サメが泳いで音を奏でる!? オーディオテクニカ『SHARK BURGER』開発担当者が熱弁する、音質&デザインへのこだわり

「Makuake」での先行販売で話題となったオーディオテクニカのポータブルレコードプレーヤー『SHARK BURGER』。同社の人気モデル「SOUND BURGER(サウンドバーガー)」の最新ラインナップで、宮城県気仙沼の伝統産業「サメ漁」との共創プロジェクトという点も注目を集めた一台。そんな異業種コラボはどのようにして誕生したのか。自身もサウンドバーガーを愛用するオーディオ評論家の野村ケンジが、開発を担当した國分裕昭さんにインタビューを行なった。


ーー「Makuake」で先行販売され、注目を集めた『SHARK BURGER。オーディオテクニカと気仙沼「サメ漁」との共創プロジェクトとのことですが、企画の始まりは何だったのでしょう?
國分裕昭(以下、國分):弊社の製品は昔から機器の一部に漆や蒔絵、七宝焼きなどの伝統工芸などを使って装飾をすることがあり、地方の町工場や伝統産業との接点が実は多いんです。ただ、時間の経過とともに、これまで付き合いのある業者さんが廃業したり、職人の後継者不足で作れなくなってしまうものも多かったんです。
素晴らしい技術や素敵な文化がなくなっていくのはすごくもったいない気がしていて、製品を作るだけじゃなく、そういった産業の裏側もユーザーの皆さんにお伝えできないだろうかと考えました。そこで、日本全国の地域産業や工芸品を調べていく中で、気仙沼のサメ漁に出会ったんです。現地にうかがって地元の方の話を聞いてみたら、サメ漁は江戸時代から続く文化だから後世に伝えていきたいね、といった話をされていました。
オーディオテクニカもレコード針から始まった会社で、アナログレコードという文化を次の若い世代につないでいきたいという思いもあって、2022年にサウンドバーガーを復刻したという経緯があります。業種は違えど「文化の継承」という思いは同じということで、一緒に面白いことをやりませんかという話になりました。


天然素材のサメ皮を背面ハンドルに採用
ーーまずデザインがユニークですよね。本体も、箱もサメだらけで。
國分:気仙沼湾は水産資源が豊富ですので、そこの生態系をパッケージの内側やスリップマットに表現しました。また、本体を持ち運ぶための背面ハンドルにサメ皮を使っています。
ーー失礼な言い方かもしれませんが、サウンドバーガーはこの手のアナログプレーヤーの中でも、多くの人に音質を認めてもらえる実力を備えた製品だと思います。
國分:ありがとうございます。1982年に発売した初代機『AT727』から、仕様を現代版にアップデートした所と、オーディオメーカーとして変えられなかった部分がありました。『SHARK BURGER』を企画していた時も、使いやすさとオーディオ品質のバランスをどうするかに開発陣は気を配っていました。
ーー『SHARK BURGER』の製品開発で苦労した点はどこだったのでしょう?
國分:一番苦労したのは背面のハンドルです。先ほど触れた通り、気仙沼のサメ革を使用しているのですが、サメ革はシボ(革の表面に現れる立体的なシワ模様)が深く、加工が非常に難しい素材です。風合いを活かしながら、弊社の品質基準を満たすために、多くの試作品を重ねました。
ーー天然素材だけに、細かい部分まで気を使わないといけなかったんですね。


