

MUCC『ENDER ENDER』MUSIC VIDEO(feat.ムック and ガチャピン LIVE ver.)

 こういった企画性の高さもMUCCの大きな特徴。バンドのイメージを良い意味で裏切り続けることにより、活動における自由度の高さをキープしながら、より幅広いオーディエンスにアピールする。ビジュアル系は本来コアなファンを中心としたシーンだが、そこに伴う閉鎖性を打破し、常に新しいファンを獲得しているMUCCの存在はきわめて刺激的だ。過去のインタビューのなかでリーダーのミヤ(G)は、ザ・ローリング・ストーンズを例に出し、「(一般的には)ロックンロール・バンドっていうイメージですけど、じつはいろんなことチャレンジしてるじゃないですか。そういうバンドが好きなんですよ。作品ごとにガラッと変わって、ファンの意見も分かれるっていう。自分たちもそうありたいと思いますね」と発言しているが、そうやって意図的にギャップを生み出そうとする姿勢こそが、MUCCの活動の軸なのだと思う。

 そして6月25日にリリースされるニューアルバム『THE END OF THE WORLD』は、刺激的なギャップを生み出すMUCCの特徴がこれまで以上に反映された作品に仕上がっている。このアルバムの裏テーマとしてミヤは井上陽水の「氷の世界」を挙げている。じつはミヤとボーカルの逹瑯は70年代のフォーク・ミュージックに造詣が深く、本作にはその影響がダイレクトに出ているのだ。そのコンセプトは“強い言葉と強い音”。70年代フォークが持っていた強い批評性、メッセージ性を想起させる歌詞、そして、モダンヘビィロック、ダンスミュージックなどを融合させたバンドサウンドがぶつかり合い、強烈なオリジナリティを持ったロックへと結びつける――『THE END OF THE WORLD』によってMUCCの独自性、そこに伴うギャップのおもしろさは、さらに多くのリスナーに浸透していくことになりそうだ。

(文=森 朋之)

■森 朋之
音楽ライター。'00年頃から音楽誌などでライターとしての活動をスタート。現在、主な執筆媒体は「WHAT’s IN?」「CD&DLデータ」「B-PASS」「オリ☆スタ」「ナタリー」など。ロックバンド、シンガーソングライター、アイドルからK-POPまで、取材対象はジャンルレス。

■リリース情報
『THE END OF THE WORLD』
発売日:2014年6月25日(水)
価格:初回盤(CD+DVD)¥3.611(税抜)
〈DVD収録内容〉
「THE END OF THE WORLD DOCUMENT」
YUKKE監修ムッP LIVESドキュメント「ブレル!?・ムッチ・プロジェクト」
   通常盤(CD)¥2,870(税抜)
〈収録楽曲〉
1.THE END OF THE WORLD
2.ENDER ENDER-Album Edit- ※テレビ朝日系全国放送「Break Out」5月度オープニング・トラック
3.Ms. Fear
4.HALO  ※2013年9月度 TBS「CDTV」オープニングテーマ
5.Tell me 
6.999-21st Century World-
7.369-ミロク-
8.JAPANESE
9.Hallelujah
10.World's End-In its true light - ※TOKYO MX「メガネブ!」オープニングテーマ
11.死んでほしい人
※初回盤・通常盤(初回プレスのみ)共通封入特典
9月23日(火・祝)国立代々木競技場第一体育館ライヴ当日リハーサル見学パス※詳細後日発表
〈アルバム予約情報〉
SIX NINE WARSライヴ会場限定 特典付き最速先行予約スタート
内容:各ライヴ会場にて配布されるチラシにあるQRコードからアルバムを予約すると予約者全員に特典をプレゼント。
特典内容:メンバー撮り下ろしオリジナルポスター
予約期間:2014年3月6日(木)~2014年7月9日(水) 23:59
〈シングル・アルバムW購入者応募特典〉
抽選で69名に9月23日(火・祝)に開催する国立代々木競技場第一体育館ライヴ仕様のSTAFF Tシャツプレゼント。
全員に国立代々木競技場第一体育館ライヴ終演後のメンバーとオーディエンスの集合写真壁紙をプレゼント。

■「THE END OF THE WORLDメッセージボードバス」情報
走行期間:6月24日(火)~6月30日(月)
走行ルート:渋谷~原宿間(停車ポイントなどHPをご覧ください)
走行時間:11:00~19:00位
HP URL:http://www.muccmucc.com/news/
※走行ルート、走行時間は日により変更になる場合もございます。

■アルバムコメント詳細
「THE END OF THE WORLDスペシャルコメント企画」
特設HP:http://www.muccmucc.com/teotw_comment/

