カラーからモノクロまで自在に切り替え TCLの新型スマホが採用する「NXTPAPER」とは

カラーもモノクロも映せるスマホ?

 スマートフォンで息抜きにショート動画を見ていたら、気が付けば数時間見入ってしまった、なんて経験のある人も多いだろう。1日に何時間もスマートフォンの画面を見ていると、目が疲れて頭痛を引き起こしてしまうこともよくあることだ。TVメーカーとしても大手のTCLが海外で発表した新型スマートフォンは、そんな長時間のスマートフォン利用でも目が疲れにくい、NXTPAPERディスプレイを採用している。

カラーからモノクロ表示まで自在に変えられる新型スマホ

 TCLの新型スマホ「P80 Pro」「P80 Ultra」は、いずれもNXTPAPER技術を搭載したスマートフォンだ。上位モデルのP80 Ultraは、3倍光学相当のペリスコープ望遠カメラを含むトリプルカメラシステムを採用する。TCLといえば日本ではTVや家電メーカーとして知られており、TVではソニーとの協業も発表している。ただしスマートフォンは多くの機種は出しておらず、NXTPAPERディスプレイを搭載したスマートフォンを毎年発表している。

TCL P80 UltraとP80 Pro
TCL P80 UltraとP80 Pro

 「P80 Pro」「P80 Ultra」が採用するNXTPAPERディスプレイは、長時間見続けても目が疲れにくい技術を採用している。表面は紙のようなマット処理が施されており、光の反射も抑えられている。さらに画面モードを切り替えることが可能で、一般的なカラー表示だけではなく、色数を抑えたカラーモード、さらにモノクロモードへの切り替えができる。

「P80 Ultra」の標準モード
TCLのNXTPAPERディスプレイスマホ「P80 Ultra」の標準モード

 色数を押さえたカラーモード「Max Ink Mode」では、紙の上に色鉛筆で書いたような、淡い色合いとなる。電子書籍リーダーで採用されている電子ペーパーのカラー版に似た色合いだ。電子ペーパーとの大きな違いは、NXTPAPERが液晶または有機ELをベースにしたディスプレイ技術である点だ。解像度が高く画面表示も高精細だ。

標準モード以外の2つのモード
標準モード以外の2つのモード

 Max Ink Modeにするメリットは、カラー表示よりも電力を消費しないことだ。電子コミックなどフルカラー表示を必要としないコンテンツを閲覧するときにこのモードに切り替えれば、スマートフォンをより長時間使うことができるわけである。しかも目に優しい表示のため画面を見続けていても目が疲れにくい。

P80 UltraのMax Ink Mode
P80 UltraのMax Ink Mode

 さらに究極の省電力モードとして「Paper Mode」がある。これは完全なモノクロ表示となり、さらに電力消費を落とすことが可能だ。電子書籍など文字だけのコンテンツを利用するのであれば、このモードにすれば電子書籍リーダーと同様に、さらに長時間スマートフォンを使い続けることができるのだ。

Paper Mode
Paper Modeはモノクロ表示になる

 なおモノクロのPaper Modeでも、カメラを起動すると通常のカラー表示となる。またギャラリーで写真を見る時もフルカラー表示だ。電子ペーパー採用の電子書籍リーダーは元からモノクロか淡いカラー表示しかできないが、NXTPAPERではそれらに類似した表示に加え、写真や動画を見る時は自動的にフルカラーモードに切り替えてくれるのである。

Paper Mode カメラ起動時
Paper Modeでもカメラを起動すればカラー表示に変わる

第三のディスプレイ「NXTPAPER」とは?

 NXTPAPERは目に優しいだけでなく、3つの表示モードを切り替えられる点も特徴。これはTCLが開発した目に優しいディスプレイ技術である。一般的なスマートフォンのディスプレイには液晶か有機ELが採用されているが、どちらもバックライトや画素そのものが発する光を直接見ることになるため、長時間使うと目が疲れやすい。NXTPAPERはこうしたディスプレイをベースに、多層のフィルターで目に有害とされているブルーライトを大幅にカット。色のバランスが崩れないよう、光のスペクトルも調整している。P80 UltraとP80 Proが採用するのは、有機ELをベースにした最新世代のNXTPAPERである。

ディスプレイ比較
上側がNXTPAPERディスプレイ

 さらにディスプレイの表面には、「ナノマトリクス・リソグラフィー」と呼ばれるエッチング技術でマット加工が施されており、周囲の光の映り込みやギラつきが少ない。一般的なスマートフォンのような光沢感はなく、一見すると紙の表面のようにも見える。屋外の明るい場所でも画面が見やすいのも利点だ。TCLによると、有機ELディスプレイへのこの技術の採用は、スマートフォン業界で初めてだという。

マット加工された表面
表面はマット加工されている

 そのほかにも、画面から出る光を自然光に近いとされる「円偏光」に変換する処理を施している。さらに、時間帯や周囲の明るさに合わせて輝度や色温度を自動で調整する機能や、暗い場所で輝度を最低1nitまで下げられる機能も備える。こうした工夫を重ねることで、長時間見続けても目が疲れにくい画面を実現しているのだ。スマートフォンを長時間使う人だけでなく、目のケアを気にしている人にもチェックしてもらいたい機能。

TCL UI
子供が使うスマートフォンとしても適している

 「P80 Ultra」と「P80 Pro」に採用された有機ELベースのNXTPAPERは、円偏光率を従来の57%から最大90%へと高めた。またブルーライトの割合を2.9%まで抑えている。そしてベースが有機ELということから、目に優しいだけではなく黒い色をはっきりと表現するなど、見やすさも向上させている。画面の明るさを表す輝度も3200nitsと明るく、屋外での視認性も高い。

画面表示
画面そのものもくっきりと見やすい

 なお3つの画面モードの切り替えは、スマートフォン本体側面の右下にあるNXTPAPERキーを押すだけでよい。3つのモードを交互に切り替えることが可能で、コンテンツに応じて好みの表示をワンタッチで変更できるのである。

本体側面のNXTPAPERキー
本体側面のNXTPAPERキー

スマホ以外にも広がるNXTPAPER

 NXTPAPER搭載製品は、実は日本でも14.3インチタブレット「NXTPAPER 14」や、電子ノート「Note A1 NXTPAPER」などが販売中だ。また、P80シリーズに合わせて新しいタブレット「TAB A1 NXTPAPER」「TAB A1 Plus NXTPAPER」も発表するなど、TCLはNXTPAPER製品を着々と増やしている。このうちTAB A1 NXTPAPERは、日本でも9月11日に発売された。

TAB A1 Plus NXTPAPER
TAB A1 Plus NXTPAPER

 紙のように見やすく目に優しいNXTPAPERのタブレットは、子供向けの学習端末にも向いているだろう。中国ではNXTPAPER搭載タブレットが教育向けモデルとして販売された実績もあり、日本でも学校などへの導入は検討に値するだろう。

 スマートフォンやタブレットは、プロセッサーやカメラといった本体性能の進化に注目が集まりがちだ。しかし、使いやすいユーザーインターフェースなど、ソフトウェアの最適化も快適さを大きく左右する。TCLはさらに一歩踏み込み、人が直接目にするディスプレイそのものの品質向上に取り組んでいる。2021年に登場したNXTPAPERは、ほぼ毎年のように新世代へと進化しており、目の健康に対するTCLの強いこだわりがうかがえる。日本ではまだ知名度が高いとは言えないTCLのスマートフォンやタブレットだが、今後の動向にぜひ注目したい。

TAB A1 Plus NXTPAPER
日本でもNXTPAPER端末が増えることを期待したい

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