シンガポール『AFA2025』で感じた“オタクのシンクロニシティ” 引き起こすカギは「海外進出の継続的な取り組み」か

シンガポール『AFA2025』現地取材レポート

 2025年11月に開催された『Anime Festival Asia Singapore 2025(以下、AFA2025)』。同イベントはシンガポールを拠点にするSOZO社が開催するアニメイベントだ。

 この『AFA』は、ニコニコ超会議や『The VOCALOID Collection』などを運営するドワンゴとも連携を密にしている。昨年から始まった取り組み「Asia Creators Cross」(以降:ACC)を通じてアライアンスを組み、2024年11月に開催された『AFA(シンガポール開催)』を皮切りに、世界のクリエイター同士を繋ぐ場を共創してきた。

 さらに、昨年12月にはKADOKAWAがSOZO社を子会社化することも発表され、今後ますます取り組みが強化されることも予想される。筆者は発表の直前に開催されていた、シンガポール『AFA 2025』を取材するため、現地を訪れた。本稿では、現地の様子や日本のIPコンテンツの人気ぶり、そして「ACC」を通じて現地でステージパフォーマンスを披露したボカロP・さたぱんP、栗山夕璃、八王子Pのアクトと、ニコニコ超会議でも人気の「超ニコニコ盆踊り」の盛り上がりについてお伝えしていこう。

シンガポールにおける「日本カルチャー」の広がり

 そもそもシンガポールと聞いて、どんな国を想像するだろうか? きっと金融やビジネスの“要所”といったイメージを持つ方が多いだろう。実際、金融政策やビジネス誘致などを国家戦略として掲げ、主要産業として挙げられるほどだ。そのほかにエレクトロニクス周りの製造業も盛んで、「金融」と「製造」が稼ぎの中心になっている。

 一方で、シンガポールは観光の面でも国際的に人気が高い。ダイナミックなデザインの建築物や植物園、ユニバーサルスタジオなど、多数の観光名所がありながら、国土面積が東京23区より一回り大きいぐらいと、様々なエリアを気軽に楽しめる。くわえて、安定した治安、衛生面の不安が少ない点も人気の理由だろう。交通の便も良く、タクシーアプリの『Grab』はもちろん、メトロを利用しての観光もしやすい。

 筆者も、現地でいろいろな場所を巡ったが、異国文化をしっかりと感じられつつも、不快な思いをすることは一度もなかった。厳しいと言われる喫煙や飲酒に関するルールも、裏を返せばしっかりと警察機構が機能している証拠で、落とし穴的な「現地に行かないと分からないローカルルール」は極めて少ない(ガムや電子タバコなど、罰則の厳しいものは多くの旅行サイトでも注意喚起がされている)。個人的には、初めての海外旅行でもオススメできる国だ。

 初めての海外旅行先としてオススメできるもう一つのポイントは、日本企業がかなり進出していること。「DON DON DONKI」の名前で主要エリアのモールに出店しているドン・キホーテや、日本でもお馴染みのセブン-イレブン、回転寿司チェーンのスシローなど、海外にいながら日本の製品や食事が手軽に手に入るので、食が合わなかった時のリカバリーが効きやすい。

 そして、こうした日本文化の輸出はIPコンテンツや音楽の面でも活発だ。中国系からインド系、マレー系、韓国系、イギリス系の文化がごちゃごちゃに混ざり合いつつ、日本の文化もその中で愛されている、という印象を受けた。なかでも、アニメやゲームといったポップカルチャーは、多くのシンガポール人から愛されている。『AFA』を主催するSOZO社の本拠地がシンガポールということからも、そのことが分かるだろう。

 現地会場の企業ブースにはTOHO animation(東宝)やKADOKAWA、バンダイナムコ、MANGA Plus(集英社)、Crunchyrollなど大手コンテンツホルダーのブースに加えて、日本でも盛況を博した『JOJO CARAVAN』の出張展示などもあり、人気のブースが“ギュッ”と詰め込まれたような雰囲気であった。

 また今回の来場者で特徴的だったのは、『ウマ娘 プリティーダービー』の海外版が2025年にリリースされた影響からか、関連する衣装を着たコスプレイヤーが大勢見受けられたことだろうか。少し前のインドネシアでは『原神』『崩壊:スターレイル』のコスプレなども多かったが、日本の競馬史をモチーフにした作品が海外で大ヒットするとは……。あらためてIPコンテンツの力強さを感じた次第だ。

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