突如解散したVTuber事務所からの独立 びびどる・生稚くれあ&庭咲ぴよが明かす、当時の心境と決意
事務所解散に巻き込まれたVTuberの身に起きること
——Vivid Vの解散は、その内容も相まって広範囲で話題になりました。その渦中にいた当時の所属タレントのみなさまには、解散後どのようなことが起こりましたか?
生稚くれあ:これが全然分からないんですよね。自分たちもよく分からないままニュースになっていたので、「周りがすごく騒いでるぞ」くらいにしか思わなかったですね。
庭咲ぴよ:逆に、「解散したし、今まで通りがんばろっか!」みたいな雰囲気でしたね。
——ちなみに、他の事務所から引き抜きの連絡などはあったのでしょうか?
生稚くれあ:お誘いをいただいたこともありますが、事務所はしばらくトラウマというか、そんな事情をお伝えして、お断りしました。
——X上でのファンの反応はいかがでしたか? 励ましの言葉が多そうですが、なかにはこれまでの運営不手際から、不満を口にする人もいそうかなと思いまして。
庭咲ぴよ:全体を見れば、不満を言っている方もいたと思うんですけど、自分のリスナーさんは静かで、すごく平和でしたね。明らかになった後でも「まあこれはしょうがないよね」「ぴよちゃんは悪くないから」といった反応がほとんどで、気を使ってもらっていたのかなって。
生稚くれあ:私も同じく平和でしたね。2022年から活動して3年目ですし、どこか親目線のファンも多いのかなと思います。
——解散後、Vivid Vの他の所属メンバーとは、現在もつながりがあるのでしょうか?
生稚くれあ:仲が良かった人たちとは、いまでも交流があります。Vivid V所属メンバーは「もともと個人勢として活動していた」以外の共通点があまりなかったのですが、ジャンルが近い人とは話す機会は多かったので。
——不祥事による事務所解散を経験し、所属中もあまりメリットに恵まれなかったお二人から見て、個人VTuberが事務所に所属する際に、気をつけるべきだなと実感したことはありますか?
生稚くれあ:自分たちでも予測のつかなかった出来事ではあったので、なにに気をつけるべきかは、なんとも言いにくいですね。そもそも、VTuber運営は軌道に乗せることが難しい事業だと思いますし、倒産や解散はよく耳にする話です。「所属前によく考える」は大前提ですが、こうしたトラブルは意外と誰にでも起こり得るので、関係ないと思わず、常に意識しておくことに越したことはないと思います。
庭咲ぴよ:あえて気をつけるポイントがあるとしたら、気になることがあれば最初にしっかり確認することが大事だと思います。私も所属時に説明を聞いた際、よく確認しなかったことは反省点です。特に、どう収益化していくかの計画については、ちゃんと踏み込んで質問したほうがいいかなと思いますね。
独立した「びびどる」はどんなグループ?
――ここからは、現在も続くびびどるの話に移っていければと思います。まず最初に整理したいのですが、びびどるはどのような経緯で立ち上がったグループなのでしょうか?
生稚くれあ:びびどるは、私がVivid Vのスタッフを辞めた後に立ち上がり、同時にプロデュースを依頼されて始動したグループです。その後、事務所側はほとんど運営に関与しなかったので、自然と独立して今に至ります。
——グループとしては所属メンバー7人とかなり大所帯ですが、どのようなコンセプトなのでしょうか?
生稚くれあ:いわゆるバラエティアイドルも目指すグループで、歌だけでなく企画やトークなど幅広く力を入れています。
——Vivid V解散後、びびどるを独立・活動継続しようと思ったのはなぜですか? 事務所と合わせて解散する選択肢もあったと思うのですが。
生稚くれあ:やりたいことがまだ残っていたのと、イベント『びびどる文化祭』の開催が決定済みだったからですね。準備はしっかりしていたので、ちゃんと成し遂げておきたかったんです。そして、びびどるとして様々なイベントに出演してきたことで、「このグループいいね」といろいろな方から言ってもらえていたのも大きいです。
とはいえ、私は続けたいけれど、誰が残ってくれるかは分からない状態でした。それでも、一人でも二人でも残ってくれるならば、びびどるは続けるつもりで、色々と準備をしていました。
事務的な話をすると、びびどる独立を考えていた際、グループ名が独立後もそのまま使えるのか、立ち上げたばかりのYouTubeチャンネルやXアカウントが持ち越せるのか、といった部分で悩んでいたので、当時のスタッフさんにサポートを依頼しました。
「ファンの信頼を取り戻す」――事務所解散を経験したからこそ意識したいこと
——大所帯のグループとなると、運営にはかなりしっかりと取り組む必要があると思います。いざ自分が運営に関わることになって、大変だと思ったこと、落とし穴になりうると感じたことなど、発見はありましたか?
