にじさんじ・北見遊征の存在が示す、VTuberの“市民権” バスケ好きの青年が配信者として成長するまで

勢いとノリで突っ走る! “吸音材を貼るだけ”の配信で伝説を残す
VTA(バーチャル・タレント・アカデミー)へと進んだ後にデビューした北見だが、デビューした際の勢いと初期衝動を、なにより本人の気質そのままに突き進んできた。
ゲーム配信や雑談配信を定期的に行なっているが、2025年正月、その年最初の配信として「【吸音材】貼りまくり配信【北見遊征/にじさんじ】」が、もしかすると"素"の彼らしさをもっともあらわす配信になるかもしれない。
救急隊が被災地へ走っていくような緊迫感あふれるBGMが流れるなか、「みんな! 落ち着いて聞いてくれ。事態は一刻を争うんだ。まず最初に、これは吸音材を貼るだけの配信だ。本当にそれ以下でもそれ以上でもない!」とシリアスにリスナーへと話しかける。
「本来なら絶対にこんなこと言わないが、今日だけは言わせてくれ。この同じ時間に、もし他の好きな人とかが配信してたら、みんなそっちを優先してくれ!」とリスナーをケアし、吸音材を貼っていくことに。
正月配信をし終えていると誤解していたことを謝りつつ作業を進めていくが、吸音材を貼るマスキングテープを扱うのにも四苦八苦。作業に苦戦する様子を、RPGの主人公や洋画・海外ドラマのヒーローのように声を張って実況し続けていく。
リスナーから「いま来ました。これはどういう状況ですか?」というコメントが届くと、「バカ野郎! 画面見ろ! 吸音材貼ってんだ!」とドラマのワンシーンばりのシリアスなツッコミをしつつ状況を解説するなどして、約1時間にわたって悪戦苦闘する様子を配信を通してみせていったのだ。
まったく無関係な状況やシチュエーションなのに、“それっぽい”言葉を張った声で喋るだけで、緊迫感あるシーンがパッと思い浮かんでしまう。ビジュアルやイメージだけではなく、声を張った際に与えてくる“ヒーロー感”でいえば、先輩であるOriensやDyticaにも負けないほどだ。北見自身も自身の声の良さや特性を理解してか、“イケメンキャラ”“優しい男性”の振る舞いをコラボ配信などでみせることもある。
そんな恵まれた声質が存分に活かされているのが、彼の歌活動であろう。ライブ配信を再生数でソートした際、上位に上がってくるのが軒並み歌配信であることからもわかるように、多くのリスナーが彼の声色に期待している、あるいは楽しんでいることがよくわかる。また、歌配信自体もそもそも数が少なくレアな配信であるというのも、再生数・視聴者数増加に寄与していそうだ。
これらの歌枠で歌唱しているのは、ボカロ曲やロックバンドの楽曲が多く、たまに90年代のアーティストの楽曲を歌うこともある。こういったアーティストも好んでいることは配信中に言及しているが、先に述べたようなド王道の作品やアーティストを好きになれる、屈託のない素直さやピュアさが選曲にも現れている。
2026年に入ってからは榊ネス、魁星らとのユニット「3SKM」での活動がやはり目立つ。1月6日に“兄貴分”ともいうべきVOLTACTIONとのFUSION LIVE『IMPACT』をおこない、その勢いのままミニアルバム『Nighthawks』を4月29日にリリースした。
8月23日のワンマンイベント『One-Off』では横浜BUNTAIに集まった数千人のファンを前に堂々と歌い踊ってみせた北見たち。ライブの3週間ほど前である8月4日、自身の誕生日に行なった記念歌枠では、初のオリジナル曲「ALAKAZAM」のリリースを発表していたが、この場で早くも披露し、ファンを喜ばせたのだった。
VOLTACTION、Oriens&DyticaのMECHATSU-Aと、VTAを中心にした男性メンバーが女性ファンから支持を集めるなか、北見自身もその潮流にしっかりと乗っかっていく手筈を整え終えているのだろうか。大舞台を終えたいま、彼がどのようにアクションしていくかにファンの注目はすでに移っている。
いずれにせよ、にじさんじの一員として2026年の夏までにいくつもステップアップを遂げたいま、次のステージへ向けて走っていく姿勢や、改めて北見のエネルギーあふれるイメージをファンに届けるフェーズに入っていきそうだ。にじさんじ“らしい”エンターテイナー道へ邁進していく北見の今後に期待したい。























