個人でも手軽にプロ並みの3D配信ができる? 『Warudo』を活用するVTuberが話題に

個人でもプロ並みの環境――『Warudo』ってどんなツール?

 『Warudo』とは、Hakuya Labsが開発・提供している、アバターアニメーションソフトウェアだ。3Dモデルを読み込み、Webカメラに映る人間の動きでアバターを操作するツールで、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」で無料で配信されている。

 『Webcam Motion Capture』など類似ツールはいくつか存在するが、『Warudo』は突出した自由度の高さが最大の特徴だ。

 まず、『Warudo』では3Dモデルだけでなく、背景となる3D空間もカスタマイズできる。ソフト内では公式配布やコミュニティ制作物の3D空間が自由にダウンロードでき、必要ならば自前で用意することもできる。3Dモデルに持たせたり、背景に設置したりできる3Dモデルも、同様に提供されており、入手することができる。

 そして、カメラ画角や照明、ポストエフェクトなどの演出・ライティング設定も非常に細かく設定できる。また、Webカメラだけでなく、iPhone対応のフェイシャルモーションキャプチャーアプリ『iFacialMocap』や、『mocopi』などのモーションキャプチャーデバイス、さらにはグローブ型デバイスも連動させられるなど、拡張性が非常に高い。目的や予算に合わせて、自由に環境構築できる懐の広さがある。

 極めつけが、「ブループリント」と呼ばれるビジュアルスクリプティングシステムだ。ノードベースなため、非プログラマーでも様々なモジュールを組みわせて、「コメントに合わせた演出」「特定キーに対応したギミック」などを仕込むことができる。派手なライブステージ演出を自前で組み込むことや、コラボ配信までできるほど、自由度は非常に高い。

 環境を構築していく手間はあるが、企業運営VTuberの3D配信や、手の込んだ『VRChat』配信にも引けを取らない3DVTuber配信環境を個人でも構築できる点が、『Warudo』の特筆すべきところだ。こうした配信環境を、大掛かりなスタジオや、装着負荷の高いVRデバイスを用いずとも使えるところも、人によっては魅力的だろう。

「市販の3Dアバター」という選択肢

 『Warudo』のようなプロ並みのツールの登場だけでなく、VTuberの身体となるアバターの選択肢が広まっていることについても触れておきたい。

 3Dモデリング技術のない人でも手軽に3Dモデルを作成できる『VRoid Studio』は、現在も強力な選択肢として存在しているが、最近浮上しつつあるのが『VRChat』向けアバターの転用だ。

 アバター本体と、髪型・服装・テクスチャなどのアセットを購入して組み合わせれば、かなり手軽にオリジナリティのある3Dアバターを用意することができる。上述したねこめぐんそうの話題になった配信も、使用しているのは市販アバター『ミルフィ』のカスタマイズモデルとのことだ。『Warudo』向けの形式へ変換できるツールも登場したことで、市販アバターの利用ハードルも下がりつつある。

 ただし、過去に生じたトラブルなども影響し、「VTuberとしての利用」を利用規約で制限・禁止としている商品も少なくない。また、配信等への利用や、営利目的の活動など、『VRChat』向け3Dアセットには細かな利用規約が設けられている。手を出す際は、利用規約の慎重な読み込みが求められる。

 とはいえ、利用できる条件が整えば、『Warudo』はLive2D以上に手軽なアバターの選択肢となるだろう。様々な環境の進展によって、個人活動のVTuberでも大手事務所並みの環境を従えた、3Dメインの活動が普及していく可能性も、十分にあり得そうだ。

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