10代にして1,000以上のゲームを生み出した若き才能 現役高校生クリエイター・杉山悠真氏が語る「つくる人を増やす」執念

数百人規模の創作コミュニティ運営も “ヤバい天才たち”を仲間に起業を目指す

――今後、プログラマーとしてのキャリアを積みたいと思っていますか?

杉山:プログラミングは好きでも嫌いでもなく、普通です(笑)。僕にとって、プログラミングはあくまで自分の目的を達成するための手段だと思っています。僕が本当に好きなのは、プログラミングをすること自体ではなく「新しい価値をつくること」です。そのために、自分の得意分野である文章を書くことが一番多いですが、とにかく新しいものを生み出すことにめちゃくちゃ向き合いたいと思っています。

――将来に向けて浮かんでいるビジョンなどはありますか?

杉山:会社を起業したいと考えています。今つくっているのは、クリエイターが自分の作品を自動で公開し、ポートフォリオ(自分の作品集)のようにまとめられる「ゆるっとノート」というサービスです。今はSNSに作品を投稿する人が多いですが、SNSだと過去の作品がタイムラインに埋もれてしまい、検索にもヒットしないです。また、SNSを使うと、成功している人ばかりが見えて自信を無くしたり、いいねをもらうことばかりに集中して自分の個性を優先できなくなることがあります。このサービスには「SNSから距離を取って作品に集中しよう!」というメッセージも込められています。

 このサービスは、自分の作った楽曲、イラスト、漫画、小説などを一箇所に投稿するだけで、自動的に作品に合った見え方になる自分だけの作品サイトが完成する仕組みになっています。例えば漫画を投稿すると、それが簡単に読める形式のサイトが自動で完成します。サイトは自動で英語や中国語に翻訳されるので、世界へ向けて発信することもできます。僕のサイト(※6)はこのサービスの試作版で作っていて、既に動いています。これがお金になるかどうかは正直全然わからないのですが、このサービスを今すぐ使ってほしい人が僕の運営する創作コミュニティにいっぱいいるので、クラウドファンディングで支援してもらいながら公開しようかなと考えています。

――創作コミュニティを運営されているのですね。杉山さんのコミュニティは若い方が多いのですか?

杉山:はい。僕のコミュニティには460人ほどが在籍していて同年代の仲間もたくさんいます。その中には本当にヤバい天才が何人もいます。将来的には、そういった若い天才たちを仲間にして、すごい作品を作れると楽しいなと考えています。

――これから挑戦したい課題などはありますか?

杉山:プログラミングAIを使って作品をつくる新しい書籍を書こうと考えていて、そのための試作と研究をしています。「プログラミングの知識が一切なくても作品が作れる」という内容にしたいと思っていますが、それが本当にできるのかを実験しているところです。

――最近はAIの進化が目覚ましく、プロンプトを入力するだけで簡単なゲームを出力できる時代ですが、この進化についてはどう考えていますか?

杉山:AIの進化は本当に素晴らしいことだと思います。ただ、現在のAIはゲーム制作の本質的な部分には使えないと考えています。ゲーム制作は創造性の塊です。僕は、新しい作品の創造には人間の頭のおかしい部分、「狂気」が必要だと考えています。AIは「この先に起こりそうなこと」を予測しているだけなので、みんながよくやりそうなことしか出力できません。逆に言えば、誰が作っても同じようになるもの、例えばステージエディター(ゲームのステージがつくれるツール)などは、むしろAIで作ったほうがいいです。しかし、芸術的なところや、操作の気持ちよさとか、独自の世界観をイチからつくるのはAIにはできません。例えば『BADLAND』のステージエディターは作れても、あの世界観を持ったステージそのものや、作品自体をAIでつくることはできないと思っています。

 僕自身、日々の作業の中でAIはよくつかっています。ただ、それはあくまで誰がやっても同じ結果になるものに限定して使っています。

『BADLAND』

――これまで作品を公開してきた中で、ユーザーからの反響で嬉しかったことや、印象的なエピソードはありますか?

杉山:僕の書籍を読んでコミュニティに来てくれた中学生が、新しくオリジナルのゲームを完成させたときです。いつも、僕は自分の作品や活動で「つくる人」が増えたらうれしいなと思っているので、これはまさにその瞬間で、めちゃくちゃ嬉しかったです。

Googleの恐竜のゲームみたいなやつ ノーデスクリア

 その中学生が作ったのは「迫ってくる障害物をジャンプで避ける」というシンプルなゲームだったのですが、ステージの作り方と難しさがよく調整されていてすごく面白かったです。面白かったのでノーミスクリアまでしてしまいました(笑)。

――これから作ってみたいゲームのアイデアはありますか?

杉山:僕は、1週間など期限が決まったイベントでつくることが多く、そのたびにアイデアを考えてゲームを作っています。なので「次にこれをつくる」ようなものはあまりなく、「やるぞ」と決めた瞬間に全力でアイデアを考えるというやり方にしています。

――ゲーム制作以外では、普段どのようなことに興味がありますか?