生稚くれあ:VTuberグループの運営は、とにかくやることがたくさんあるので大変ですね。特に、Vivid V解散が発表された11月は、6時間の大型配信企画「びびどる文化祭」を控えていたので、その準備や公式ホームページ作成、ファンクラブ作成などを急ピッチで進めていたので本当に大変でした。動きは早い方がいいと判断して、休止期間も設けずに独立を進めたので、なおさらでしたね。
グッズもVivid V時代はあまり出せなかったので、独立後すぐに販売し、想定以上の注文をいただきました。所属していた時はグッズの発送ミスでファンの方々にもたくさん心配をかけてしまっていましたから、同じミスが起こらないよう、気をつけたいです。
——前事務所の負債まで引き継いでしまうのは結構厄介ですね。不祥事の多かった事務所出身者ならではの課題感と言えそうです。
生稚くれあ:そうですね。そういう意味では、ファンの皆さんにもトラウマがあると思うので、信頼を取り戻していかないといけない、と感じています。とはいえ、初めてのグループ運営なので、温かい目で見守ってくれると嬉しいですね。
——Vivid V時代の経験を踏まえて、びびどるではどんなことに気をつけているのか、反面教師的に「これはやらないように」と意識していることはありますか?
生稚くれあ:Vivid Vは、トラブルが起きた時の対応が、所属VTuberに対してもファンに対してもかなり遅かったので、いまはもしトラブルが起きたときは、なるべく早く対応しようと心がけています。真摯に対応していきたいと思っています。
庭咲ぴよ:びびどるでは細かく連絡を取り合ったり、何かあったらすぐ連絡するように心がけたいなと思いました。
生稚くれあ:あとは、透明性のある運営がしたいですね。当時は、事務所の方向性がよくわからないまま所属していたところがあるので、いまは意識して「今はこれをやってるよ」とメンバーやファンにこまめに伝えるように心がけています。
——生稚さんは、VTuber事務所の運営を経験したことで成長を感じたことはありますか?
生稚くれあ:視野を広げるいいきっかけになっていると思います。もともと自分は少し抜けている方なので、運営に取り組むにあたって自分自身の課題と向き合う時間も増えました。
あと、人数が多ければ多いほど、運営に必要な作業が増えることにも気づきました。自分のVTuber活動もあるので、並行して取り組むことは課題になりそうです。
——逆に言えば、いきなり大人数で動かそうとしている事務所に勧誘された際は、少し警戒した方がいいのかもしれませんね。
生稚くれあ:そうですね。大人数の運営は相当な人員を抱えていないと厳しいと思います。
——一方の庭咲ぴよさんは、運営としてもかんばっている生稚くれあさんを、どのように見ていますか?
庭咲ぴよ:いろいろな作業を全部くれあちゃんがやってくれていて、本当に手が回らなそうで、毎日忙しそうだなと見ていて実感しています。いまふと気付いたのは、グッズ発送や会議などはメンバーでもお手伝いできるところなのかな、と。グループを束ねるのも大変だと思うので、メンタルケアも兼ねて、なにかお手伝いができたらなって思いました!
生稚くれあ:それは嬉しい! ありがとう!
——実際、企業運営では運営とVTuberとで一線を引かれがちなところもありそうですし、互いの事情をよく理解し合っている個人勢グループは気持ちよい協力体制が築きやすいところはメリットかもしれませんね。
生稚くれあ:事務所に入っていないからこそ、私がそこまでできるタイプでなくとも、みんな理解して受け入れてくれているので、頼れるところは頼れるようにしたいと思います。そのくらいフランクな関係で活動できるのはよいかなって思いますね。