栗山夕璃が音楽性の拡張を通じて悟った自らの“変わらなさ” 1stフルアルバム『Ampoule Case』とともに歩みを振り返る

栗山夕璃と振り返る、『Ampoule Case』収録楽曲たち

栗山夕璃 1st Full Album ≪Ampoule Case≫XFD

──ここからはさらに深くアルバムの楽曲たちを振り返っていきたいと思います。収録曲をいくつかピックアップしつつ、この5年間を追う形の振り返りもできたらと。まずは2022年の「シルバーツインズ」ですね。『ボカコレ(The VOCALOID Collection)』へ初めて参加した曲になります。

栗山:この時期の前後は、Van de Shopでドラマやアニメのタイアップ楽曲を歌わせて頂いていた時期ですね。そうした活動の合間に隙間時間を見つけて、どうにか作った記憶があります。個人活動というよりは、本当に趣味の延長線上ぐらいの気持ちで。

──『ボカコレ』への参加は、今のところこの曲のみですかね。

栗山:「TOP100」部門への参加はこの曲だけですね。『ボカコレ2025夏』の時は「モニタリング」でリミックス部門へ参加しました。「久々に来たよー!!」って感じで(笑)。

──ちなみに当時、「シルバーツインズ」をボカコレに出そうと思った経緯は覚えていますか?

栗山:『ボカコレ』は影響力も高まってかなり競争色が強くなってますけど、当時の僕の感覚としては完全に“お祭りイベント”で。もちろん真剣にランキング上位を目指して参加する人もいれば、僕みたいなエンジョイ勢というか、「わーい、楽しそう」って乱入する人もいる、みたいな。この曲はぬゆりさんと一緒に作った楽曲なんですが、彼とも当時「このイベント(ボカコレ)、面白そう!」と話していて。せっかくなら、そこでお披露目しよう、ということで応募期間に間に合わせるように作ったんです。

──ぬゆりさんとの共作になった経緯も併せて伺えますか。

栗山:ぬゆりさんも前々からエレクトロスウィングの曲を作られていたので、個人的にぬゆりさんの作品のお邪魔になるような真似はしたくないなと思いつつ、とはいえ何かしら面白いことができれば、より良いものができれば、と思ってもいて。それでこの形になったんです。ぬゆりさんとはプライベートでも一緒に遊ぶぐらい仲が深まりました。ネットカフェで隣同士並んでゲームを遊んだり(笑)。

シルバーツインズ / Flower・可不 - Nulut and kuriyama(Official Video)

──素敵な広がり方ですね(笑)。この時期は先ほどのお話の通り、Van de Shopの活動がかなり盛んでした。ですので年代的に次点の印象的な投稿作は、2023年の「フィラメントフィーバー」でしょうか。『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』への初書き下ろし曲になります。

栗山:制作の前段階のお話として、まず自分の初収録曲として「フェレス」を『プロセカ』に実装して頂いたんです。「GABULI」という企画に提供して、いゔどっとさんに歌唱頂いた曲ですね。その後「フィラメントフィーバー」の書き下ろしも発表になって。

──当時、『プロセカ』というコンテンツはどのようなお気持ちで見られてましたか?

栗山:いやあ、「音ゲー出来る人、羨ましいな~」と。音ゲー自体は僕もめちゃくちゃ好きなんですけど、あまり得意ではなくて。プレイすると自分の中で勝手にリズムを作っちゃって、譜面と全然違うタイミングで叩いちゃうんです。音ゲーって、結構メロディから譜面が作られていることも多いと思うんですけど、僕はドラムやビートの方でリズムを取ったり自己解釈で遊び始めて…。おかげで全然クリアできなくて(笑)。

──音楽をやっている人ならではの悩みですね(笑)。そんな中で提供の依頼があったわけですが、どのような意識で曲を作られたんでしょう。

栗山:自分がそういう感覚で音ゲーをプレイしてしまうので、逆にリズムは難しくしよう、と思って作っていました。いいメロディを作りつつも、ちょっとリズムは難解に、というか。あとはやっぱり、「ワンダーランズ×ショウタイム」というユニットらしい、ビッグバンドやスイング感も意識して作りました。

──『プロセカ』ファンの中には、この曲でボカロP・栗山夕璃を知った人も多いかもしれません。当時はどんな反響がありましたか?

栗山:僕のことをアバウトに名前だけ知っていただいている、みたいな方で「あ、栗山夕璃って蜂屋ななしだったんだ」って言って下さる方はお見かけしました。

──なるほど。そうしましたらまだまだ、“蜂屋ななし”が復活していることを知らない人も案外いるのかもしれません。

栗山:そうですね。気づいてくれる人がいるのは嬉しい一方で、“蜂屋ななし”が活動していた時代を知らない人も多いと思うんです。だから、これからの方には単純に“栗山夕璃”として知ってもらえたら感謝、です。

──今後は「昔は別名義だったんだ」と、後追いで知る人の方が増えていくんでしょうね。さて、その後2025年にも『プロセカ』へ「花結び」を提供されています。個人的に、「Leo/need」への書き下ろしは少し意外に感じました。

栗山:僕もお話を頂いた時はびっくりしました。ただ、個人的には縁を感じるところもあって。「フェレス」を収録頂いた時に記念で『プロセカ』のプレイ配信をやったんですけど、その時の引いたカードが天馬兄妹だったんですよ。ワンダショ(ワンダーランズ×ショウタイム)の司くんとレオニ(Leo/need)の咲希ちゃんがデッキに入ってきて。その2つのユニットへの書き下ろしのご相談を頂いたのは運命的だな、と思いました。

──ワンダショとレオニの楽曲では、おそらく作風や制作の仕方も全く異なってきますよね。

栗山:そうですね。とはいえ、スイングともうひとつ、僕の得意なジャンルがやはりロックなので、そこがマッチしたんじゃないかな、と。ただ、「花結び」は実際に演奏するとなると、かなりテクニックがいる曲になりました。

──Van de Shopとして活動したことで増えた引き出しが生きたんでしょうか。

栗山:そう思われるかもしれませんが、Van de Shopというバンドは、「僕が一人で構成しないもの」を目指しているバンドなので、その引き出しを使うのは理想と違う形で。なので、同じバンド形式の曲でも、Van de Shopで作る曲とはまた軸が違うものになりますね。どちらかというと、かなり昔に作った「ノイローゼ」とかの派生かもしれません。

──くわえてラインナップの中では、やはり2024年の『ポケモンfeat.初音ミクProject VOLTAGE』提供作「ひゅ~どろどろ」も外せません。

栗山:『ポケミク』もライブ(『ポケモン feat. 初音ミク VOLTAGE Live!』)にご招待いただいて現地に見に行ったんですけど、とても感動しました。素晴らしかったです。アルバムに収録されている新曲「ロールバックロール」のギターを演奏してくれた煮ル果実くんと行ったんですけど、お互い「楽しかったね」って言いあったりして。大満足でした。

ひゅ〜どろどろ feat 初音ミク&MEIKO / 栗山夕璃

──投稿時の皆さんの反応はどうでしたか?

栗山:実際にお会いして「最高でした!」と言っていただいたり、お手紙で感動を伝えていただいたり。ここでもやっぱり1人は「栗山夕璃って蜂屋ななしだったんだ!」という声を見たり。なんだか、楽曲を出す度に毎回その声を聞いている気がします。またお会いできて嬉しいです、なんて思いつつ。(笑)

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