杉山:僕はとにかく「創作」という行為そのものが大好きなんです。ゲーム以外にも、楽曲制作はもちろん、デザインやイラストを描いたり、最近は小説を書いたり、色々な種類の創作を楽しんでいます。最近面白かったゲームに『ARC Raiders』というものがあるのですが、あの入り込める世界観は今の自分に足りていないものだと感じています。最近小説を書いているのも、世界観やお話をつくるための練習です。

『ARC Raiders』

――世界観やお話というとRPGなどのジャンルが思い浮かびますが、RPGは作られていたりしますか?

杉山:僕はRPGはあまり作ってきませんでした。個人的に「RPGの戦闘って本当に必要なのかな?」と思ってしまう人なんです(笑)。それよりは、お話や世界観を体験できるアドベンチャーゲームのほうが好きです。もし僕がRPGをつくるとしたら、まず先に「めっちゃ変で面白いギミック」を考え始めると思います。

作品を完成・公開することでしか、クリエイターを大きく成長させることはできない

――創作は完全にひとりで行っているのですか?

杉山:基本はひとりでやっていますが、イラストはyaigiさんに依頼することが多いです。また、作品を公開するときは父が手伝ってくれています。

 ところで、僕は自分が創作するときに出てくる自分自身の衝動や狂気に名前をつけていて、「アダム」と呼んでいるのですが、そのアダムを全開にしてゼロから全てをつくる作業と、作品を完成させて公開する作業は真逆なんですよね。なので、その完成させる作業と、世に送り出すところを手伝ってもらっています。僕もクリエイターなので、アダムを邪魔されるのがすごく嫌になるときもあります(笑)。

 この本の内容はすべて僕が書いたものなんですが、全体の流れを決めるときは、ふたりでサイゼリヤに何時間もこもって、もはや店内が会議室なのかってくらい話し合いながら流れを決めました(笑)。

 話し合いをするときは、どんな反対の意見をもらってもちゃんと受け入れた上で「自分の意見も相手の意見も疑う」ようにしています。なので、僕の考えたA案に対して、父からB案を貰ったうえで「根本的に解決するC案で行こう」となることが多いです。

――素晴らしい関係性ですね。相手の意見を聞くだけでなく、自分の頭でも考え抜く。その若さでその境地に達しているのがすごいです。それでは最後に、同年代や、さらに若い世代の「ゲームを作ってみたい」と思っている人たちに向けて、メッセージをお願いします。

杉山:みんなによく言っているのは「人の評価を気にせず、とにかくつくって作品を公開しよう」ということです。いきなり歴史に残るすごい大作をつくろうとして、何もつくらなかったり完成しなかったりするよりも、今すぐできるものをとにかくつくりまくって、どんどん公開すること。そして、色々な作品で遊んで参考にすること。それが何よりも大切です。そういえば最近、僕のコミュニティの人が作品を未公開のままにしようとしたことがあって、強制的に公開させたことがありました(笑)。僕のコミュニティにいる人たちはみんなクリエイターらしいクリエイターなので、無限にコダワリたくなるし、アダムに区切りをつけて完成させ、公開するのを嫌がります。もちろん嫌なのはわかっていますが、「言われるのが嫌なら僕のコミュニティを抜けてください。合わないなら抜けてもらっていいです」と、それくらいの姿勢で伝えています。それは、ひとりのクリエイターとしてみんなと対等に向き合っているからです。

――それだけ「公開する」という行為にこだわる理由は何でしょうか。

杉山:僕自身、作品に区切りをつけたくない彼らの気持ちは痛いほどよく分かります。ですが、作品を完成させて公開することでしか、クリエイターを大きく成長させることはできないんです。強制的にでも作品を完成させて公開してきたからこそ、今の自分があります。もし中学生の頃、ゲームや書籍を何も公開していなかったら、今の僕には何も残っていなかったはずです。だからこそ、完成させて公開することはものすごく大事なんです。

――創作において、どんな思いを抱いて作っているのか、今一度教えていただいてもよいでしょうか。

杉山:僕のすべての活動には、「つくる人を増やしたい」という想いがあります。僕の感じている「つくる楽しさ」が、いつのまにか周りの人たちにも広がっていったら嬉しいな、と思っています。

※1:https://scratch.mit.edu/
※2:https://store.steampowered.com/app/1740930、https://store.steampowered.com/app/658990/
※3:https://www.roblox.com/ja
※4:https://play.google.com/store/apps/details?id=me.funkin.fnf&hl=ja
※5:https://x.com/_yaigi?lang=ja
※6:https://progsha.com

■関連情報
『ゆるっとはじめるRobloxゲームプログラミング』

価格:2,860円(税込)
ISBN:9784296071036
発行日:2026年04月27日
著者名:杉山 悠真 (著)
発行元:日経BP
ページ数:296ページ
判型:A5

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