ディスプレイの前に座るのでなく「ディスプレイを連れていく」へ LG『StanbyME 2 Max』が日本にもたらす新しい視聴スタイル

「ディスプレイは連れていく」という新常識

 固定されたディスプレイの前に人が集まる──。長らく当たり前だった映像視聴のスタイルが、いま変わろうとしている。LGエレクトロニクス・ジャパンが日本で初めて投入する「LG StanbyME」シリーズは、32インチの4Kディスプレイを生活空間へ自由に持ち運ぶという発想の製品だ。韓国では爆発的にヒットし、発表会ではLGマーケティング部部長の安藤康夫氏が、その背景にある新しいライフスタイルと日本市場での可能性について語った。

どこでもディスプレイを連れていく

StanbyME 2 Max

 LGエレクトロニクス・ジャパンが日本市場へ投入する「LG StanbyME 2 Max」。その最大の特徴は、ディスプレイそのものを固定された場所から解放したことにある。32インチ、4K解像度という本格的なスペックを備えながら、キャスター付きスタンド、自立式スタンド、そして平置きという複数のスタイルで利用できる。内蔵バッテリーによって最大約4.5時間の駆動に対応し、コンセントの位置を気にすることなく、家の中のさまざまな場所へ移動できる。

 これまでディスプレイは、基本的に設置された場所から動かず、人がその前へ行って映像を見るものだった。しかしStanbyMEの発想は逆だ。自分がいる場所、その時に最も快適な場所へスクリーンそのものを連れていく。リビングで家族と映像を楽しむ。デスクワークの際にはワークスペースへ移動する。ベッドサイドでは横になりながら視聴する。キッチンでレシピ動画を表示し、時にはテラスへ持ち出すこともできる。

 背面の操作によって本体をスタンドから取り外し、自立式スタンドへ付け替えることも可能。画面は縦横に回転できるため、映画やスポーツなどの横長コンテンツだけでなく、YouTube ShortsやSNSなどの縦型コンテンツにも対応する。ディスプレイを見るために人が決められた場所へ移動するのではなく、生活の動線に合わせてディスプレイのほうが移動する。StanbyMEシリーズが提案するのは、そんな「移動する映像体験」である。

ディスプレイから離れた人にも届いた理由

説明するLGマーケティング部部長の安藤康夫氏

 では、なぜこの製品は韓国で支持を集めたのか。安藤氏にその理由を聞くと、単に「持ち運べるディスプレイ」という説明だけではない、現在の映像視聴環境の変化が見えてきた。

「韓国で人気の要因は、今までありそうでなかった持ち運べるところとスマートモニターのような単独でも使えるところ(PCがなくても良い)が、ディスプレイから離れていく層に届いたのだと思います。ディスプレイはなくてもVOD観たいし、スマホじゃなくて大きい画面で観たい層がいるのが再認識できた製品です。リビングの王様ではなく、あなたのそばにいる固定も移動もできる映像視聴端末がニーズにあったのかと」(安藤氏)

 この言葉は、StanbyMEという製品を理解する上で非常に象徴的だ。ディスプレイを所有していない、あるいはディスプレイを中心に生活していない。しかしNetflixなどのVODは見たい。そしてスマートフォンよりも大きな画面で楽しみたい──。そんな層は確実に存在する。

 従来のディスプレイは、家庭のリビングに置かれ、「家族が集まって見る」ことを前提とした存在だった。言うなれば、部屋の中心にいる「リビングの王様」である。一方、StanbyMEが目指すのはその逆だ。部屋の中心に鎮座するのではなく、使う人のそばへ移動する。リビングではディスプレイのように使い、寝室ではベッドサイドのスクリーンになり、仕事中にはPCのサブモニターになる。

立てかけている様子

 固定されることもできるが、必要になれば移動できる。ディスプレイでもあり、モニターでもあり、スマートデバイスでもある。その曖昧さ、あるいは万能さこそが、既存のディスプレイとは異なる新しいニーズに応えたのだろう。

PCなしでも楽しめる「スマートな大画面」

登壇するLGマーケティング部部長の安藤康夫氏

 StanbyME 2 Maxは、単なる外部ディスプレイではない。LG独自のwebOSを搭載しており、Wi-Fiへ接続するだけで各種ストリーミングサービスやWebブラウジングなどを利用できる。つまり、PCやスマートフォンを接続しなくても、単体で映像を楽しめる。

