『鉄拳8』に範馬勇次郎、『餓狼伝説CotW』にはケンシロウが参戦……格闘ゲーム×強力IPのコラボは何をもたらすか
バンダイナムコエンターテインメントが5月25日、人気対戦格闘ゲーム『鉄拳8』に「刃牙」シリーズの範馬勇次郎がプレイアブルキャラクターとして参戦することを発表した。3月には『餓狼伝説 City of the Wolves』(SNK)に『北斗の拳』のケンシロウが参戦するとの発表もあり、格闘ゲーム界に漫画/アニメ界からビッグネームの参戦が続いている。
存在自体がド派手で、作品の世界観と対戦環境を大きく変えてしまう可能性のあるゲストキャラの参戦は、既存のプレイヤーからすると賛否あるところだ。しかし、特に上記2例のような強力なIPであれば、新規プレイヤーの流入&タイトルの活性化が大いに考えられる。
そもそも格闘ゲームは、ゲームセンター/アーケード文化の後退と、初心者にはハードルが高いマニアックなシステムや操作性もあり、長く“冬の時代”を強いられてきた。配信カルチャーとの親和性の高さ(見ている分には勝ち負けが分かりやすく、面白い)から多くのファンを獲得しながら、しかしプレイ人口は増えない。そんなジレンマの中で、2023年リリースの『ストリートファイター6』は、複雑なコマンド入力を省略した「モダン」操作を導入したことで間口を大きく広げ、人気ストリーマー/VTuberを巻き込んで大ヒットを記録しているが、コミュニティの維持のためにもシーンに広がりをもたらす起爆剤は必要だ。歴史ある『鉄拳』というタイトルに「範馬勇次郎」という強烈なキャラクターが参戦することを歓迎する格闘ゲームファンは多いだろう。
一方で、「強さ」のあり方から場合によっては物理法則まで違う別世界のキャラクターを対峙させたとき、整合性の取れた「試合」が実現できるのか、と疑問に感じる人もいるかもしれない。その点、格闘ゲームシーンでは、そもそも他作品からのゲストキャラクターの参戦や、「CAPCOM VS. SNK」シリーズや「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズ、『ストリートファイター X 鉄拳』などに代表される作品の枠を超えたクロスオーバーは珍しくない。「大乱闘スマッシュブラザーズ」(スマブラ)シリーズを格闘ゲームと捉えればこれも好例になるが、格闘家もモンスターも、平凡な人間もスーパーヒーローも、定められたルールの中でうまく戦わせてきた歴史があり、範馬勇次郎やケンシロウについても、概ね純粋に「対戦のなかであの技はどう再現されるのか」と楽しみにしていていいだろう。
やや心配になるのは、キャラクターの「強さ」がどう調整されるか、ということだ。範馬勇次郎は一人で現代の軍隊に比肩する「地上最強の生物」であり、ケンシロウは「地上最強の拳」である北斗神拳の伝承者。キャラクターが背負ったストーリーからもキャラ性能が弱ければ納得感がなく、逆に強すぎて「上級者がほぼピックする/大会の上位にずらりと並ぶ」ような状況になってしまえば、ゲーム自体が壊れてしまうし、既存のプレイヤーにとっては興醒めだろう。ひいては、「刃牙」シリーズや『北斗の拳』という作品自体への印象を下げてしまいかねない。
もっとも、バンダイナムコエンターテインメントもSNKも百戦錬磨のゲームメーカーであり、その点はうまくクリアしてくれることだろう。有名キャラクターの参戦でゲーム自体が盛り上がり、かつそのキャラクターを自ら操作することで愛着を持ったプレイヤーが原作をあらためて楽しむきっかけになるような、幸福なコラボになることを期待したい。























