「何をもって日本の音と言うべきなのか自問した」金子ノブアキが震災後に模索した音楽とは

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 ソロ名義としては約4年半ぶりとなるアルバム『Historia』を完成させた金子ノブアキが、自身のソロ活動について語るインタビュー後編。前編【「やっちゃいけないことは無いと感じた」金子ノブアキがソロ制作にのめり込んだ理由】に続き、後編では一度全部作り直したという新作のテーマや、現在の活動スタンスについて語った。

――今回の作品は、全9曲中7曲が歌ものになっていますが、歌詞はどんなふうに作って行ったのですか?

金子:俺の場合は、言葉をどんどん書き溜めて行って、それを見ながらディレクターとかエンジニアを含めてディスカッションして……そうやって決めて行くことが多かったですね。

――いわゆる“自分語り”みたいな歌詞にはなっていないですよね?

金子:自分のことではないですよね。むしろ、自分の名前で出するからには、それをやっちゃいけないと思っていて。もはや、男と女の話をしてもしょうがないしね(笑)。それよりも、今、何を残すかっていうことを考えて……抽象的だけど本質的なことというか、そういうものがすごく大事だと思って、歌詞を書いていった感じですね。

震災を経て、人生はやっぱり素晴らしいんだっていうことを歌いたかった

――タイトル曲の「Historia」をはじめ、どこか“震災後の世界”という印象を受けました。

金子:うん、そういう感じのものは、まさしく意識していました。そう、前作からなぜここまで時間が空いたかっていうと、震災を機にそれまで作っていたものを全部捨てて、もう一度作り直したからなんですよね。作り手の人はみんなそうだったと思うけど、とても同じようなことを言える状況ではなくなったわけで。語弊が無いことを祈りますけど――でも、やっぱり、それをプラスに変えて行くしかないんですよね。だから、人生はやっぱり素晴らしいんだっていうことを歌いたかったんです。そこから“祝祭”とか“祝福感”みたいなものが、すごいテーマになって行ったんですよね。

――“祝祭”ですか?

金子:嘘みたいなことが起きて……それは今でも起こっているんだけど、今、僕らはこの日本に生きていることに、胸を張るべきだと思ったんです。ここ数年で、日本の風土の美しさみたいなものも再確認したし、最高だなって思った瞬間もいっぱいあったから……。そういうものも含めて、今、日本に生きているんだったら、何をもって日本の音と言うべきなのかっていうことを自問して、それを汲み取って作り上げて行ったっていうのはあると思います。

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