 ここが、安藤氏のいう「スマートモニターのような単独でも使えるところ」につながる。もちろん、外部デバイスとの連携にも対応する。AirPlayやGoogle Castによってスマートフォンやタブレットの映像を大画面に表示できるほか、USB Type-CやHDMIを利用してPCやゲーム機などを接続することもできる。

タッチパネルを活用している様子

 特に興味深いのが、スマートフォンを補完するスクリーンとしての使い方だ。例えばライブ配信を行う場合、スマートフォンだけでは、少し離れた場所から視聴者のコメントを確認しづらいことがある。そこでスマートフォンの画面をStanbyMEへミラーリングすれば、配信画面やコメントをより大きく確認できる。

 単純に「スマホの画面を大きくする」だけではない。スマートフォンでは足りない部分を、もう1枚の大画面が補完する。映像視聴、PC作業、ゲーム、ライブ配信など、ユーザーの生活に合わせて役割を変えられる点も、この製品ならではだ。

子どもが説明なしで使え、大人の欲求も満たす

使用イメージ

 もうひとつ安藤氏が気に入っているポイントは、製品の「使いやすさ」だ。発表会の後に実際のユーザーが製品に触れる様子を見て、その価値を改めて実感したという。

「私が好きな点はあの発表会のあと、インフルエンサーとお子さんが来て触られてたんですが、未就学のお子さんでもゲームとかなんとなくで使えてた点ですね。お子さんはデジタルネイティブだってのもあるんですがめんどくさくなく使えるの良いです。そんなですがネフリとかVODとか大人の使いたい欲も満たせて、家族で使えるなと。そんな点がお気に入りです」

 このエピソードは、スペック表だけでは伝わりにくいStanbyMEの魅力をよく表している。タッチスクリーンによる直感的な操作は、スマートフォンやタブレットに慣れた世代にとって特別な説明を必要としない。一方で、大人にとってはNetflixをはじめとしたVODを大画面で楽しめるスマートディスプレイとして機能する。

 子どもにとってはゲームや動画を楽しむ画面。大人にとっては映画やドラマを楽しむスクリーン。そして必要に応じて家族で共有できる。「家族向けディスプレイ」という従来の発想とは少し違う。それぞれが自分の使いたい時に、自分の使いたい場所で利用しながら、必要な時には家族で共有する。そんな現在の生活スタイルにも合っている。

 小型リモコンを使った操作に加え、タッチ操作にも対応することもポイントだ。さらにリモコンは本体に取り付けられるため、「どこに置いたかわからない」という小型リモコンならではの問題にも配慮されている。

「リビングの王様」ではなく、生活のそばにいる画面へ

LGマーケティング部部長の安藤康夫氏

 そして映像・音響面でも、LGがディスプレイで培ってきた技術が投入されている。AIプロセッサーによる映像・音響の最適化、コンテンツに応じた画質調整、Dolby VisionやDolby Atmosへの対応など、移動できる製品だからといって映像体験を簡略化しているわけではない。ネットワークにつながるスマートディスプレイとして、webOSを中心としたソフトウェアのアップデートやセキュリティも、これからの映像機器にとって重要な要素になる。

 しかし、StanbyME 2 Maxを語る上で最も重要なのは、スペックの高さだけではないだろう。ディスプレイはリビングにあり、PCはデスクにあり、スマートフォンは手元にある。これまで映像を見るデバイスには、それぞれ決まった「居場所」があった。StanbyMEは、その居場所を固定しない。

 今日はリビングで映画を見る。明日はデスクでPCのサブディスプレイとして使う。夜は寝室へ移動し、横になりながらドラマを見る。そして週末にはテラスへ持ち出す。ディスプレイの代わりになるのか。モニターの代わりになるのか。そのどちらかではない。

 安藤氏が語った「リビングの王様ではなく、あなたのそばにいる」という言葉こそ、この製品を最も的確に表しているのではないだろうか。固定された場所で人を待つディスプレイから、人の生活に合わせて移動するスクリーンへ。「ディスプレイの前に座る」から、「ディスプレイを連れていく」へ。

 『LG StanbyME 2 Max』はディスプレイそのものを置き換えるというよりも、これまでディスプレイとスマートフォンの間に存在していた空白に、新しい映像視聴端末という選択肢を持ち込む製品なのかもしれない。

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