VTuber×生バンドがライブハウスを揺らした一日 『Rock on V Summer Fes』公式レポート

2026年8月29日、VTuberと生バンドが共演する音楽フェス『Rock on V Summer Fes』が開催された。シリーズ初となるホールとボックスの2ステージ同時進行で、総勢23組のVTuberが出演。VTuberの歌声と生バンドの演奏が融け合い熱気に満ちた、ボックス開演からホール終演までの約7時間を振り返る。
株式会社アイブレイドが手掛ける『Rock on V』は、人気VTuberが「生バンド」と歌うライブシリーズだ。今回は初めての2ステージ同時開催となり、生演奏の迫力を浴びる「ホール」と、至近距離で楽しむ「ボックス」の2ステージに分かれ、各出演者がパフォーマンスを繰り広げた。なお、ホール全40曲の伴奏を担ったのはVTuberバンド・万鬼夜行。『Rock on V』は、常にハウスバンドとして全出演者の楽曲を演奏してきた彼らの安定感ある演奏なしには成り立たない。
会場に入ってまず目に入ったのは、ロビーの壁一面を埋めるメッセージカード。出演者ごとに色分けされたカードには、ファンから一人ひとりに宛てた言葉が綴られ、その下には花がずらりと並ぶ。隣には出演者たちがこの日の日付とともにサインを書き込んだフラッグや、過去公演の客席やステージを切り貼りしたパネルも展示されていた。
開演前のホールステージには、モニターに出演者へのお祝いのメッセージが次々と映し出され、開演時刻の少し前にはメラ・アカルとXIDENの影ナレが客席の熱量を高めていった。
ホールステージ前半——歌声と生音が生み出す、圧倒的な熱量
開演時刻になり、バンドメンバーが定位置につくと、いよいよライブがスタート。オープニングを飾ったのは、XIDEN×メラ・アカルのコラボステージだ。2人がまず客席に振り付けをレクチャーし、フロア全体でひと通り動きを合わせたのち、披露したのは「MONSTER DANCE」。初めて『Rock on V』に来た人も、常連もみんな一緒に踊れる難易度の振り付けで、あっという間に会場がひとつになった。
続くNEPHLAは「盛れ!ミ・アモーレ」「欠けたサファイア」「anew」の3曲を披露。MCでは自身の代表曲でもある「欠けたサファイア」と、この日カバーしたJuice=Juiceの「盛れ!ミ・アモーレ」を手がけたのが、どちらも山崎あおい(作詞・作曲)と炭竃智弘であることに触れるなど、文脈も感じさせるセットリストと、ハイクオリティなダンス&歌で観客を一気に引き込んだ。
続く百瀬ヒバナは「阿修羅ちゃん」「The hero」「不死鳥」を披露。万鬼夜行のヘヴィーな生演奏に負けないロックボーカリストとしての強さを見せる歌声に、客席のボルテージは早くも最高潮といえる盛り上がりを見せた。
あかつきるきは「それがいいよ」「洗脳」「再火」の3曲を披露。1曲目の「それがいいよ」は、聴く人の背中を強く押すのではなく、そっと手を添えて「今のあなたで大丈夫」と認めてくれるような一曲だ。そこから「洗脳」「再火」へ。澄んだ高音が印象的なステージだった。
羽緒は「準透明少年」「夢霞」「スピカ」を披露。客席では赤と青のペンライトが入り混じって揺れ、紺の和装風のアバターから、透明感のある歌声がホールの奥まで伸びていく。どこか切なさも感じる歌声が会場を優しく包んだ。
稲守サクヤは低音系VTuberらしいパワフルなボイスで「FLAGS」「点描の唄」と積み上げ、ラストの「Fire◎Flower」へ。狐耳のアバターが腕を上げるたびにピンクと赤の光が突き上がり、フロアの温度がまた一段上がった。
前半のトリを飾ったのはまりなす。お揃いの衣装を身にまとった2人のアバターが並んでマイクを握り、「一蓮托生」「GHOST」と畳みかけたあと、ラストナンバーは「ロキ」。2人が煽れば、客席からは「ハイ! ハイ!」の合いの手が一斉に返ってくる。生バンドの音に乗ったコール&レスポンスで会場全体が一体となり、前半戦を締めくくった。
その後、コラボステージ・XIDEN & NEPHLAではバキバキのダンスナンバーである「ROSE」を披露。ダンスが得意な2人ならではのパフォーマンスで会場を圧倒し、休憩タイムへと入っていった。
後半戦——バンドの真骨頂、フロアを支配するロックナンバーの連打
休憩明けに登場したのは、あかつきるき×百瀬ヒバナのユニット・HIBALUCI(ヒバルキ)による「1×1=∞」。普段からユニットを組んでいる二人ならではの息の合ったパフォーマンスと熱量でライブ後半が幕を開けた。
