2026年のAIトレンドはどうなる? AIエージェントの普及に“AIインフルエンサー”の誕生も予想

OpenAIとDisneyの提携は、日本IP企業の公式動画生成AIアプリ誕生の呼び水になるか

 2025年は、動画生成AI界隈で大きな動きがあった。同年12月11日、OpenAIとDisneyは、動画生成Soraをめぐってパートナーシップを締結した(※7、トップ画像も参照)。

 このパートナーシップは、動画生成AI、ひいてはグラフィックAI全般において長年の課題であった「既存キャラクターに対する著作権侵害リスク」に対するひとつの回答となっている。つまり、DisneyのようなIP保有企業が公式に自社のIP活用を特定のグラフィックAIアプリに認めることで、“公式な活用場所”を提供すると同時に、それ以外の場所での活用は違法であると誰にでもわかるようする、自社IPをめぐる“AI生成コンテンツの囲い込み”を打ち出したのだ。

 同パートナーシップには、Soraで生成されたDisneyキャラクターが登場する動画の一部が、同社が運営する動画配信サービス『Disney+』で視聴可能になる、という内容も含まれている。この内容により、AI生成動画の視聴を目的として、同サービスに加入する新規ユーザーが生まれる可能性が出てくる。

 同パートナーシップの今後の展開として、AI生成動画人材の発掘と育成も考えられるだろう。そうなれば近い将来、Disneyキャラクターを活用したAI生成動画の制作を得意とする、いわば“AI生成動画インフルエンサー”のような存在が誕生する可能性もある。そのような人材を囲い込むために、何らかのクリエイター収益システムが誕生するとしてもおかしくない。もしもそうなれば、そこで活躍するAI生成動画クリエイターにあこがれて、ますます同アプリのユーザーは増えていくだろう。

 OpenAIとDisneyのパートナーシップは、多数のIP保有企業が存在する日本にも大きな影響を与えるに違いない。このパートナーシップが成功すれば、自社のIPを活用した生成AIビジネスを成功させるべく、日本のIP保有企業公式の動画生成AIアプリが次々と誕生する可能性がある。早ければ2026年にも、任天堂や集英社が運営する動画生成AIアプリが登場するかもしれない。

国産AI開発やディープフェイク規制が進む2026年

 生成AIは一国の経済、さらには国際競争力に大きな影響を及ぼすことから、世界各国が生成AI活用に関する政策を立案・施行しているのは、周知の事実である。

 2025年12月23日、日本の内閣府はAIの利活用政策をまとめた「人工知能基本計画」を閣議決定した(※8)。同計画は「AIを使う」「AIを創る」「AIの信頼性を高める」「AIと協働する」の4本柱を掲げ、それぞれの柱を具体化する取り組みをまとめている。

 「AIを創る」については、日本政府が2026年度から“国産AI”開発のために、5年間で1兆円規模の支援を実施することを、毎日新聞などが2025年12月に報じている(※9)。ChatGPTに匹敵する国産AI開発は、経済安全保障の観点から見て、非常に重要な課題である。2026年は、この話題についても継続的に報じられるだろう。

 生成AIが及ぼす悪影響への対策についても、2025年に大きな進捗があった。アメリカ・ホワイトハウスは同年5月19日、ディープフェイクポルノを対象とした「Take it Down法」(撤去法)を成立させた(※10)。この法律は、ディープフェイクポルノの削除申請を受けとったオンラインサービス企業は48時間以内に当該コンテンツを削除しなければならない、という大きな強制力をもつものだ。

 日本でも、ディープフェイク規制をめぐる自民党の対策チームが立ち上がったことを、TBS NEWS DIGが2025年12月16日に報じている(※11)。同チームによる提言が、どのような強制力を持ったものになるのか、が注目される。

 本稿では、2026年のAI業界のトレンド予測として、AIエージェント、AIバブル、動画生成AI、そして生成AIと政策について論じてきた。総じて言えるのは、2026年はますます生成AIが日常に入り込み、生活やエンタメの一部に溶け込むだろう、ということだ。このことは同時に、生成AIが及ぼす悪影響に巻き込まれるリスクが、ますます高まることも意味している。各国が正しく法整備を進めることとあわせて、生成AIユーザーの一人ひとりが、生成AIを安全かつ正しく使う“生成AIリテラシー”を習得することが重要となるだろう。

〈参考〉
(※1)Criteo「Criteo、AIエージェントの未来を読み解く:消費者とマーケターの意識調査を発表」
https://www.criteo.com/jp/news/press-releases/2025/10/criteo-unveils-findings-of-a-new-survey-into-the-future-of-agentic-ai/
(※2)OpenAI「ChatGPT 搭載のブラウザー、ChatGPT Atlas が登場」
https://openai.com/ja-JP/index/introducing-chatgpt-atlas/
(※3)Google「Go behind the browser with Chrome’s new AI features」
https://blog.google/products-and-platforms/products/chrome/new-ai-features-for-chrome/
(※4)OpenAI「Stargate Project を発表」
https://openai.com/ja-JP/index/announcing-the-stargate-project/
(※5)The Guardian「When the AI bubble bursts, humans will finally have their chance to take back control」
https://www.theguardian.com/commentisfree/2025/dec/23/artificial-intelligence-ai-bubble-bursts-humans-take-back-control
(※6)Epoch AI「How much power will frontier AI training demand in 2030?」
https://epoch.ai/blog/power-demands-of-frontier-ai-training
(※7)OpenAI「ウォルト・ディズニー・カンパニーと OpenAI、ディズニー各ブランドの人気キャラクターを Sora で利用可能にする画期的な合意を発表」
https://openai.com/ja-JP/index/disney-sora-agreement/
(※8)内閣府「人工知能基本計画」
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_plan/ai_plan.html
(※9)毎日新聞「国産AI、政府が1兆円支援へ ソフトバンクなど26年春に新会社」
https://mainichi.jp/articles/20251222/k00/00m/300/070000c
(※10)THE WHITE HOUSE「ICYMI: President Trump Signs TAKE IT DOWN Act into Law」
https://www.whitehouse.gov/articles/2025/05/icymi-president-trump-signs-take-it-down-act-into-law/
(※11)TBS CROSS DIG「生成AI使った「ディープフェイク」規制のあり方検討へ 自民が対策チーム設置 来月にも政府に提言へ」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/withbloomberg/2351769?display=1

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