形は自由だけど、重さは変えられない。こだわりまくったヘッドシェル
國分:もうひとつは、サメ形のヘッドシェルです。サウンドバーガーのトーンアームは、ダイナミックバランス型(バネなどを用いて針圧の加圧を行う)とスタティックバランス型(ウェイトで針圧を調整する)のいいとこ取りをしているので、ヘッドシェルの重さを変えるわけにはいかないんです。形は全く違うのに、どうやって重さを合わせるかでエンジニアは苦労していました。
ーーサメのヒレが指かかりになって、とても使いやすい。レコードを再生する時には嬉しい改善です。
國分:デザイナーと設計者が、重すぎるとか、削りすぎだとかカットアンドトライを繰り返していました。どちらもレコードのことを分かっているメンバーなので、うまくいったのかもしれません。
ーーそういった人材が豊富なのも、オーディオテクニカならではですね。
國分:再生している時はレコードの上をサメが泳ぐような姿になっています。さらに天面は気仙沼の透き通った海をイメージしていて、再生を止めて収納したらサメが深海を泳いでいるように見せたいと考えました。


『SHARK BURGER』は、現代のボーカルや劇伴も心地よく聴かせてくれる
ーー先程、アクティブスピーカー『AT-SP3X』と『SHARK BURGER』の組み合わせで音を聴かせていただきました。僕は、自宅でもサウンドバーガーを聴いていますが、その印象より少し華やかで、低域の量感が増えているような気もしました。
ダイナミックレンジがちゃんと確保されている、彫りの深い音が出ているのが素敵だと思います。アナログレコードプレーヤーらしく、アコースティック楽器の再現も得意ですし、現代のボーカルとかも心地よく聴かせてくれます。デスクトップシステムイメージでの試聴でしたが、よかったですよ。
定価で5万円とか10万円のレコードプレーヤーならさらにS/Nが良くなって、音のダイナミックレンジングも広くなるでしょう。しかし、音楽の迫力とか表現力といった点では、サウンドバーガーは充分満足できるレベルを実現しています。
國分:ありがとうございます。なお、サウンドバーガーには丸針が付属していますが、別売の楕円針にも交換可能です。針を変えるのはアナログならではの楽しみですし、レコードに沼ってもらえるような拡張性を、ちょっとだけ残しておこうという狙いです。

『SHARK BURGER』は水揚げされて、現在出荷待ち!
ーーBluetooth接続で聴いていると、SBCでもこんな音になるんだと驚きます。有線にしたらさらに情報が浮き彫りになるし、その描きわけも上手いですね。ところで、サウンドバーガーは新しくなってから何世代目ですか?
國分:2022年、弊社創業60周年を記念して復刻モデルを限定リリースし、多くの反響をいただきました。それを受けて、翌2023年には通常モデルをリリースしています。その後、アーティストやアパレルブランドとのコラボレーションモデルも3モデル展開してきましたが、今回が地域産業との初のコラボレーションとなります。ありがたいことに、さまざまな企業からSOUND BURGERに関するお問い合わせやお声がけをいただいています
ーーそれは製品に魅力があるからですよ。『SHARK BURGER』に続く地域産業とのコラボもじゃんじゃん考えて下さい。とはいえ、まずはサメが無事に出荷されないと(笑)。
國分:はい。現在出荷待ち、水揚げされた状態です。
ーーサウンドバーガーは、いろいろな物や人をつなぐ存在になり得る製品だと思います。さらなる展開を期待していますので、頑張ってください。
國分:ありがとうございます。とても嬉しいお言葉をいただきました。本当に、音楽と人をつなぐプラットフォームになれればいいなと思っています。
■販売情報
AT-SB727 SHARK(SHARK BURGER/シャークバーガー)
一般販売:2026年7月27日(※数量限定)
販売価格:3万3000円(税込)※本製品はクラウドファンディングサービス「Makuake」にて先行販売を行い、多くの支持を集めました。
付属品:充電用1.5m USBケーブル(USB Type-A/USB Type-C)、オーディオケーブル、45RPMアダプター■関連動画
SHOW-GO「Ocean Voices」(SHOW-GO公式YouTubeチャンネル):https://youtu.be/PoJEp1fElNQ
SHOW-GOインタビュー動画(オーディオテクニカ公式YouTubeチャンネル):https://youtu.be/mWqcSAPOWco■関連リンク
SOUND BURGER公式サイト:https://www.audio-technica.co.jp/soundburger/






