その後は小鳥遊こばとが登場。「チルノのパーフェクトさんすう教室」で客席を一気に巻き込み、「変わらないもの」でしっとりと聴かせ、「捧げて♡無限大LOVE」で締める緩急自在のセットリストを披露。白いフリルのドレスをまとった姿でのかわいらしい煽りに、客席はピンクのペンライトと声援で応えた。
続くメラ・アカルは、「会心の一撃」「MELA MELUV FIRE」「世界が終わる前に、さよならという愛を。」を歌い上げる。「MELA MELUV FIRE」ではコール&レスポンスの応酬で客席をひとつにした。
そして、XIDENによる「GLAMOROUS SKY」「あのバンド」「No Reset」のロックナンバー連打で、後半の熱はさらに一段上のギアへ。鋭くささくれたギターの音とドラムの重圧をまとった凄みのあるボーカルは、生バンドのポテンシャルを最大限に引き出すパフォーマンス。フロアは歓声で応えた。
この日最後のコラボステージは百瀬ヒバナ&稲守サクヤによる「好きすぎて滅!」。フロアの誰もが知る一曲という選曲が効き、イントロが鳴るや、客席は完全にノリきっていた。
クライマックス——巫てんり、えのぐ、万鬼夜行が繋いだ最高潮
その後に登場したのは巫てんり。1曲目の「Reveal」で彼女がマイクを握った瞬間、客席は赤と白のペンライトと突き上げられた腕で埋まった。会場中に放たれる圧倒的な声量は、バンドの音圧を切り裂いてホールの最後方まで突き抜けていく。続く「ADAMAS」では「一緒に歌って」という呼びかけに、客席が歌声で応えた。最後は名曲「Mela!」のカバー。迷いながらも「君のヒーローになりたい」と歌うこの曲を、終盤のフロアに向けて届ける選曲が見事だった。
続くえのぐは、気迫のステージ。1曲目「X-Day」を歌い上げたあと、MCで、センターの鈴木あんずが体調不良のため出演を見送ったことが語られた。
「こういう状況を何度も乗り越えてきたことが私たちの誇り」
「誰よりも悔しいのはあんず。あんずの想いも背負ってこの場所に立っている」
「2人だったから物足りなかったなんて言わせません!」
「えのぐのプライドをかけたパフォーマンスを、心臓のど真ん中にぶち込みます。こころが高鳴ったら、全身全霊の応援をよろしくお願いします!!」
この宣言に、この日最大級の歓声が上がった。
その言葉どおり、続く「決戦前夜」は、いない1人の声を残る2人が埋めにいく気概に満ちたもの。そしてラストの「ヴァーチャルバーサーカー」。2人の力強い歌声が重なり、脳を直接揺さぶるような音と音のぶつかり合いが、生バンドの上でさらに厚みを増していく。1人足りないはずのステージから、足りないどころか有り余るほどの声量が放たれ、フロアを呑み込んだ。
大トリは、5時間にわたりサウンドを支え続けた万鬼夜行。ボーカルの音夜叉タナトと音夜叉モロが合流し、主役としてステージに立つ。「AIZO」「キティ」を叩きつけ、ラストはこの日のために書き下ろした、イベント名ともリンクした新曲「Lock on ME」。どこにいても必ずまた見つけ出す、と歌うこの曲は、ライブが終わってしまう寂しさと、ここまで駆け抜けてきた爽やかさを同時に運んでくる一曲だった。
約5時間半にわたる熱狂を、満員のオーディエンスが最後まで見届けた。
ボックスステージ——ゼロ距離の熱量が生む一体感
また、並走するボックスステージでは、ことりゆうい、葵空かのん、MUZU、ルチア・ラエティティア、天結ひいろ、輝常うどん、詩香よい、氷々樹ノルン、Winter Bouquet、碓氷ゆら、赤魔アザトの11組がバトンを繋いだ。
Winter Bouquetのステージには、フロアから溢れんばかりの観客が殺到。白と水色を基調にしたお揃いの衣装をまとった2人のアバターがスクリーンに現れると、待ち構えていた客席から白いペンライトが一斉に上がる。2人が互いに手を伸ばして向き合うダンスパートでは、その動きのひとつひとつに客席の白い光が揺れて応えた。スクリーン内のバーチャルな客席に灯る光と、現実のフロアで揺れる白いペンライトが完全にリンクする光景は、距離の近さを活かしたボックスステージならではの美しいハイライト。ホールの熱狂とはまた違う一体感に包まれていた。
◾️イベント概要
イベント名: Rock on V Summer Fes
開催日: 2026年8月29日(土)
開催形式: ホールステージ/ボックスステージの2ステージ同時開催(シリーズ初)
ホールステージ:開場15:00/開演15:30
ボックスステージ:開場13:00/開演13:30
主催: 株式会社アイブレイド(株式会社ミラティブ子会社)
公式サイト:https://rockon-v.com/
公式X: https://x.com/rockon_v











































