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石川さゆり、五木ひろし、八代亜紀……J-POPを歌いこなす演歌歌手まとめ

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 演歌歌手・石川さゆりが4月2日にリリースしたシングル『暗夜の心中立て』が、各方面で話題を呼んでいる。

石川さゆり「暗夜の心中立て」

 作詞作曲・プロデュースを手掛けたのは椎名林檎。一聴してもお分かりの通り、オープニングから林檎節全開のトラックに、演歌の女王たる石川さゆりの情念たっぷりの歌声が見事にハマっている。一見異色の組み合わせと言いたいところだが、実は石川は、これまでにも奥田民生くるり・岸田繫とのコラボ楽曲を発表してきている演歌界の親J-POP家。

 4月23日に発売されるニューアルバム『X-CrossII-』にも、椎名、奥田のほか、TAKURO(GLAY)や森山直太朗ら豪華メンツが参加しているのだ。
 
 J-POPと演歌。両者とも日本音楽界を支える2大ジャンルでりながら、紅白くらいしか共演の機会がなかったりと、聴き手にとってもアーティストにとっても近くて遠い存在であることもまた事実。しかし、その中にあっても演歌歌手がJ-POPを歌う機会というのも少なからずあるようだ。今回はその一例を見ていきたいと思う。

五木ひろし「TRY ME ~私を信じて~」(安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S)

五木ひろし「TRY ME ~私を信じて~」

 これは、98年に五木が青山劇場で行った「21世紀の喝采がきこえる」で披露したもの(『五木ひろしリサイタルライブ(21世紀の喝采がきこえる IN 青山劇場) 』に収録)。原曲からは若干アレンジされているものの、演歌ではありえない高速ビートに負けず、しっかりコブシを効かせている。同アルバムにはこの曲以外にも「これが私の生きる道」(PUFFY)や「DEPARTURS」(globe)なども収録されている。

前川清「Choo Choo TRAIN」(EXILE)

前川清「Choo Choo TRAIN」

 冒頭からおなじみのサイクロンダンスも披露し、ノリノリのご様子。デビュー40周年の記念コンサートで歌われたうちの1曲だそう。声量ある力強い歌声は本家に勝るとも劣らず、もはや自分のモノにしている感もある。もともと演歌歌手というよりはムード歌謡の人であるだけに、ポップス調の節回しはお手の物といったところか。このほか「HOWEVER」(GLAY)や「真夏の果実」(サザンオールスターズ) など、レパートリーも幅広い。

八代亜紀「雪の華」(中島美嘉)

八代亜紀「雪の華」

 4年ほど前に放送された芸能人のカラオケ大会での一幕。聴き慣れたJ-POPの名バラードのはずなのに、この人が歌うことで一気にアダルトな大人の曲に変化させてしまった。何より演歌で鍛えた歌への感情の込め方はさすが。近年は小西康陽をプロデュースに迎えてジャズのアルバムをリリースしたり、マーティ・フリードマンと共演したりと、真の意味でジャンルを越えた歌い手と言っても過言ではないだろう。

 コブシ回しやビブラートの効かせ方など、演歌独特の歌唱法にも表れているように、演歌とは本来、ある程度歌がうまくなければ歌えないジャンルの楽曲である。それは、裏を返せば、大概何を歌ってもサマになるということ。例えば、女性演歌歌手の中にはジャズに挑戦する歌い手が多いが(美空ひばりに始まり、上記の八代亜紀、そして藤あや子、石川さゆり、小林幸子など)、これも自身の歌唱力をより難解なジャンルで発揮してみたいという、いわば力比べ的な意味合いもあるように思う。今回紹介したJ-POPへの積極的なアプローチもこの流れのひとつ。そして同時に、普段演歌に触れることはない若い世代に対するアピールであり、ある意味伝統芸能と化した演歌界に新たな風を呼び込もうという気概でもあるだろう。

 そういった点においても、石川×椎名のコラボは、演歌とJ-POPの新たな可能性を追求する上でかなりエポックメイキングな出来事だった。やり尽くしたかに見えた異ジャンルコラボの鉱脈が、意外に近くにあったことに気づかされたのだから。これを機に “異文化交流”がより一層盛んになることを期待したい。
(板橋不死子)

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