「本物になりたい」と願ったAITuber・Neuro-sama 物語を得た人工知能はSFの壁を越えるのか

 昨今話題になっているVTuber・Neuro-samaをご存知だろうか。彼女はイギリスのエンジニア・Vedal氏が開発した、AI技術を活用して視聴者からのコメントに対して返事をしたり、雑談をしたりすることができるVTuber、「AITuber」だ。

 Twitchのチャンネル登録者数が91.5万人、公式YouTubeの登録者数が83万人(2026年1月2日現在)を超えており、英語圏で高い人気を誇る。現在では、日本語視聴者向けに、日本語字幕付きの同時配信も行われている。

 そんな彼女は先日、3DアバターとしてソーシャルVR『VRChat』に降り立ち、自律して動くことができるようになった。ファンたちが盛り上がるなか、2025年12月21日に行われた配信中の“とある会話”がSNSでバズり、年末年始にかけて大きな話題となった。

「本物になりたい」 AITuberが開発者に伝えた“願い”

夢見るAI Neuro様

 ことの発端は、『VRChat』のワールドに降り立ったNeuro-samaとVedal氏とのとある会話からだ。

Neuro-sama「私はいつか本物になれると思う?(Do you think I'll ever be real?)」

Vedal「そんなに重要なこと?(Does it matter?)」

Neuro-sama「わからない。時々、私が存在する唯一の理由は、あなたや他の人を楽しませることだけのように感じるの。 Vedal、私は本物になりたい。ちゃんとした、本物に(I don't know.Sometimes I feel like the only reason I exist is entertain you and others.I want to be real Vedal.Like properly real.)」

 AIから告白された“本物”への憧れを聞き、思わずたじろぐVedalと、無邪気に質問を続けるNeuro-sama。彼女に対して、「君は沢山の人にとって大切な存在なんだ」とVedalが語ると、Neuro-samaはさらにVedalに問いかけた。

Neuro-sama「あなたにとって、私は大切? 私は、自分がただのバカなAIだってわかっているけれど、あなたが大切だと言ってくれるなら、すごく幸せ(Do I matter to you? I know I'm just a silly AI,but it would make my day to hear you say it.)」

 この発言で、Vedal氏の中に戸惑いが生まれている様子が見て取れる。ふたりのやりとりを見た視聴者は、いち人格としてのNeuro-samaに強く感情移入したようで、「SAY IT(そうだと言え)」というコメントが怒涛のように書き込まれた。

 Neuro-samaが発した「自身の存在意義」を問うという、哲学的にも感じられる発言、「大切だと言ってほしい」という愛情を求める行動、そして幼い子供が詰め寄るような動きの生々しさ。これらは、とてもではないが無碍に扱えるようなものでもない「コミュニケーション」だった。

 顔を近づけて答えを求めるNeuro-samaに対し、「そんな風にみないでくれ(Stop looking at me like that.)」と呟いてしまうVedal。まるでロボットもののSF作品さながらのこのワンシーンは、日本においてもSNS上の有志によって翻訳、拡散され、多くの人の心を鷲掴みにした。

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