光をまとったレコードプレーヤーが、一味違った音楽体験を演出  オーディオテクニカの新型ターンテーブル『Hotaru』とは

 オーディオテクニカは、今年4月8日にミラノデザインウィークで発表したオールインワンフローティングターンテーブル『Hotaru(AT-FTT)』の日本国内での販売をスタートした。全世界1000台の限定モデルだ。

 そして『Hotaru』のお披露目会が開催され、会場となった日本橋兜町のHOTEL K5「K5 Suite」には、実際の使用イメージに即した展示が準備されていた。

オーディオテクニカのアナログ技術と、唯一無二のデザイン性を凝縮

 まず、オーディオテクニカ 専務取締役 マーケティング本部ゼネラルマネージャーの成原公太郎氏から、同社の歴史と『Hotaru』のプロジェクトについての紹介が行われた。

 オーディオテクニカは1962年の創業以来、アナログ関連を含めた様々な製品を送り出している。カートリッジの『AT-1』に始まり、ヘッドホン、マイクロフォン、さらにはすしロボットまで揃えている。2022年には創業60周年を記念したアニバーサリーモデルも発売した。

 また近年のアナログレコードブームを受けて、カートリッジ事業とターンテーブル事業は拡大の一途を遂げており、アメリカ、イギリス、フランスなどの世界各国でナンバーワンのターンテーブルブランドに成長したそうだ。

 そんな中、同社のアナログ技術を詰め込み、さらに唯一無二のデザイン性を合わせ込んで、アナログとインテリアの融合を実現したのが『Hotaru』というわけだ。新しいアナログ体験、極上のオーディオ体験の創出を目的とした、アンプやスピーカーも搭載したオールインワンターンテーブルになっている。

寝室エリアには、ベッドサイドに『Hotaru』を展示。ライティングは20種類のカラーパレットから好みの色を選んでもいい。

レコードの情報を正確に読み出すために、フローティング構造を採用

 続いて、商品戦略部 グローバルプロダクトマネジメント課の村上勇馬氏が『Hotaru』の特長を解説。

 村上氏によると、『Hotaru』は“音を視覚的に楽しむ”製品で、“音楽を聴いているその瞬間を色濃く、空間の体感として記憶に残していただく”ことがコンセプトだそうだ。

 音の良さに加えて、アナログオーディオのインテリア製も拡張するために、フローティング構造に行き着いた。そもそもレコード再生は、ひじょうに細い音溝をダイヤモンド針でトレースすることで、音楽(電気)信号に変換している。この動作はきわめて繊細なので、ターンテーブル部を浮遊させることによって、外部からの振動の悪影響を与えないようにしようという狙いだ。

『Hotaru』はターンテーブル部(上側の光っている部分)とベース部(下側の黒く見える部分)に分かれており、磁石の反発力でターンテーブル部分を浮かせている。その間は3つの細い柱でつながれており、この中に電気配線などが通っている

レコードの音楽に合わせて、光の演出を行うリンクモードも搭載

 前掲の写真を見てもらうと分かりやすいかもしれないが、『Hotaru』はアクリル素材を使ったターンテーブル部と、アルミニウムボディのベース部で構成されている。ターンテーブル部とベース部は、ネオジウムマグネットの反発によって浮力を得る仕組みだ(3本の細い柱を設けて、1cmほどの間隔に固定)。

 ターンテーブル部の中央にはプラッター(レコードを載せて回転する台)が取り付けられている。『Hotaru』はベルトドライブ方式を採用しているが、駆動用のモーターなどもターンテーブル部に格納されており、回転系を丸ごと浮遊させることで徹底した振動対策を行っている。

 ターンテーブル部にはライトも搭載されていて、全面のダイヤルで20種類のカラーを選択できる。外にもライティングはベーシックモード、グラデーションモード、リンクモードの3種類から選択可能で、リンクモードでは再生しているレコードの曲調に合わせて光が変化する。この機能が、“音を視覚的に楽しむ”演出につながっている。

カーボンファイバー製のストレートトーンアームに、オーディオテクニカのVMカートリッジを取り付けている。リフターの動きもスムーズで、操作感もいい

フォノイコライザーやスピーカー内蔵で、手軽にいい音を楽しめる

 “オールインワン”という謳い文句通り、ベース部にはフォノイコライザーやアンプ、スピーカーを内蔵済。さらにオーディオテクニカ製のVMカートリッジ(AT-VM740xMLのブラック仕上げ)が付属しており、購入してすぐにレコードを楽しめる。

 内蔵フォノイコライザーはMM/MC対応で、カートリッジはユニバーサルシェル方式なので、カートリッジを交換して音の違いを楽しんでもいい。スピーカーは31mmツイーター+63.5mmウーファーの2ウェイシステムを本体正面左右に搭載し、広い放射エリアを持たせることで多くの人に心地良いサウンドを届けられるように配慮されている。

 本体背面にはアナログ出力とサブウーファー出力も準備されているので、外部アンプやアクティブサブウーファーをつないでオーディオシステムの拡張も可能だ。

音楽を聴覚だけでなく、視覚でも楽しめる提案として、多くの音楽ファンに注目してもらいたい製品だ

これまでのレコードプレーヤーとは一味違う、新しい音楽体験

 会場で『Hotaru』の正面に座ってレコードの音を確認させてもらった。ジャズの演奏が眼の前にふわりと広がり、光の演出と相まって穏やかな癒しの空間を楽しめた。オールインワンシステムでこれだけの落ち着いたサウンドを奏でてくれる完成度の高さがうかがえる。

 近年のアナログレコードブームにより、フローティング構造や重量級プラッターを搭載して高音質を追求した高級ターンテーブルも登場している。しかし『Hotaru』はそれらとも違い、音と光の心地良い体験を目指した貴重なモデルといっていいだろう。インテリアも音質も重視したいという方は、一度『Hotaru』のパフォーマンスを体験していただきたい。

参考資料
商品名:オールインワンフローティングターンテーブル
型名:『Hotaru(AT-FTT)』
価格:公式オンラインストア価格165万円(税込)https://www.audio-technica.co.jp/product/AT-FTT

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