■パネル展詳細
「THE END OF THE WORLD」発売記念TOWER RECORDSパネル展開催決定!
6/25発売 アルバム『THE END OF THE WORLD』 のリリースを記念して、「SIX NINE WARS-ぼくらの七ヶ月間戦争-」で撮影したライヴ写真をパネル展示します。
【対象店舗】
・タワーレコード 札幌ピヴォ店
・タワーレコード 新宿店
・タワーレコード 渋谷店
・タワーレコード 名古屋パルコ店
・タワーレコード 梅田NU茶屋町店
・タワーレコード 難波店
・タワーレコード 福岡店
【展示期間】
2014年6月24日(火)~2014年6月30日(月)
※展示期間は店舗によっては延長となる可能性もございます。予めご了承ください。

■タワーレコード新宿店限定 『THE END OF THE WORLD』 応援バッチ企画
タワーレコード新宿店7Fスタッフさんが、『THE END OF THE WORLD』応援バッチを身に付けて、アルバムを激PUSH。
そのスタッフさんが身に付けている『THE END OF THE WORLD』応援バッチを、メンバーのサイン入りで抽選で8名様にプレゼント致します。以下詳細を御確認の上、御応募ください。
【応援バッチ応募抽選 参加方法】
タワーレコード 新宿店にて、6月25日(水) 発売 アルバム『THE END OF THE WORLD』をお買い上げ頂いた方に先着で、応募用紙を差し上げます。
そちらの応募用紙に必要事項を明記の上、7F予約カウンターに設置の専用BOXへご応募ください。
※詳細は、タワーレコード新宿店にて商品御購入時に再度、御説明させて頂きます。
【対象商品】
6/25(水)発売 アルバム『THE END OF THE WORLD』
初回生産限定盤、通常盤(初回仕様限定盤)
【応募期間】
2014/6/24(火)商品入荷時 ~ 2014/7/7(月)閉店時
【注意事項】
※応募用紙は、タワーレコード新宿店にて御購入頂いたお客様にのみ、お渡し致します。
※当選者の方にお渡し致します応援バッチは、1個につきメンバー1人のサインが入っております。
※ランダム抽選となり、当選された方はメンバーのサインを選ぶことはできません。
※応募期間終了後に抽選を行い、賞品の発送をもって当選連絡とさせて頂きます。
※賞品の発送は、7月中旬~下旬頃を予定致しております。

■ライブ情報
『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 4.「TRIANGLE」』※全国3マン対バンTour
6月26日(木)広島 CLUB QUATTRO  OPEN 17:45 START 18:30
with vistlip and MERRY
6月28日(土)福岡 スカラエスパシオ  OPEN 16:30 START 17:30
with vistlip and MERRY
6月29日(日)大阪 IMPホール  OPEN 16:30 START 17:30
with vistlip and MERRY
【チケット料金】前売券¥6,000(税込)当日券¥6,500(税込)
チケット発売中

『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 5.「THE END OF THE WORLD」』
7月06日(日)札幌 ペニーレーン24  OPEN 16:30 START 17:00
7月11日(金)仙台 Rensa  OPEN 18:30 START 19:00
7月13日(日)新潟 LOTS   OPEN 16:30 START 17:00
7月17日(木)新木場 STUDIO COAST  OPEN 18:00 START 19:00
7月19日(土)高知 X-pt.   OPEN 16:30 STAR 17:00
7月21日(月・祝)福岡 DRUM LOGOS  OPEN 16:30 START 17:00
7月25日(金)広島 CLUB QUATTRO  OPEN 18:15 START 19:00
7月27日(日)Zepp Namba  OPEN 16:00 START 17:00
7月29日(火)Zepp Nagoya   OPEN 18:00 START 19:00
【チケット料金】前売券¥6,000(税込)当日券¥6,500(税込)
チケット発売中

『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 6.「ARMAGEDDON」』※毎公演異なるアーティストとの2マンTour
8月6日(水) Zepp Nagoya  OPEN 17:30 START 18:30
VS [Alexandros]
8月9日(土)新木場Studio Coast  OEPEN 16:00 START 17:00
VS 氣志團
8月17日(日) 京都KBS HALL  OPEN 16:00 START 17:00
VS GRANRODEO
8月19日(火) Zepp Namba  OPEN 17:30 START18:30
VS BUCK-TICK
8月20日(水) Zepp Namba  OPEN 17:30 START 18:30
VS シド
8月22日(金) 川崎CLUB CITTA'  OPEN 17:30 START 18:30
VS D'ERLANGER
8月24日(日) 大阪城野外音楽堂  OPEN 16:00 START 17:00
VS ゴールデンボンバー
8月26日(火) Zepp DiverCity  OPEN 17:30 START 18:30
VS MICHAEL
8月28日(木) 恵比寿LIQUIDROOM  OPEN 17:30 START 18:30
VS geek sleep sheep
【チケット料金】 前売券¥6,900(税込) 当日券¥7,400(税込)
【チケット一般発売日】2014年7月5日(土)

『SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」』
2014年9月23日(火・祝)国立代々木競技場第一体育館 OPEN 16:00 START 17:00
【チケット料金】前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
【チケット一般発売日】2014年8月2日(土)

■SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争-特設サイト
http://www.55-69.com/69wars/

■MUCC Official HP
http://www.55-69.com/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる